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(36)「その時」は突然やってきた

不倫されることもモラハラも、当然辛いし苦しいし嫌だけど、一時的に不倫をやめさせたり大人しくなっても、根本にある問題の解決になったわけではなく一時的なものだから、心の底から喜ぶことはできなかった。

私が望んでいることは、一時的な解決ではなく、夫の根本の問題を解決し、夫が抱え続けてきた生きづらさを取り除くこと。

マルトリートメントは、人格や言動やあらゆる面に様々な形で影響し、大人になってからの治療は、正直どこから始めればいいのか分からない。
それでも、少しでも改善に向かうならばと、私自身ができることをあれこれ調べ、考え、勉強し、やってきたつもりだけど、やっぱり、夫が自ら自分の状態を俯瞰し、受け止め、自発的に行動に移さない限りは、難しいかもしれないということは分かっていた。
きっといつか、夫にもその時が来る。そう信じるしかなかった。

そしてその時は突然やってきた。

13日の金曜日。
一般的には不吉な響きのその日は、私にとって最も待ち望んでいた変化の幕開けだった。

夫は朝から穏やかだった。
今までならイライラして暴言を吐いていただろうシーンでも、特に暴言を吐くこともなく「あれ?」と思った。
夜、息子を寝かしつけようとしたら、何と夫が先に息子と寝室にいた。
「どうしたの?」と聞くと、「パパ、ねんねって連れてこられたから」と。
夫が寝かしつけに参加するなんてどのくらいぶりだろう。
息子も「パパ、お仕事ないって♪」とすっごく嬉しそう。嬉しすぎてなかなか寝ない(笑)。
やっと寝かしつけが終わり、リビングに行くと、夫からまさかの言葉が出てきた。

「アンガーマネジメントの本を読み始めた。このままだとまた薬を始めることになりそうだし、すぐには無理だけど、少しずつやっていこうと思う。色々と整理して、1つ1つダメなことをつぶしていくから協力して欲しい」

夢かと思った。
寝かしつけしながら寝ちゃって夢を見てるのかなと思った。
すっごくすっごく嬉しかった。
自発的にアンガーマネジメントに行きついてくれたことも、自発的に挑もうと思ってくれたことも、そして、ちゃんと私にヘルプも求めてくれたことも。

きっかけは、とあるWEBメディアの記事だったらしい。
そこからの夫の変化は凄まじかった。
一晩でアンガーマネジメント本を1冊読み終え、基本は理解した上で、早速実践に入った。
さらには、アンガーマネジメントを通じてマルトリートメントへの理解も深まり、このままでは息子も自分と一緒になってしまうということに危機感を抱いたらしい。子育て本にまで手を出し始め、「トイトレってどうするの?このパンツはそのまま履かせちゃっていいの?」と、トイトレ中の息子を初めてトイレに連れていったりまでした。
息子がじゃれても迷惑がるそぶりをみせることなく受け止め、あまりにも騒いだ時には冷静に注意をする。
仕事の予定を共有し、早く終わったら帰宅し、朝とお風呂はなるべく息子との時間にしたいと言ってきた。

あまりにも希望通りの、いや、希望以上の好転ぶりに、正直疑ってしまう自分もいる。
そんな自分に嫌気もさすが、これまで何度も裏切られてきたから、これも致し方なしかな。
夫の頑張る姿を見れば応援する気持ちは強くなるから、きっとこの疑心暗鬼も徐々におさまるだろう。

どうか、どうか良い方向に進み続けることができますように。

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