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だからさぁ、やっぱりワイン通は嫌われる

『セレブ気取りですね』『気取ってる感じがします』『なんか上から目線』

インスタグラムのストーリーにその日に飲んだワインを投稿すると、好意的なコメントもあるが、少なからず上記のようなコメントをもらう。セレブ気取りでもなく、気取り屋さんでもなく、上から目線でもないと自分では思っているが、中にはそうは思ってくれない方もいるようだ。以前から思っていたことだが、例えばビールや酎ハイや日本酒などを投稿した時にはこんな批判的なコメントは一切ない。ワインの時だけだ。そこが不思議なところ。特別に高いワインを投稿しているわけではない。高いワインなんて誕生日か、結婚式に出席した時くらいにしか飲まない。ワインラベルから漂ってくるその高慢ちきな外国語とあの足高なワイングラスがそうさせるのかもしれないと思う。

自分なりに考えてみたところどうやらその理由は大きく分けてふたつあることに気がついた。ひとつは、いわゆる「ワイン通」と呼ばれる方々全般のイメージが悪い。もうひとつは、日本でワインというとお酒の中でも特別なお酒みたいなものがイメージとしてあるのではないかと思った。でもそのふたつは密接に繋がっている。私は十数年前に酒好きが高じてワインスクールに通っていた。そこで教えられることは、ワインの歴史、葡萄の種類、葡萄栽培の仕方、醸造の仕方、料理との相性、身のこなし…などソムリエとして様々な知識を教えられるのだが、授業中に先生と呼ばれる現役ソムリエの方々の話を聞きながら「もっと気軽にワインが飲みたいなぁ」といつも思っていた。指名されてそのワインの感想を発表させられる時があるのだが「このワインはベリー系の香りと、それに加え森の中の草の香りが...」などと言っている自分が恥ずかしくて仕方なかった。そりゃどんな分野においても知識がある方がないよりいろいろと楽しさが倍増することは理解できるし、職業としてワインを極めなければならないソムリエなどはそれは必要なことだとわかっているが...私はどこかに矛盾を感じながらワインスクールを卒業した。その後は好きなワインを好きな形で飲んできたわけだが、ワインを少しでも勉強した方は、どうしてもその知識を披露したがる人が多くいる。ワインバーなどで、知識のない一般の方を相手に「このワインのが作られた年にはね...」とか「このワインの作り手は...」とか「このワインの香りはね」など目をキラキラさせて蘊蓄を述べる人を数多く見てきた。その横で私は「恥ずかしい人だ」と思って苦笑いをしていた。そうやってワイン通は嫌われる道を歩んでいくのだ。

酒なんて楽しく美味しく飲めればそれでいいのだ。
美味しく飲むためには多少のルールは守らなきゃいけないのだけど……

野菜とワインVegeageのサイトにこんなのがあった。

私は、ワインに精通している人達の事を「ワイン通」とは言いません。
なぜなら「ワイン通」という言葉自体が「知ったかぶりの人」という意味にも聞こえてくるからです。


そんなワイン通がいるから他の人は「ワインって特別なお酒なんだ」というイメージがインプットされてしまう。酒屋でビールなどは悩むことなくさっさとカゴに入れることができるのに、ワインとなると「う〜ん」と考え込んでしまう人がいるのはそのせいだ。私は、ワインもビールも日本酒もウイスキーも焼酎もその他のお酒もどれも同じような感覚で飲む。ワインはその中のひとつでしかない。でもそんな言い訳をしてもインプットされたイメージはなかなか払拭できなくて、いまだに「気取り屋さん」扱いとなる。いい迷惑だ。

ワイン通よ、もう少し気楽にやれないか。

蘊蓄を語るのはお仲間内だけで思う存分...ね。





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