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メンタリストDaiGoの「科学的根拠(エビデンス)」ってどう調べてるの?論文の読み方解説!

※本記事は執筆途中で公開しています。そのため所々読みにくい箇所があるかもしれませんがご了承ください。これからどんどん加筆していきますので時折戻ってこられると知識がアップデートできると思います!

最近電車に乗っていて感じるのが電車に乗っている人の行動パターンは2つに分けられるということです。ー寝る or スマホをいじる。

これまで若者のスマホ中毒が問題視されてきましたが今ではいい年した人たちまで「中毒」状態になっています。駅のホームでは歩きスマホの注意のアナウンスまで流れるほどスマホに釘付けで客観的に見るとスゴイ世界になってしまったなと感じる次第です….。しかし、裏を返せばSNSがそれほど生活に浸透してきてようやくネットが社会の基盤として機能し始めてきたといってもいいかもしれません。こうして一個人が「これいろんな人に教えたい!」と思った情報を簡単に皆さんにお伝えできているのもそういったネットのおかげでもあります。ネットと上手に向き合えるかが今後の課題かもしれませんね。

前置きが長くなりましたが、今回は「論文の読み方」についてお話ししようかと思います!

 というのも、誰でも情報発信できるネット社会においてその情報の質は
玉石混合(ピンキリ)だということは皆さんも実感しているのではないでしょうか? ただ、コロナの時のように命に係わるかもしれない事なのに専門家でも意見が割れるようなことについて自分で判断をしなければいけないということも出てくる可能性だっていつでもあります。ネットの情報も過信はできない、専門家の意見さえも鵜呑みにすべきでないとなると不安になりまよね…。そんな中、客観的な科学的根拠があるかどうかがますます重要になってきます。

実際、そのような意識は人々の中に芽生えているように思われます。
例えば今やネットで大人気のメンタリストDaiGoさん。

引用|メンタリストDaiGo

彼は科学的根拠に基づいた生活に役立つ情報発信をしています。

また他にはYouTubeでお医者さんが科学的に正しい健康に関する情報を発信しているものは人気になっている傾向にあります。

引用|友利新 / 医師「内科・皮膚科」

引用|北條元治 | 形成外科医・肌の再生医療の専門家

※ちなみに僕もYouTubeやっているのでぜひ気になる方はご覧ください!
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しかし一般の人は科学的に正しい情報をどうすれば知れるのかわからない。
だから「専門家」に聞こう!ということになるのです。


実際、ニュースなどでも専門家にインタビューをしたりして科学的に正しいかを聞いたりしている場面が多いです。

では彼らはどのようにして科学的根拠のある最新情報を手にしているのでしょうか? 研究者や医者は研究業界の内部情報にアクセスする独自のルートを持っているのでしょうか? 答えはNO

では一体どこで手にしているんだ~???
それはズバリ学術論文です。そしてあらゆる論文はネット上に掲載されていています。つまりネットがあれば最新の科学的根拠のある情報にアクセスできのです。昔は大学などに所属して管理されている紙の論文のコピーをとって入手していたようですが今は全てネット上に公開されています。

とりあえずGoogle Scholarで気になるキーワードを打てば出てきます。


https://scholar.google.jp/


ただ、手にすることができても内容が理解できるかは別問題。
実際に論文を読める人はほとんどいないでしょう。たとえ大学を卒業していても論文の内容を読めるかどうかと言われれば怪しい人が多いように思われます。(自分で読めるならメンタリストDaiGoさんは流行らないはず)

何故なら大学などでは論文の読み方を丁寧に教わる経験は少ないからだと思います。大学を卒業して学士号を取得するということは基本的なロジック(論理)を土台として思考を整理でき、学術論文をある程度解釈できるべきですがそうならずに卒業してしまうのが現実かもしれません…。
(*これは日本のみならず欧米の大学でも当てはまると思います。)

そこで、この記事では論文の読み方が分からない大学生(学部生)や趣味で論文を読みたい人向けのマニュアルになるような内容になっています。
逆に言えば学部生ならここに書かれていることくらいの解像度で理解できれば合格と考えてもいいかもしれません。

■前提:そもそも一般人には学術論文は難しい !!

まず始めに研究とは何でしょう?
それはこの世にまだ存在しない「知識を創る」こと。教科書に載る前の知識を創る知の最前線、といえばカッコいいかもしれませんが全く持って過言ではありません。「勉強」はすでに多くの人によって認められた確立したと考えられる知識を習得することが目的だけれど、「研究」は勉強で得た智識を利用して新たな発見をして知識を創ることなんです。
なので研究ではこの今までにない新しさ  新規性 ) が常に重要視されます。
論文は最新の研究成果を正確にまとめてその分野の専門家同士での話し合い(議論)を促すためのものです。研究者の仕事は新しい発見をして、それを論文という形にまとめて新たな知識を世間にシェアすることで評価されます。

一般人向けに分かりやすさを重視して書かれている訳ではないので難しくて当然なのです。具体的になぜ学術論文が読めないのかを見ていきましょう。

前提知識 不足
研究は常に新たな知識を生み出す必要があるので非常にマニアックな知識を創ることが多いです。具体的には学部(4年制大学)レベルの教科書が最低限必須でその専門分野における常識となります。また必要に応じて大学院(修士課程)レベルの教科書も読む必要があします。ここでいう教科書とは中学や高校のような文部科学省がチェックして国に認定された教科書ではなく専門書です。そして大学レベルのサイエンス、医学の専門書はアメリカやイギリスの専門書の日本語に訳された本なので辞書のように分厚いということはよくあります。日本の受験参考書のように分かりやすく書いてある本があればいいのに…と思ったことは何度もありますが今のところそのような本はあまりないと思います。だから最低限、その分野の大学レベル以上の専門知識が必要となる論文を一般人が理解するのは難しくて当然なのです。

英語
論文の英語はネイティブ以外の研究者も読むことを想定して簡単な英語を使っている、と言われることは多いです。確かにそれもそうです。しかし、
学術的な英語なので世間一般的に見れば決して簡単とは言えないでしょう。
日本人でも日本語で書かれた学術的な専門書は難しくて内容が全然理解できないという経験をしたことがあるかもしれませんが、それを外国語である英語でやるとなると難しいと分かると思います。

さらに厳密に情報を伝えることを重要視するため文構造がやや複雑になることが多いです。例えば主語がやたらと長いとか修飾要素がかなり大きいなど。難関大学の入試問題を解けるような構文把握ができれば問題はないかもしれませんが、英検2級では(準1級でも?…)厳しい。
しかも、その分野特有の専門用語がバシバシ英語で書かれているのでいくらTOEFLなどが得意な人でも専門外の分野の論文は読めなくても不思議ではない。

今は英語に関しては割と精度の高い翻訳機などがあるのでそれを使えば補助輪になるかもしれませんが、それでも訳が正しいかどうかをチェックできる基本的な英語力(目安:英検準1級)は必要だと言えます。

研究手法を知らない
科学では普通、仮説を立ててそれが正しいかを実験で検証する。実験では様々な実験機器が存在するので実験方法を知らないと出てくるデータをどう解釈するかわからない。そうすると論文の細かい内容がちんぷんかんぷんになる。



■論文
・Original Paper 原著論文
最新知識を報告するための論文でめちゃくちゃマニアックな新発見が書かれている。最新情報をピックアップする上では欠かせない。ただし、しっかり読み込もうとするとかなり時間がかかる。

・Review article レビュー論文
原著論文はかなり細かく書かれているので読むのに時間がかかる。研究者でもネット記事を読むようにサーッと読むことができる人は少ないのではないかと思う。そこでネットの「まとめサイト」のようなノリで原著論文を集めて知識を体系的にまとめたものがレビュー論文である。とはいえ、まとめサイトどころか教科書よりも分かりにくい。
その分野がどんな研究成果が出ているのかある程度まとまりをもって知りたい場合は原著論文を読む前に何本か読むとその分野の全体像が見えてくる。


■論文の構成(フォーマット)
・Titleタイトル
・Authors, affliation著者情報
・Abstract要旨
・Introduction背景(序論)
・Methods方法
・Results結果
・Discussion考察
・Limitations研究限界
・Conclusions結論
・Reference引用文献




■読む手順



①Title, author関連
タイトルでその研究の一番の要点が的確に書いてあるので必ず必要があります。しかし、正確に書くことを重視してマニアックな言葉がてんこ盛りなことが多いから何言っているかわからないことが多いです。(特に原著論文)
気にせず先に進みましょう。続いて研究者情報は確認します。どんな専門分野の人か、所属先、国などから著者の入りうる主観を予測しておく。
※主観を完全に排除することは不可能。だからこそ鵜呑みしないためにも入りうる主観を確認しておくことは重要です。
②Abstract
アブストは主に4つの要素で構成されていることが多いはずです。

Background(背景知識:イントロ相当)、Methods、Results、Conclusions

に分かれているはずなのでどれに相当するかを意識しながら読むとなんとなく意味が分かるでしょう。ただ、ここは研究の概要をまとめるために簡潔に書いてあります。なのでここを読んでも何となくしか分かりません。気にせず先に進みましょう。

➂Introdcution

イントロに関しては次のような構成を採ることが多いです。
前半:前提知識の解説
後半:課題→研究目的

この項目では前半にその研究を理解する上で必要な前提知識の簡単な説明、後半では従来の研究で残されてきた課題とその問題を解決するために設定された具体的な研究目的について書かれています。この一連の流れをくみ取れば新規性のある知見がどのようにして生み出されたのか分かります。

注意すべき点はここに書いてある前提知識をしっかりと理解しないとそれ以降書いてある細かいことの土台になっているので何もわからないということです。(だからこと紙面を割いて書いてある)。だからこそ、ここである程度しっかり理解することが最初の関門となります。ただ、学部レベルの知識がないとあまりにも簡潔に説明されているのでここだけでは理解できません。その場合はGoogleで調べて補う、全く知らないなら教科書を読む。分からないことは一つづつ地道に潰していくしかないです。だからこそ時間はかかります。イントロは最初の方に書いてあるから全然進まない感じがしてイライラするかもしれないけれどそれは正常なので焦らずじっくり精読しましょう。

④Conclusion
要するにこの研究ではどんなことが明らかになったのか?この点が細かく書いてあるのが結論です。ただResults結果を根拠にDiscussion考察して、その結論がここに書かれているのでResultsの項目で定義した用語などがいきなり入ってくると何を書いてあるかわからなくなることがあります。
気にせず進みましょう。目的は研究成果を理解することです。
⑤Results&Discussion
Results 結果とDiscussion 考察は大抵分かれて書かれていますが、まとめて書かれていることもあります。考察とは結果に対する研究者の解釈がまとめられているところになります。
考察は以下のような構成で書かれていることが多いです。

結果のまとめ、結果の解釈、研究成果の適応限界(研究限界)、結論

結果のまとめは①アブスト中のResults、conclusionに相当するので基本的に流し読みすればいいです。熟読すべき点は結果の解釈と研究限界です。


■内容理解のポイント
まず理解しておかなければいけないことは論文は一語一句すべて精読する必要はない、ということです。どの程度読み込むべきかは目的に応じて変わります。なので目的を明確にするところから始めましょう。
大抵論文を読む目的は以下の2つに分けられます。

・その研究分野のトレンドを把握したい時
・自分の研究の土台となる研究を探したいとき

目的から考えて必要となる解像度に合わせて読み込めばいいのです。

トレンドを抑えたいのならば、初めはまとまっているレビュー論文を読めばいいでしょう。そのうえで細かい最新知識をアップデートしたいなら原著論文を読みます。原著論文に書いてある中から「新規性」に関わるものだけを抽出すれば自分の中で最新の研究結果に更新できます。

一方で自分の研究の土台となる研究を探したい時はその土台となる論文の質が低いと必然的に自分の研究の質まで低くなってしまいます。
そのように低品質の論文(ゴミ論文)に足を引っ張られないようするには原著論文で明らかにされた研究成果が本当に正しいのか、結果がどこまで適応できるのかまで厳密にチェックする必要があります。


論文をどの程度読み込むべきかは自分が何を求めているかによります。
しっかりと明確な目的意識をもってから逆算的に必要なことだけをしていきましょう。

論文の内容を理解するためにはしっかり要点を抑える必要があります。
以下の点を抽出することが論文を理解するコツ。
逆に言えばこれらを探し出すことが論文を理解することになります。

・研究成果[@Abstarct]
まず、結局この研究で何が明らかになったのか?
・新規性(課題)、目的[@Introduction]
研究は世に何か新のものを生む出すことなので何か新規なことがある。
先行研究では何が課題で、そのために何をすることを目的にした研究なのか?そしてその結果、今回の研究では何が新たに分かったのか?

・応用[Abstract, Conclusion]
その新規の研究成果がどのように役立つ可能性があるのか?
・実験手法+結果解釈(一つづつ丁寧に)[@Result&Discussion]
それぞれの結果に対してどのように研究者が解釈をしているのかをまとめる。特に論文に載っている図表は多くの図表の中でも重要なセレクトされたものなので印刷している場合は( iPadでも可能)図表の周りに直接解釈を書き込むと情報をまとめやすくなります。

・研究限界[@Conclusion]
どんな研究にも課題がある。その課題もしっかりまとめる
・まとめ
要するにこと研究は何したのかを簡単にまとめるとその研究の概要が自分の頭の中で構築されている。
研究成果、新規性、応用 についてまとめる。

★その先…
修士レベルになると
・論文が本当に正しいか考える (批判的思考)
・何が面白いのか分かるように感性を磨く


いかがでしょうか?

以上の手順を踏めば論文を読みやすくなると思います。
もちろん、初心者はいくら効果的な読み方をしてもやはり時間はかかるものです。一つの論文を読むのに10時間くらいはかかるかもしれません。
しかし同じ分野の論文を何度も読むと専門用語の英語や前提知識、研究手法、実験データの解釈法などがだんだんわかってきたりするので少しづつ早く読めるようになるはずです。はじめは全く思うように進まず非常にストレスがかかると思いますが仕方ないことだと思います。だからこそほとんどのは論文を読めないのだと思います。あきらめずコツコツ読んでいきましょう。

※もし意欲的な学部生や高校生で学問の最前線を知りたいという場合は
個人的には「勉強」することをお勧めします。
というのも論文は学問を構築する知識を創る第一線の研究で得た成果をまとめたものです。なので大学レベルの知識が最低限必要です。
その点を踏まえると大学レベルの学問をザックリでいいので理解してからの方がコスパがいいです。

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