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ヒメと明彦8、後藤恵子編、ヒメと明彦 XXXVII、1977年7月18日(月)、ジミー・周

ヒメと明彦8 後藤恵子編
ヒメと明彦 XXXVII
 1977年7月18日(月)
 ジミー・周

ヒメと明彦 XXXIV、1977年7月18日(月)、盗み聞き からの続き。

「ジミー、どうしたの?何の用?一昨日のお礼なら、今、金を工面しているよ。パパにおねだりして、くすねている最中だ。バレたらまずいからな」
「あれ?金じゃなくて、デートだろ?それで、一発やらしてくれるんだろ?」
「まぁ~ったく、ジミーは、やらしてくれる女、たくさんいるじゃんか!」

「俺は、高嶺の花のファンファンとやりてえんだよ。おっと、無駄口はいいから、会えないか?今、剣呑なやつ二人が話しているのを聞いちまったんだ。あの新聞沙汰の人身売買の話だ。台湾野郎でしょっぴかれてないヤツが話しているのを聞いた。それで、俺は、ファンファンに言った林田と関わりがあるんじゃないかと思ったんだ。かなりヤバい話だ。ヤツら、加賀町署の電話交換兼受付の交通係のねえちゃんをスパイにしているらしいぜ。だから、サツ内部の話もいずれ漏れるかもしれないぜ」
「ジミー、今どこにいる?」
「加賀町署の近くの横浜公園よりのサテンの近くの公衆電話からかけてる」
「いつものお前らのたまり場のサテンだね?」
「そうだ」
「わかった。すぐ行く。20分、待っていてくれ」
「了解だ。このネタなら、一発、やらしてくれるかい?」
「私とやったら、東京湾にコンクリ詰めで沈められるって知ってるくせに」
「それだけの価値はあらあな。なんせ、ファンファンなんだから」
「やれやれ。カタギのねえちゃんを紹介してやるから。紹介だけだ。売春斡旋じゃないよ。落とすのはジミー次第だよ」
「仕方ねえな。じゃあ、待ってるよ」

 嫌な予感がした。やはり、台湾野郎どもは、報復を考えているのか?『加賀町署の電話交換兼受付の交通係のねえちゃんがスパイ』?おっと!先週の木曜日、加賀町署の浩司に電話をかけた時、署の電話交換の女性がでたわね?私、彼女に『吉村警部補の従姉妹の張本と申します。吉村はおりますでしょうか?』と言ったような・・・
ヒメと明彦 XXII、1977年7月14日(木)、●芳子の捜索 Ⅰ 参照。

 もしも、私からの電話をとった電話交換の女が、台湾野郎のスパイだったら、私と浩司が紐づいてしまう。そうなると、芋づるで、良子だって、美姫だって、林田もH飯店も台湾野郎にわかってしまうってこと?まずい!まず、この女が誰か調べないといけない!どうする?

 これは私が作戦を立てたからいけない。これからは、頭脳明晰な良子に相談しよう。あいつだったら、こういうミスは絶対にしない。家にいるかな?いたら、ジミー・周のいるサテンに一緒に行って、直接、良子が話を聞ける。私は良子に電話をかけた。居た。

「ファン?私、眠くって。美姫の泣き言夜通し聞いてたのよ。それで、雅子が来襲して、美姫を飯田橋に連れ去ったの。大学休んで、先週から、水、木、金、今日でしょ?代返お願いするのも限界だわ。体で払わないといけなくなるかも?ファンもそうでしょ?」
「あのな、良子、私は代返を女子生徒にお願いしてるんだよ。あんたみたいにデレデレした男子にお願いなんかしてないよ。だいたい『体で払わないといけなくなるかも?』なんて私にワルぶらなくていい。まったく、明彦がスキだから、去年から操を立てて、他の男とエッチしてないじゃないか?あんたも可愛いところがあるよ」

「まあ、ファンにはバレバレだからね」
「雅子が美姫を飯田橋に連れ去ったの?」
「そぉよぉ。1週間に3日くらい、泊りがけで雅子のマンションで受験勉強するんですって。あなたも雅子のアイデア、聞いていたでしょ?雅子が立て板に水で、美姫の両親に、お任せ下さい!偏差値59以上!東京六大学!なんて言って納得させたんだから。説得力、あるわね、明彦の今カノは。さすがだわ」
「週に3日か。こりゃ、明彦もまたまた、今カノと元カノと3Pか?」
「やなこと言ってくれますね?私、なんにも悪いことをしてないのに、はじかれちゃったみたいじゃない。雅子の住所、教えてもらったから、雅子も来ていいって言ってるし、美姫がいない時に、割り込もうかしら?雅子は美姫とソックリだから、抱き心地も同じはずよ」
「新しい男を探せばいいだろ?」
「最近、それ面倒くさくなっちゃって。人の男は楽でいいわ。しがらみ抜きで楽しめて・・・って、ウソです。明彦をスキなのにね。振り向いてくれないんだもの。私だって、モテない、フラれることもあるんだと思ってさ。もったいないと思わない?この良子ちゃんなのよ?高嶺の花じゃないの?」
「やれやれ。それはそうと、大変なんだ・・・」と私はジミー・周の話をした。

「・・・なるほど。わかった。私も行く。喫茶店の場所は?」私は横浜公園近くのサテンの場所を教えた。「ちょっと遅れるかもしれない。十数分かな?タクシーで行くわ。ジミーを待たせておいてね」
「了解だ。良子が作戦を立てて、指揮した方がいい。私じゃ落ちが出る」
「任せなさい」

 タクシーで、ジミーが待っている公園近くのサテンに行った。ジミーは一番奥の四人がけのボックス席に座っていた。

「ジミー、待った?」
「ファンファンだったら、いつまでも待つぜ」
「今ね、友だちも呼んだのよ。関係者。さっき電話で言った、紹介するカタギのねえちゃんじゃないからね。勘違いしないように」
「友だちって女か?」
「あんたにとって、私の数倍、手が届かない高嶺の花よ」
「スゴイのが来るのか?」
「千人、女性を並べたら、一番ってくらいスゴイわ」
「楽しみだなあ」
「まあ、みかけと中身は違うから。ところで、あんたと手下、みんな客家だったっけ?」
「そうだよ」
「とすると、台湾の連中も、上海、広東、福建、四川、どこにも客家はいるわね?」
「そういうこと。香港にもシンガポールにもたくさんいるぜ」

 客家(はっか)は、漢民族の一支族で、その歴史は古い。今の客家は、華北を北方系の遊牧民に征服された10~12世紀の北宋の頃、南に移住した漢民族の子孫だ。それ以前も、4世紀の西晋が八王の乱で衰微し、匈奴が西晋を滅ぼした永嘉の乱の時、漢民族の江南への移住が始まって、客家も南進した。大唐帝国の時も安史の乱・黄巣の乱を避けて南遷したらしい。

 彼らは、独自の文化と言語をもつ集団で、「客」という言葉には、広東語で「よそ者」「一時的な滞在者」といったネガティブで侮蔑的な語感があった。20世紀前半、客家は「東洋のユダヤ人」と称されたこともあり、世界を流浪した、という意味でジプシーとも共通点がある。客家という言葉は、差別的な意味合いが強かった。

 広東人や福建人のように、出身地が明確なアイデンティーにはならず、客家語圏も他の方言との混在地域がある。客家は、広東省梅県の出身者や梅県を含めほぼ異論なく客家語圏と認められる地域にルーツを持って、自ら客家であると自認しているのが現在の正統派客家だそうだ。客家語は古い中国語の発音を残していて、他の中国の人間は客家語を理解できない。

 つまり、広東人や福建人、上海人という出身地が明確なアイデンティーを持つ他の漢民族と違い、客家は、広東、福建、上海、台湾、香港、シンガポールなどどこにでも入り混じっている。ここ横浜の中華街でも、台湾マフィア連中、ファンファンの張家のグループ、林田のグループ他、客家のメンバーはいるのだ。

 しばらく、ジミーの客家とはなんぞや、という話を聞いていた。面白いわ。

 喫茶店のドアが開いて、ドアの上のカウベルがチリンチリンとなった。麦わら帽子に水玉のスリーブレスのワンピースを着た良子が入ってきた。私をみかけて、ハイヒールをカツンカツンさせて歩いてくる。なんだ。ちょっと遅れてきますって、着替えてたのかい。麦わら帽子に水玉のワンピースね。やれやれ。

 ジミーが彼女を見て慌てて立ち上がる。私にはそんなことしないじゃないか!「あなたがジミーさん?わたくし、高橋良子です。どうぞよろしく」と手を差し出した。胸をそらして、手を出すんじゃない。ジミーがおしいだくように良子の手をとってお辞儀する。「ジミー・周です。よろしくお願いします」おい、私への態度と全然ちがうじゃないか!ウェイターが来た。良子は、レモンティーを注文する。ウェイターも態度がうやうやしい。この女と一緒だといやんなる時がある。

「ジミーさん、ファンからあなたのお話は聞きました。台湾の二人組は、この喫茶店での話ですね?彼らは水曜日の同じ時間にここで再度話をするということですね」
「ええ、そうです。今、手下に二人の男を尾行させてますので、いずれ、彼らの居場所はわかるはずです」
「それで、彼らのスパイは、加賀町署の電話交換兼受付の交通係の女性?」
「『電話交換兼受付の交通係のねえちゃん』とヤツラはそう言っていました」
「なるほど。ジミーさん、あなたがお聞きした彼らの会話を思い出せる限りお話下さい」

 ジミーが、一網打尽、捕まらなかったのは俺とお前と跡継ぎだけ、現場に居た彼らの一味の二人は、一人は刑事みたいなのに連行、もう一人は米軍敷地を外に出たところを県警に逮捕、襲撃したのは、男三人、女二人、みんなバラクラバ帽を被っていた、男の内、一人は刑事らしい、警察バッジを人質に見せていた、残りの二人は、米兵は日本人じゃねえんじゃないか、中華街のもんと疑っていた、女二人はわかんねえ、背高のっぽと中背の女で、背高のっぽはめっぽう腕がたつ、などと会話を再現した。

「背高のっぽと中背の女?」ジミーが私と良子を見た。頭を振った。

 それで、仲間の二人は、背高のっぽにアッという間にのされた、米兵の方も、背高のっぽに金玉を蹴られて、二人はエアガンで撃たれた。先に一人だけ、人質を連れ出した、残りの4人は、刑事らしい男が連れ出した。新聞発表では、行方不明者の人質4人が発見、と言ってる。一人はどっかに消えた、その一人は最後にウチのもんが連れてきた女の子だって米兵は言っている。仲間の人間二人とも県警にいるので、消えた一人が誰から買ったのか、わからない、損害額は人質5人で、4千万円。米兵も内部でバレるのをビビって、協力してくれない。

「台湾への上納金が払えなくなった、その詰め腹はトップと跡継ぎにやらせる、彼らに関係ない話だが、この落とし前はつけないと、彼らののメンツに関わる、とこういう会話でした。それで、ファンファンが調べていた林田達夫がらみじゃないか?と思って、ファンファンに連絡したんですよ」

「わかりました。台湾の現場に居た二人は県警にいる、アメリカ人たち三人は現場にいたが、台湾にはもう協力しない、現場にいて警察バッジを人質に見せていた警官は誰だかわからない。5人の内の消えた1人の人質も誰だかわからない。知っているのは県警に逮捕されている一味の2人だけ。それで、加賀町署の電話交換兼受付の交通係の女性が私たちには誰だかまだわからないが、彼女がいずれ、県警内の情報を調べて、現場にいた警官のことも、台湾に知られてしまうかもしれないってことね。それで、警官を除いた現場襲撃メンバーの男2人、女2人は、バラクラバ帽を被っていたので人相がわからないが、現場にいた警官が誰か判明したら、芋づる式にわかるかもしれないって、そういうことね?」
「そうです。背高のっぽと中背の女ねえ・・・」とまた私と良子を見る。

「あら、私も背高のっぽよね?ファンは中背ね。背高のっぽはめっぽう腕がたつ、米兵も、彼女に金玉を蹴られて、二人はエアガンで撃たれたなんて、スゴイわねえ・・・」と言って、テーブルに乗り出してジミーの顔に顔を近づけた。「ねえ、ジミーさん、私はあなたを信用したい。あなたは私を信用できます?」とジミーに尋ねた。ワンピースの一番上のボタンがはずれている。ジミーからは胸の谷間が見えるはず。
「え?あ?あの、も、もちろん、私は高橋さんを信用いたしますとも。もちろんです。なんでも申し付けて下さい!」とジミーが言う。あ~あ、一人、被害者が増えた。
「あら、うれしいわ」と言って、唇に人差し指をあてて、その指をジミーの唇にあてた。「じゃあ、これからの話は口外無用よ。私とジミーさんの秘密ね」ジミー、真っ赤だよ。「ジミーさん、お昼はまだ?私と一緒にお昼を食べませんこと?H飯店でよろしいかしら?」おいおい。
「問題ないっす。お供いたします」
「あら、うれしいわ。じゃあ、早速、まいりましょう。あ!後をつけた手下の人がここに戻ってくるのよね?お店の人に言って、彼らが戻ってきたら、H飯店にいるジミーまで連絡して下さい、って伝言を残しておけば?」
「ハ、ハイ、そういたしますです」やれやれ。

 良子はレシートを取って、さっさと立って、支払いをしてしまい、お店の外に出てしまった。ジミーはあっけにとられている。「ま、ジミー、良子のやることは黙って従ってな。いい出したら聞かない女だよ」「ファンファン、良子さんは、千人に一人じゃないな。万人に一人だよ。俺、子分になる」「あ~あ、被害者がまた一人」「?」「いいんだ、気にすんな」

 店の外に出ると、良子はタクシーに既に乗っていた。早く乗ってと言われる。ハイハイ。私とジミーが乗り込んだ。H飯店までお願い。本店よ、と運転手に指示している。

 良子はタクシー代を払ってお釣りを受け取らずに、H飯店に入ってしまった。お客さん、お釣りと運転手が言うので、とっといて、ありがとうねと言った。

 良子はレストランにスタスタ入っていく。ボーイが寄ってきた。王さん、おられるかしら?と良子がボーイに言う。奥の方に王さんがいて、良子の方に歩いてきた。

「高橋さんの嬢ちゃん、1日おいて、またですか?」
「いいえ、王さん、お昼をいただきに来ただけですよ。個室、空いてません?ちょっとね、面白い話を耳にしたんですよ。この」とジミーを指差す。「ジミー・周さんからお聞きして。あの日曜日の新聞に載っていた事件のことで。王さんもお聞きになりたい?」
「やれやれ、嬢ちゃん、あんたと関わり合いになりたくないんだけどな。いいでしょう。こちらにどうぞ」

 王さんが六人がけ丸テーブルの個室に案内してくれた。王さんがボーイを呼んだ。良子はメニューも見ずに注文した。王さん、フカヒレと紹興酒は別の機会に。前菜は盛り合わせ、くらげが食べたい、チャーシューの盛り合わせも。蟹肉とフカヒレのスープ、海老と山芋、百合根の炒め物、筍とアスパラ、北京ダック、牛肉のあんかけご飯、デザートは杏仁豆腐、飲み物は、赤ワイン二本、ブルゴーニュでいいわ、と勝手に決める。あ、まずは冷たいビールを四本。青島ビールをお願い。グラスは4個。ボーイが退出した。

「王さんは、ジミーさんをご存知なんですか?」と良子が聞く。
「ガキの頃から知ってます」
「それは話が早い。ジミーさんね、今日の話はみぃ~んな口外無用、内緒にしていただけるんですって。私を信用してくれて、私のお願いはなんでも聞いてくれるって約束をしたんですよ。ね、ジミーさん?」ジミーがコクコク頷く。

 ボーイがビールとグラスを持ってきた。サーブしようとするのを俺がやる、と王さんが言ってボーイを下がらせた。

「王さん、まず最初に。台湾の方たちは、加賀町署の電話交換兼受付の交通係の女性をスパイにしているとジミーさんが聞いてしまったんですよ。その女から警察内部の情報は彼らに筒抜けになるようなんです」と良子。王さんが眉を上げた。
「良子さん、徐を呼びましょう」と席を立って、廊下で誰かに徐を呼んでくれと頼んでいる。徐さんはすぐ来た。座らないで立っている。
「じゃあ、ジミーさん、喫茶店で聞いたことをできるだけ彼らの言葉で王さんと徐さんに説明して下さい」と良子がジミーに言った。

 ジミーは、さっきの台湾連中の話を北京語でできるだけそのままに説明した。一通り聞いて、徐さんが、ちょっと失礼と部屋を出ていった。

「王さん、中国語はわかりませんが、まとめると、台湾の現場に居た二人は県警にいる、アメリカ人たち三人は現場にいたが、台湾にはもう協力しない、現場にいて警察バッジを人質に見せていた警官は誰だかわからない。5人の内の消えた1人の人質も誰だかわからない。知っているのは県警に逮捕されている一味の2人だけ。加賀町署の電話交換兼受付の交通係の女性が、いずれ、県警内の情報を調べて、現場にいた警官のことを、台湾の方たちに報告する。警官を除いた現場襲撃メンバーの男2人、女2人は、現場にいた警官が誰か判明したら、芋づる式にわかるかもしれない、とこういう理解でよろしい?」
「そのとおりですな、良子さん」

 徐さんが戻ってきた。王さんが、この人たちに隠し事はいらない。話せ、と言った。

 徐さんは、神奈川県警加賀町警察署交通係の女は、日本名は後藤恵子、戦前、三代前に帰化した台湾人の家の次女。英語/中国名は、レイニー・ヤン(楊丞琳)。日本国籍はある。25才。彼氏は台湾レストランのオーナーの長男、と言った。今のところそんなところですと言う。

 ボーイが来て、料理を運んできた。一通りテーブルに並べて退出した。徐さんが黙って、料理を私たちに取り分けた。

「さて、良子さん、今回はファンファンの嬢ちゃんじゃなく、あなたが仕切るんですか?」
「そのようね」
「良子さんのお考えは?」
「後藤恵子、レイニー・ヤンを抑えないと。彼女に隠し事があるかしら?弱みは?それがわかれば、彼女を台湾連中に内緒で、こちら側に引き入れられますね?それができれば、後藤恵子から台湾の方に、こちらが作ったダミー情報を報告させて、台湾を撹乱できますね?まずは、現場にいて警察バッジを人質に見せていた警官の名前を伏せることが重要です。どういうダミー情報かは、みんなで相談しましょう。犯罪行為にならないように、穏便に済ませましょう。こちらのおバア様にも迷惑をかけてはいけませんものね?ダミー情報でこの台湾の二人と彼らの言う『跡継ぎ』を警察に逮捕させたい、とこういうことかしら?」
「良子さん、あなたがこちら側でよかったよ。その筋書きで行きましょう。で、大奥様に報告しておかないと。徐、お前、大奥様にこの話をお耳に入れてこい」徐さんが頷いて何も言わずに部屋を出ていった。

 あ!忘れてた。「王さん、ひとつ。私、その刑事をこの前呼び出す時に、刑事の従姉妹の張本ですが、と電話係の加賀町署の女性に電話で話したことがあります。その女性が後藤恵子だとすると、刑事と張本という従姉妹と称する女の名字が彼女の記憶に残っているかもしれない。電話で話しただけですけど」

「ふ~ん、ファンファンの嬢ちゃんがもしかしたら刑事と紐付けられるってことですね?そうすると、張の家との関係も勘ぐられるかもしれないってことで、話が拡がるわけですな」
「もしかしたら、ということですけど・・・」

 徐さんが戻ってきた。大奥様が少々後で、こちらにまいられるそうです。大奥様は、フカヒレの姿煮をなぜ注文しない?と高橋さんに伝えろと言われてます。

「あら?今日は、私の支払いですわ。食べ放題、飲み放題は次の機会に」やれやれ。

ヒメと明彦 XXXVII に続く。


登場人物

宮部明彦    :理系大学物理学科の1年生、横浜出身
仲里美姫    :明彦の高校同期の妹、横浜の女子校の3年生
高橋良子    :美姫の高校の同級生
生田さん    :明彦のアパートの大家、布団屋さん
坂下優子    :美姫と良子の同級生
張本芳子    :良子の小学校の同級生、大陸系中国人の娘、芳(ファン)
林田達夫    :中華街の大手中華料理屋の社長の長男
吉村刑事    :神奈川県警加賀町警察署所轄刑事
王さん     :H飯店のマネージャー/用心棒
徐永福     :王さんの部下
ジミー・周   :ファンの知り合いの客家のプータロー
後藤恵子    :神奈川県警加賀町警察署交通係

小森雅子    :理系大学化学科の学生、美術部。京都出身、
         実家は和紙問屋、明彦の別れた恋人
吉田万里子   :理系大学化学科の1年生、雅子の後輩、美術部
内藤くん    :雅子の同期、美術部、万里子のBF
田中美佐子   :外資系サラリーマンの妻。哲学科出身
加藤恵美    :明彦の大学の近くの文系学生、心理学科専攻
杉田真理子   :明彦の大学の近くの文系学生、哲学専攻
森絵美     :文系大学心理学科の学生
島津洋子    :新潟出身の弁護士
清美      :明彦と同じ理系大学化学科の学生、美術部


よこはま物語、ヒメと明彦1~4+5

★ヒメと明彦1、明彦+美姫編

ヒメと明彦 Ⅰ
 1975年8月4日(月)
 ●初体験
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19357082
ヒメと明彦 Ⅱ(Masako Komori、ラブホ)
 1976年2月14日(土)
 ●合格発表
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19357082#2
ヒメと明彦 Ⅲ
 1976年2月14日(土)
 ●ラブホテル
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19357082#3
ヒメと明彦 Ⅳ
 1976年3月19日(金)
 ●部屋探し
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19357082#4
ヒメと明彦 Ⅴ
 1976年3月19日(金)
 ●押しかけ同棲
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19357082#5
ヒメと明彦 Ⅵ
 1976年3月19日(金)
 ●千駄ヶ谷の底なし沼
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19357082#6

★ヒメと明彦4、雅子+明彦編

ヒメと明彦 Ⅶ
 1976年4月26日(月)
 ●Masako Komori Ⅰ
 1976年9月17日(金)
 ●Masako Komori Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556
ヒメと明彦 Ⅷ
 1977年4月22日(金)
 ●Masako Komori Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556#2
ヒメと明彦 Ⅸ
 1977年7月15日(金)
 ●Masako Komori Ⅴ
 神楽坂、居酒屋
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556#3
ヒメと明彦 Ⅹ
 1977年7月16日(土)
 ●雅子の部屋 Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556#4
ヒメと明彦 XI
 1977年7月16日(土)
 ●雅子の部屋 Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556#5
ヒメと明彦 XII
 1977年7月16日(土)
 ●雅子の部屋 Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556#6
ヒメと明彦 XIII
 1977年7月16日(土)
 ●雅子の推測
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359556#7

★ヒメと明彦2、美姫編

ヒメと明彦 XIV(良子の初アパート訪問)
 1976年4月10日(土)
 ●Miki Nakazato Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359760
ヒメと明彦 XV
 1976年4月10日(土)
 ●Miki Nakazato Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359760#2
ヒメと明彦 XVI
 1976年4月10日(土)
 ●Miki Nakazato Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359760#3
ヒメと明彦 XVII
 1976年4月10日(土)
 ●Miki Nakazato Ⅳ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359760#4
ヒメと明彦 XVIII
 1976年4月10日(土)(初3P)
 ●Miki Nakazato Ⅴ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359760#5
ヒメと明彦 XIX
 1976年4月30日(金)(予備校、3P)
 ●Miki Nakazato Ⅵ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359760#6

★ヒメと明彦3、良子編

ヒメと明彦 XX
 1976年5月1日(土)
 ●Ryoko Takahashi Ⅰ(ヒメと明彦2、美姫編、ヒメと明彦 XIXの続き)
 1976年5月3日(月)
 ●Ryoko Takahashi Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359846
ヒメと明彦 XXVII 👈 NEW
 1976年5月7日(金)
 ●Ryoko Takahashi Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359846#2
ヒメと明彦 番外編1
 1976年8月28日(土)
 ●酒と目薬
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19359846#3

★ヒメと明彦5、芳芳編

ヒメと明彦 XXI
 1970年2月4日(水)
 ●良子、小学6年生
 1977年7月13日(水)
 ●良子の懸念
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19381747
ヒメと明彦 XXII
 1977年7月14日(木)
 ●芳子の捜索 Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19381747#2
ヒメと明彦 XXIII
 1977年7月14日(木)
 ●芳子の捜索 Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19381747#3
ヒメと明彦 XXIV
 1977年7月16日(土)
 ●芳子の捜索 Ⅲ
 1977年7月16日(土)
 ●雅子 Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19381747#4
ヒメと明彦 XXV
 1977年7月16日(土)
 ●良子の家
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19381747#5
ヒメと明彦 XXVI
 1977年7月16日(土)
 ●天ぷら蕎麦
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19381747#6

★ヒメと明彦6、明彦編

ヒメと明彦 XXVIII
 1977年7月16日(土)
 ●林田
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19423317
ヒメと明彦 XXIX
 1977年7月16日(土)
 ●作戦会議
 ●車内
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19423317#2
ヒメと明彦 XXX
 1977年7月14日(木)
 ●拉致
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19423317#3
ヒメと明彦 XXXI
 1977年7月17日(日)
 ●侵入
 ●救出
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19423317#4
ヒメと明彦 XXXII
 1977年7月17日(日)
 ●口裏合わせ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19423317#5

★ヒメと明彦7、雅子と美姫編

ヒメと明彦 XXXIII
 1977年7月17日(日)
 ●雅子の提案
1977年7月18日(月)
 ●美姫の引っ越し Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19447365
ヒメと明彦 XXXIV
 1977年7月18日(月)
 ●盗み聞き
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19447365#2
ヒメと明彦 XXXV
 1977年7月18日(月)
 ●美姫の引っ越し Ⅱ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19447365#3
ヒメと明彦 XXXVI
 1977年7月18日(月)
 ●美姫の引っ越し Ⅲ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19447365#4

★ヒメと明彦8、後藤恵子編

ヒメと明彦 XXXVII
 1977年7月18日(月)
 ●ジミー・周
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19464538
ヒメと明彦 XXXVIII
 1977年7月19日(火)
 ●美姫の引っ越し Ⅳ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19464538#2
ヒメと明彦 XXXIX
 1977年7月19日(火)
 ●後藤恵子 Ⅰ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19464538#3


ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編1

ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編2

ヰタ・セクスアリス(Ⅰ)雅子 総集編3

挿入話第7話 絵美と洋子、1983年1月15日/1983年2月12日

ヰタ・セクスアリス - 雅子 16(エピローグ)


登場人物

宮部明彦 :理系大学物理学科の2年生、美術部
小森雅子 :理系大学化学科の3年生、美術部。京都出身、実家は和紙問屋
田中美佐子:外資系サラリーマンの妻。哲学科出身

加藤恵美 :明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、心理学科専攻
杉田真理子:明彦の大学の近くの文系学生、大学2年生、哲学専攻

森絵美  :文系大学心理学科の2年生
島津洋子 :新潟出身の弁護士

A piece of rum raisin - 単品集

奴隷商人とその時代 (続き)
奴隷商人とその時代 Ⅳ
 ●紀元前46、47年前後の出来事
 ●古代ローマの浴場

奴隷商人とその時代

奴隷商人とその時代 Ⅰ

奴隷商人とその時代 Ⅱ
 ●古代の鏡

奴隷商人とその時代 Ⅲ
 ●イスラムの一夫多妻制度
 ●奴隷制度
 ●奴隷制度・ハレムと一夫多妻制
 ●奴隷商人ムラーの商売

奴隷商人 Ⅰ

奴隷商人 Ⅱ

奴隷商人 Ⅲ

奴隷商人 Ⅳ

奴隷商人 Ⅴ

奴隷商人 Ⅵ

奴隷商人 Ⅶ

奴隷商人 Ⅷ

奴隷商人 Ⅸ

シリーズ「A piece of rum raisin - 第1ユニバース」

第1話 メグミの覚醒1、1978年5月4日(火)、飯田橋
第2話 メグミの覚醒2、1978年5月5日(水)
第3話 メグミの覚醒3、1978年5月7日~1978年12月23日
第4話 洋子の不覚醒1、1978年12月24日、25日
第5話 絵美の覚醒1、1979年2月17日(土)
第6話 洋子の覚醒2、1979年6月13日(水)
第7話 スーパー・スターフィッシュ・プライム計画
第8話 第二ユニバース
第9話 絵美の殺害1、第2ユニバース
第10話 絵美の殺害2、第2ユニバース
第11話 絵美の殺害3、第2ユニバース

シリーズ「フランク・ロイドのヰタ・セクスアリス(Ⅱ)-第4ユニバース

第一話 清美 Ⅰ、1978年2月24日(金)
第一話 清美 Ⅱ、"1978年2月24日(金)1978年2月27日(月)
第二話 メグミ Ⅰ、1978年5月4日(火)
第三話 メグミ Ⅱ、1978年10月25日(水)
第四話 メグミ Ⅲ、1978年10月27日(金)
第五話 真理子、1978年12月5日(火)
第六話 洋子 Ⅰ、1978年12月24日(土)

 ●クリスマスイブのホテル・バー
 ●女性弁護士
第七話 絵美 Ⅰ、1979年2月17日(土)
 ●森絵美の家
 ●御茶ノ水、明治大学
 ●明大の講堂
 ●山の上ホテル
第八話 絵美 Ⅱ、1979年2月21日(水)
第九話 絵美 Ⅲ、1979年2月22日(木)
第十話 絵美 Ⅳ、1979年3月19日(月)1979年3月25日(日)
第十一話 洋子 Ⅱ、1979年6月13日(水)

メグミちゃんの「ガンマ線バースト」の解説

マルチバース、記憶転移、陽電子、ガンマ線バースト


シリーズ「雨の日の美術館」


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シリーズ「アニータ少尉のオキナワ作戦」

シリーズ「エレーナ少佐のサドガシマ作戦」

A piece of rum raisin - 第3ユニバース

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フランク・ロイドの随筆 Essay、バックデータ

弥呼と邪馬臺國、前史(BC19,000~BC.4C)


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