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一日で4つの空港を回った女、爆誕(前編)

現在、私が目指しているのはトルコ北東部に位置するトラブゾン。行くことになった経緯は前回のnoteから。

飛行機のチケットも予約し、ついに旅立つ日がやってきた。今回はチャナッカレ空港→アンカラ・エセンボア空港→トラブゾン空港と、乗り継ぎが必要な旅程となっている。チャナッカレはトルコの中では田舎で、一日一便、しかもアンカラ行きしか無いためである。そのため、朝は4時起きで空港へ向かう。

チャナッカレ空港にもトロイがいる。


トルコの航空会社は比較的ゆっくりで、時間通りに離陸することのほうが珍しい(印象がある)。私はamazon primeで『うる星やつら』をダウンロードし、見ながら離陸を待つ。高橋留美子、好きなんですよね〜!!!


…それにしても、離陸遅くないか?


一抹の不安が心の中に生まれ、じんわりと心に広がっていく…。


実は、次の飛行機までの乗り継ぎ時間はたったの30分。予約する時からすでに不安で、友達に「これ乗り継ぎできる?危なくない??」と何回も確認したのだが、何度聞いても「階段上がってすぐだから絶対間に合うって!私は毎回それで帰ってる」とのこと。

まあ地元の人が言うなら間違いないんだろう…と、脳内からシャットダウンしていたが、もしかしたら現実になるかもしれない…と不安に駆られる。正直、うる星やつらどころではない。

私が一人焦ったとて、離陸時間の変更も着陸時間の変更もどうにもならないところも辛い。


やっと離陸したころには、20分の遅延。どうなるんだコレ。乗れなかったらどうすればいいんだ。

朝早かったのでうつらうつらしながら、なるべく時計を見ず過ごす。時計を見たところで不安が募るだけなので、なるべく触れずに過ごしたい。


そして、運命の着陸の時間。


15分間の遅延。巻いたのは僅か5分。乗り継ぎのための時間は今から15分。まじで間に合うのかわからない状況である。徐々に手は汗ばみ、心なしかおなかまで痛くなってくる。間に合ってくれ、頼む…。

さらに運の悪いことに、飛行機から空港までは空港内バスに乗って向かわなければならない。運が悪いというか、チャナッカレ空港からの飛行機が小さいことが原因なんですけれども…。

私がどれだけ急いで飛行機から出たところで、最後の乗客がバスに乗るその瞬間まで、バスは動かない。

しかし、この時点で心の中にもう1つの声があった。「いつもこんだけ不安になって、結局いつも間に合うよね…」トルコで強くなった私の胸中に生まれた、謎の余裕である。

なんとなくもう一人の自分に背を押され、空港に着いても希望を捨てずに乗り換えゲートに颯爽と向かう。トルコ航空は大抵離陸が遅れるし、今回も例外じゃないでしょ…。そう思いながら歩くと、本当に根拠のない自信が内から湧き出てくるのを感じる。そうそう、どうせ間に合うのよ…。


乗り換え場所に着くと、ゲート付近に多くの人が座っているのを発見した。(やっぱり間に合うんじゃん…)と一息つくと、張り詰めていた緊張まで一気に解れ、なぜか笑ってしまう。

水でも買うか…。昨日買っておいたパンも食べよう。ゆっくり目の朝ご飯を嗜んでいると、ようやくゲート付近の人々が動き出す。34番に吸い込まれていく人たちに加わろうと、その上の行き先を見た瞬間…。


Izmirって、書いてあるなあ…。


ここまで心臓が乱高下した事例を私は知らない。恐らく人生初。まず血の気がサッと引く。手が震えだす。そして目は何度も表示板を捉え、正しく認識しようとする。私が行くのはTrabzon、ですよね…?

しかし、何回見てもそこに表示されているのはIzmirで、何度も確認するという健気な努力も虚しく、その事実を受け入れるしかなくなるのである。

というか、私のゲートはそもそも34番じゃなく37番だった。もう明らかに望みがない。


(とにかくどうにかしなきゃ…)と心は焦っているが、こんな経験はしたことがないので、何をどうすればいいのかさっぱり分からない。空港職員らしき人を探すも、私が動揺しているその間にIzmir行きのゲートすら閉められ、空港職員は皆無である。

周りを見渡す…と、いた!!!!トイレ付近に、清掃員のおっちゃんが!!!

えーーーい、イチかバチかこの人に聞くしかない!!!と思い、飛び込むことを決意した。それが、この「4つの空港を巡る女、爆誕」の誕生の瞬間であった。


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