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事業再構築補助金の闇⑨重複案件ルールについて

シリーズ8本目の前回は、「国庫及び公的制度からの二重受給(旧:重複案件)」についての具体例として、障害福祉事業について見てきました。

今回の9本目は、1本目~8本目のまとめと、第8回公募要領に追加された「国庫及び公的制度からの二重受給(旧:重複案件)」が第1回公募~第7回公募までの採択者に与えた影響について解説していこうと思います。

まず、繰り返しになりますが、下記のルールが第8回公募要領(2022年10月公表)に追加されました。

テーマや事業内容から判断し、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が助成する 他の制度(補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格 買取制度等)と同一又は類似内容の事業

第11回公募要領 国庫及び公的制度からの二重受給

これにより、
①歯科医院、調剤薬局などに代表される公的医療保険からの診療報酬を受ける事業(保険適用の接骨院、整骨院等もこの範囲内)
②介護保険からの介護報酬を受ける事業(訪問介護、通所介護、訪問看護等)
③介護同様に、国庫負担がある障害福祉サービス等報酬を受ける障害福祉事業(就労支援、放課後等デイサービス、障がい者向けグループホーム等)
④同様に国庫負担がある保育園、学童保育(放課後児童クラブ)等

は事業再構築補助金の補助対象からはずれました。

ですが、とても重要な点があります。

この国庫及び公的制度からの二重受給のルールですが、第1回採択者から適用になることです。

西村経済産業大臣はこのようなツイートをされていますが、現実は、
第8回公募要領から、
公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬」
という文言が追加されましたが、

このルールは第1回公募の採択者から適用

されています。

さて、第1回~第7回の申請者、採択者の方々、このルールご存じでしたか?

特に採択者の方で、上記に挙げた①~④を補助事業として採択された方、
このようなルールを知ったうえで、申請されましたか?

でも、事業再構築補助金事務局も中小企業庁も、このルールは第1回申請時から存在していた、ルールについて不勉強な申請者が多いから、わかりやすいように第8回公募要領に追加してあげただけ。よく理解しないで申請したお前ら(申請者)が悪いというわけです。

でも、疑問に思いませんか?
そんなルールあったなら、なんで①~④の事業は採択されたの?
相応の知見をもった複数の審査員(中小企業診断士等)が審査しているんだよね?って思いますよね?

これに対しては、事務局は「審査は適切におこなっています」としか答えてくれないんです。

じゃあ、「適切に審査してくれているなら、①~④の事業で採択されていても大丈夫なのか、良かった!」と思ったあなた、甘いです。

追加で、このようなことを言われます。
「でも、もし補助事業が①~④の事業に該当するようであれば、それは採択取消になります。交付決定がおりていれば、交付取消。補助金を受け取っていれば、加算金をつけて補助金返還が必要です。」


申請者も、支援する認定支援機関も、そして審査をする審査員も、最終チェックをして補助対象外となるような案件が含まれていないかチェックするはずの事務局も、第1回~第7回の審査時は、全員がこのルールを認識していませんでした。

後述しますが、審査員や事務局が認識していれば、1,000件を超える①~④の事業が採択されるはずがありません。数件見逃してしまっていたとのとはレベルが違います。

1万歩譲って、仮に事務局だけがもつルールブックの中に、①~④の事業は補助の対象外と書かれていたとしても、事業者や支援者にそれが理解されていなければ意味がありません。

理解されていないルールは存在していないのと同じです。
また、緊急性が求められるコロナ禍でもあり、採択前に契約や事業に着手できる「事前着手制度」が認められていたことからも、どんな事業が補助対象外になるのか、明確にルールを提示する必要性があったことは明らかです。


また、審査をする審査員が理解していなければ、補助対象外となる案件を排除する正しい審査が行えません。
さらに、最後の砦であるはずの事務局も、①~④の事業をルールに基づき、採択取消を行うことをせず、第7回まで採択を出し続けました。これは事務局の重大な罪だと思います。

この結果、何が起こっているか?

この事業者にとって極めて不利益な変更を第1回採択者まで遡及して適用するという対応を行ったせいで、私が第1回~第7回の採択された5万件強を調査した結果、1,162件が上記の①~④の補助対象外となる事業に該当する懸念が極めて高いことを確認しました。

第1回から国庫及び公的制度からの二重受給のルール(当時は重複案件ルール)にきちんと「公的医療保険・介護保険からの診療報酬、介護報酬」という文言が記載されていればこのような事態を生みませんでしたし、仮に申請者や支援者が気づかなくても、ルールを知っていたはず(実際は知らなかった、認識していなかったと思います)の審査員や事務局側のチェック機能が全く働いていればこのような事態は防げたはずです。

まだ第1回~第7回採択者のすべてが補助金受給に至ってはいないでしょうし、途中で事業をあきらめた方も一部はいらっしゃるとは思います。

ですが、無事に補助金を受領できたとしても、①~④に該当する補助事業を行っている場合は、受け取った補助金に加え、加算金も含め、返還する義務が生じています。
まだ事務局から言われていないだけで、返還する義務を負ったままであることに変わりありません。

是非、補助金を受け取られた事業者様も、この事実を踏まえて、今後の対応をお考えになっていただければと思います。
以上、この9本目では1本目~8本目までのまとめのご説明を行いました。

もし、本件でお困りの方がいらっしゃれば、ご相談にのらせていただきます。ご連絡は下記メールアドレスまで。
jigyou-saikouchiku@bd-labs.jp


過去記事リンク
事業再構築補助金の闇① 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇② 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇③ 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇④ 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇⑤ 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇⑥ 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇⑦ 重複案件ルールについて
事業再構築補助金の闇⑧ 重複案件ルールについて


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