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【創作に活かすための読書】『グループ・ダイナミックス --集団と群集の心理学』①

 100ページ程興味の湧く部分を中心に読みました。まだ途中ですが、とても良い書物だと感じます。読んだ範囲の内容と考えたことを書いていきます。

第1章 集団とは何か を読んで

 ここでは集団の中心となるリーダーとその他成員のネットワークについてが主に書かれていました。

 ここで思い出すのがNARUTOのサスケ奪還編にて、シカマルの指示により決まった隊列とその割り振りの合理性について。※単純にふと思い出したに過ぎないのですが、いつ思い返しても素晴らしいシチュエーションです。

 私は、本書のような心理学的傾向と上記のような創作的設定を比較して「理にかなってるなぁ」みたいな分析はしません。現実と創作物の世界は同質ではなく、後者にはエンタメとして昇華できればそれでいいという前提があると考えています。

 しかし、人間社会を模倣しキャラクター達を描く上で、本質を知ることは個人的に大切だと考えています。「集団とは何か?」「集団のなかでの個の意味とは?」考えてみると面白いですし、創作のヒントに繋がります。

第2章 集団のパフォーマンス を読んで

この章では、スポーツチームの能力や特性の多様性から見た集団のタイプや社会的手抜きについて主に記されています。

 まぁ、現実ではそうなるよね、といった内容で創作に活かすには難しい印象です。リアリティには繋がるものの面白さに繋げられそうにない、というのが個人的な感想です。(※もっとも、掘り下げればどんな内容でも利用できるのが創作の良さだし、人それぞれアイディアを得る視点は異なるので、あくまで私的な意見です)

第3章 集団意思決定 を読んで

 この章では集団の意思決定が極端になるという集団極化、また愚かな結論を導き出してしまうという集団的浅慮について詳しく記載されいます。

 一人だったらそんなことないのに、集団で会議している状況だと意思表示が出来なかったり遠慮したり空気読んだり、あるいは阿ったり日和ったり……そういうものの影響で最終決定が動くという、日本人なら誰でも経験しているであろう、あれに関係するお話です。

 集団でいることで他者との比較が生まれる。そして、自分の存在をアピールするためにあえて極端な意見を表明し注目を浴びようという心理が生まれ、結果そのきっぱりとした極端な意見が通ってしまう。これが集団極化の1要因だそうです。集団極化、すごく便利な言葉だと感じます。

 読んでいて、複数のなかにいるときの役回りってあるよなぁ。と思いました。たとえば、お笑い芸人なら、そこに自分がいる理由を理解した上で、状況に合わせてボケたりツッコんだり聞き手に回ったり、様々な場面でそういった動きが見られます。もちろん芸人さんに限った話では全然ないです。個人的にその場のその場の面白さを生むこともそうですが、進行や企画の成功を考えている方にはとても好感を覚えます。

 私も過去に話し合いの場で「こいつら何も意見出さねーな。これは自分が引っ張らないとマズイ」みたいなことを内心で感じていたり、「ああ、この人はすごく上手く話をまとめてくれるから、極力流れを邪魔しないように気を付けつつサポートしていこう」と考えたりした経験がありました。

 集団の持つ特徴によって、そこにいる個人の心境や言動が変わってしまう

 当たり前といえばそうですが、中には一貫して主張を曲げない強者もいるので、そんなリアル同様に、創作においても「集団内での態度でキャラの性格、個性を描く」という手法はとても自然で有効だと思います。

第5章 集団・群集の行動 を読んで

 こちらには、実際に集団、群集がどんなことを引き起こすかが具体的に分類されています。(第4章は飛ばしました)

ちなみに、定義としての群集は、

人々が一定の局限された空間に存在し、共通の焦点(例えば火事,交通事故,泥棒)がある場合のみを指す    (引用)

ということで、一時的に何かを目的としていたり、偶然集まった人々が「群集」で、だからこそ引き起きる集団行動も存在します。

 その集合行動は本書の記述によると ①敵意 ②興味・娯楽・利益 ③恐怖・不安・恐れ に分類されています。具体例としては、デモやテロ、リンチ、スケープゴート、野次馬、祭事の群集、行列、パニック、集団ヒステリー等が挙げられています。

 ※これについては後日書けることがあれば書きます。

まとめ・感想など

 まず、読書という行為そのものが創作的着想を得るための手段として有効だと感じます。だいぶ読書していなかったので顕著に感じます。

 私が何より思うのは、別にこういった専門知識をあえて取り入れる必要はない、ということです。リアリティを演出する目的以外ではあまり有効活用できないという感覚が私にはあります。

 なぜかというと、上で書いたように『現実と創作物の世界は同質ではなく、後者はエンタメとして昇華できていればそれでいい』という前提があると考えているからです。

 むしろ、事実と逸れ、偏りまくった原理を提示した方がきっと面白いです。たとえば、会議で皆の意見が出ないのは集団心理が働いたのではなく、実は「出席者全員が前日発売された新作ゲームを徹夜でやっていて眠すぎて頭が働かなかったから」とか、そういう方向へ持っていった方が作品は面白くなるはずです。※ただ、そればかりだとやがてボボボーボ・ボーボボの世界観と化すのでギャグ路線でない場合は注意が必要だと思います。

 結局のところ、自分の好みだと思います。本なんか読まなくてもリアルでの強烈な体験が創作へ結びつくこともあるし、好きな作品を研究することで自分のスタイルを見つけていくこともあるだろうし、本当に好みだと思います。

そして忘れてはいけないのが、

ゴチャゴチャ言ってないでさっさと作れよ!!完成させろよ!!

この精神です。耳が痛いですが100%正しい創作の理なので、私も地道にシナリオ作りを進めていきたい次第です。






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