見出し画像

【推し短歌】ドラマ「富士ファミリー」編「いていい。生きてていい。そして機嫌よく生きる。」

「さざなみのよる」(河出文庫)木皿泉(著)を読んで、

今さらながら、目の前に富士山がそびえ立つ古びたコンビニ「富士ファミリー」を舞台にしたドラマ「富士ファミリー」を観たんだけど、似たりよったりな刑事・医療・恋愛モノなどが多い中、


「私、ほんっとに、何もできないんですう~。」

「うまくできるかなあ?家の事とか店の事とか?」

ばあさん
「そんなもんできなくたっていいよ。」


「えっ、いいんですか?」

ばあさん
「機嫌よく暮らしてくれたら、それでいい。」


「えっ?それだけで、いいんですか?」

ばあさん
「そう。それだけ」

「それが75年生きてた私の結論だね。」

等、独特な世界観へ誘ってくれるドラマでとっても面白かったよ(^^)

本作では、そんな彼女の死の直前と、ドラマのその後が描かれています。

末期がんで43歳の若さでこの世を去ったナスミはどんな人物だったのか。

家族や親族、同級生などの各視点から連作短編という構成をとり、14のエピソードで綴られます。

一人の女性が、ガンのため43歳で亡くなる。

何かに秀でている訳ではない彼女が残した小さな出来事が、丁寧に語られていく話。

人が亡くなった時に「あなたのことは忘れない」と思ってしまう。

でも、実際に本人がいない状況では、その存在は、少しずつ薄れていってしまう。

それが、他人であれば、なおさら。

「今はね、私がもどれる場所でありたいの。誰かが、私にもどりたいって思ってくれるような、そんな人になりたいの」

そこで、定期的に思い出す機会を設けるようにしていて、その人を忘れてしまうという恐怖と闘っているように感じる。

「よいことも悪いことも受けとめて最善をつくすッ!」

そんなに頑張らなくてもいい、ある日、ある場所で、そよ風のように感じる、それでいいんだよ、と教えてくれる一冊。

「もどりたいと思った瞬間、人はもどれるんだよ」

「だからぁ死ぬのも生きるのも、いうほどたいしたことないんだって」

そうそう、どんなに悲しくてもお腹はへるんだ!を題材?にしたプレミアムドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」も、素朴だけど、じわっとあたたかく、優しい物語の様です(^^)

「昨夜のカレー、明日のパン」(河出文庫)木皿泉(著)

この原作も「死」が当たり前の出来事として描かれているけど、読者に絶望感や悲壮感を与えない。

だからといって、主人公達が悲しんでいない訳ではないことはきちんと伝わる。

辛い状況でもクスりと笑ってしまう瞬間がある。

そんな日常がユーモアたっぷり描かれ、悲しいことがあっても、人は死ぬまで生きていくんだよなぁ~と前向きになれる優しいお話でした(^^)

先入観って、多くの場合、誤解です。

身近な人の死は、周囲の人々に自らの思考や生き方に変化をもたらします。

それは"さざなみ"のように静かではありますが、心を揺さぶる確かなものもあるのかなって、そう思います。

昨日までの想い出。

今日生れた想い出。

明日生れる想い出。

ひとは、ひとりでは、笑い難いし、たったひとつの笑い声が、空気を変えたりします。

生きるとは、どういうことなのかを学び取ってみるチャンスでもあるのかもしれませんね。

例えば、都会の喧騒から離れて大きな木に抱きついてみると。

自分の心臓の音の向こう側に知らない何かが生きる音が聞こえてきて。

じんわりと自分が静まるように思えたりします。

人には、社会があり、役割があり、立場があり、関係性があったりするからかな。

木とは違って、どうしても人は人に警戒をしてしまうこともあるから。

発露等を求めながらも、自身の奥にあるものを隠したりしてしまう生き物かもしれないけど。

人には、静けさの中にある激しさ(精神性)があるのだということを理解していれば、かける言葉も温かくできて。

本来の静かでいて、純粋でもあり、むき出しの決して消えることのない無限の精神を受けてあげることができると思うから。

喜びや怒りをシェアしなくても。

苛立ちや悲しみをぶつけなくても。

通じ合うものもあるのだということを信じても良いんじゃないかって、そう思います。

そうだからこそ、安心して感情の顔をとって、ご機嫌さんでいられるんじゃないでしょうか(^^)

残り三ヶ月と少しだけど。

みなさんのこの一年が、たくさん頑張った一年だとしたら。

たくさん笑っていい一年になりますように!

笑う私にも福は来る(^^)

まっ、まだ生きてるし、そして機嫌よく生きるために、偶には、バカみたいに笑おうぜヾ(@>▽<@)ノぶぁっはははっははは♪

【推し短歌】ホームドラマ「富士ファミリー」編:

「くっしゃっと笑って泣いて生きる音純でむき出し顔の静けさよ」

【参考記事】

【関連記事】
【推し短歌】オートバイ「ヤマハSRX400」編「同じ考えを持った決して多くない人たちに向けた本物のバイクを」
https://note.com/bax36410/n/n317af8b330ea

【推し短歌】自動車「マツダRX-7/FC3S」編「オレはロータリーエンジンの血脈に脈々と流れ続けている孤高のスピリッツが好きなんだ」
https://note.com/bax36410/n/nd01e2e88b81b

【推し短歌】朝ご飯「TKG」「TKNG」「NTGK」「RNC」「TKNNG」どれにするか問題編「ワイシャツの肘に乾けるご飯粒一日をわれとともにありしか」があれだったら嫌かも(^^;
https://note.com/bax36410/n/n7a197118a41c

【推し短歌】マンガ「ドロヘドロ」編「やれやれ、仕方ないな~。じゃあこっちも、久々に本気で行くぞ!」
https://note.com/bax36410/n/n28c6d346a5b7

【推し短歌】ゲーム「フォートナイト」編「これより我、修羅に入る! 」
https://note.com/bax36410/n/n49648aed902d

【推し短歌】日本語「ご縁」編「すべての物事には「運・時・縁」が関わっている」
https://note.com/bax36410/n/n79f997d2b1cf

【推し短歌】映画「ショーシャンクの空に」編「希望はいいものだ。多分最高のものだ。素晴らしいものは決して滅びない。」
https://note.com/bax36410/n/ncb0c664b0fc6

【推し短歌】偏愛作家「澁澤龍彦コレクション」編「時間がないのだから本当にやりたいことだけやるよ」
https://note.com/bax36410/n/na7e83285960e

【推し短歌】「百鬼夜行」シリーズ編「この世には不思議な事など何もないのだよ、関口君」
https://note.com/bax36410/n/ncc38c857138d

【推し短歌】雑誌「ナショナルジオグラフィック日本語版」編「好奇⼼は、限界を知らない。」
https://note.com/bax36410/n/n8b53b00302da

【推し短歌】ゲーム「麻雀」編「「勝つ」ことではなく「負けない」ことにホンモノの強さはある。」
https://note.com/bax36410/n/n2f7b13405646

【推し短歌】プラモデル「1/35ミリタリーミニチュアシリーズ」編「君がもし失敗を恐れるモデラーであるとしたらいったい君は何のためにモデラーであるのか?」
https://note.com/bax36410/n/n592c0c867a9c

【推し短歌】古典「和歌の解き方」編「和歌とは本の心(個々事物の美的本性)を表すことである」
https://note.com/bax36410/n/nafa6ee8d90fa

【推し短歌】クラシック音楽「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23」編「誰もが知る冒頭に始まり名技の限りを尽くすピアノを中心にロシア的ロマンを歌い抜く永遠の名曲です」
https://note.com/bax36410/n/ne3da62007bc4

【おまけ】
「富士ファミリー」(2016)

「富士ファミリー」(2017)


この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?