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【読書感想】ゆっくり、いそげ

明けましておめでとうございます。
地方公務員のばたやんです!

新年初めての記事は読書感想です。
この年末年始で読んでいた本「ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済」の感想を書いていきます。


🔷ゆっくり、いそげ

著者:影山 知明
大和書房


🔷本書を読もうと思ったきっかけ

数年前に、オンラインでおすすめの本を紹介するイベントに参加したときに参加者の一人からおすすめされていたのが本書を知ったきっかけでした、その時は気になる程度でAmazonの欲しいものリストに入れておいただけでした。

そして昨年(2022年)茨城県内で地位活動をスタートするためのセミナー(こちらもオンライン)に参加したときに、登壇者の方が本書で読んだことを意識しているとお話しており、そういえばと思い出し即ポチしました。

実際の会話を通して薦められると信頼度が爆上がりしますね。


🔷本書の感想


〇どんな本?

本書は東京の西国分寺にある「クルミドコーヒー」のお話です。

著者はマッキンゼー、ベンチャーキャピタルの創業を経験した後この「クルミドコーヒー」を開業するのですが、その中で何を大切にするのかという問いを考えながら歩んできた記録が本書には書かれていると感じました。

サブタイトルにもある「カフェからはじめる人を手段化しない経済」というテーマについては資本主義に対する投げかけであると思いました。

どういった議論がされているのかは後程書いていきますが、本書はぜひ紙の本で手に取って読んでいただきたい1冊です。


〇資本主義への問い

第1章では資本主義の中にある金銭的価値ではない「新しい経済」についてのお話がクルミドコーヒーで提供されるクルミの産地である長野県東御市のクルミ農家さんとクルミドコーヒーとのかかわりあいを通して書かれています。

著者の経歴からも分かる通り、バリューの作り方がロジカルに説明されていてとても参考になる章でした、目先のサービスだけでなくその先にある生産者とのコミュニケーションも考えていく、金銭的価値だけでない「顔の見える関係」を築くことが、農業者や産地の助けにつながっていくことを学びました。

第2章~第6章では、「テイク」と「ギブ」についてのお話が中心となって、「人を手段化しない経済」のより具体的な内容が書かれています。

  • お客さんの中に眠る「消費者的人格」と「受贈者的人格」

  • 大切なものはお金だけなのか

  • 交換の原則を変える

  • 「支援しあう関係」に基づく組織

  • 公・共・私

とピンときた文を並べてみました。
第2章~第6章の一連の流れは、もう一度読み直してしっかりと理解していきたい内容だと思いました。

余談になるのですが、章間のコラムで「地域通貨が続かない理由」がありまして、少し前に地域通貨について考える機会があり気になっていたので、このコラムを熟読しました。

読んでみて感じたことは、これって地域通貨だけじゃなくて持続可能な地域活動にも言えることかと。

地方公務員の方や地域通貨、地域活動について何かヒントが欲しい方は読んでみると新しい気づきが得られるかもしれません。


○ゆっくり、いそげとは

第7章では時間と価値についてのお話が書かれています。

傑作が傑作たるためには、そうなるための時間とプロセスが必要なのだ。

ゆっくり、いそげ

本書では、時間とは作品と受け手のコール&レスポンスを形成する余地だと書いています。
現代はこのコール&レスポンスにかける時間がかなり短くなっています、タイパ(タイムパフォーマンス)なんて言葉が生まれてきているのも納得ですね。
それはただ消費が加速する、それだけの経済のようにも感じます。
時間をかけずに次から次へと新しいものに移り変わっていく風潮では、定番や傑作と呼ばれるものが生まれにくいのではないかと考えます。

かけるべき時間をちゃんとかけ、かけるべき手間ひまをちゃんとかけいい仕事をすること。
さらにはその仕事を丁寧に受け手に届け、コール&レスポンスで時間をかけて関係を育てること。
つまり「贈る」ことを仕事目的にする。

ゆっくり、いそげ

私なりのタイトルの「ゆっくり、いそげ」の解釈とは、一つ一つの物事に丁寧に一生懸命手間暇をかける、そうすることで結果として目的地に早くたどり着ける、そう考えました。


🔷本書を読んで

実のところこの本を読む前はnoteもInstagramも「スキ」や「いいね!」、そしてフォロワーの数を他人と比べてはまだまだだなと思って悶々としていました。

本書を読んで、それらはあくまで自分の利益や成果を最大化する「利用しあう関係」に基づいている感情に気づきました。

「テイク」ではなく「ギブ」から始める、ビジネス書や啓発系の記事でよく見かける一文ですが、これの本質的な部分を本書を通じて学びました。

「ギブ」の感情に基づいて「支援しあう関係」を築いていきたいものです。
幸い、こうしてnoteやInstagramを続けてきて発信する素地は身についてきているかなと感じていますので、今後も「与える人」になれるように精進していきます。




この記事の内容が誰かの力や気づきになれれば幸いです。

それでは、地方公務員のばたやんでした。