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📒電話応対が嫌いなキミは、間違っていない。

電話応対。聞いただけでぞっとする。仕事の中で何が一番嫌いか問われたら、真っ先に電話応対と答える。毎日、何かの拍子で電話が壊れないかなとさえ思う。新入社員がはじめに覚える仕事が電話応対なんて絶対に間違っている。簡単な取次だけでいいなんてフザケルナ。どう考えたってハードすぎる。

そんな私は今、電話応対が業務の中心となっている。それでも変わらず電話のことは大嫌い。しかしそんなこともいっていられないので、恐怖の根源のコイツとの付き合い方をまとめてみる。


そもそもなぜ電話に苦手意識をもつのか。

説明するまでもない。Z世代の若者(ゆとり世代の後半)は、固定電話を使う習慣がなかったからだ。

私が幼いころは、辛うじて固定電話を使う機会があった。学校の連絡網でも、固定電話の番号が登録されているのが当然だった。それだけでなく、友達への連絡も家に電話する以外に術がない。それがいつの日やら、携帯電話での連絡が主流となった。共働き世帯が増えたことが要因だろう。今では固定電話のない家庭も珍しくない。LINEやメールが中心になり、そもそも電話する機会も減った。時代は変化している。

そんな固定電話を使わない世代が、電話応対なんて当たり前であるという社会に放出される。なんて残酷なのだろう。電話ごときでと考えるかもしれないが、これが現状である。


『知らない人』と『読めない要件』への恐怖。

電話の何が恐ろしいのか。それはかけてくる相手の顔も見えない上に、用件がわからないことだ。名前を聞き取れなかったらどうしよう。もしかしたらいきなり怒鳴られるかもしれない。自分の知らない領域の問い合わせかもしれない。想像するだけで、たくさんの不安がある。そんなことを考えているうちに、電話をとる手がすくんでしまう。

私は仕事柄、お客様と話をする機会が多い。簡単な問合せから、複雑な内容まで多岐にわたる。電話は相手のタイミングでかかってくるので、こちらの都合などまるで無視。別の仕事に集中しているときなど、頭を電話モードに切り替えるのはかなり難しい。でもとらなければ始まらない。


電話応対で心がけていること。

私が電話応対で意識していることは以下のとおり。

・ゆっくり話す。
・名前が聞き取れなかったら助けを求める。
・相手の言葉をおうむ返しする。
・(クレーマーの場合)どうせ対面じゃないから殴られやしないと思う。
・わからなかったら待たせない 折り返し作戦。

知っている人がいれば幸いだが、日本昔話の市原悦子さんのようなびっくりするほどスローペースで話すことを意識している。ゆっくり話すうちに、自分のハイになった気持ちが自然と落ち着く。また、相手をこちらの会話ペースにもっていくことができる。矢継ぎ早に話を進めてくる人も、私の会話スピードに馴染んでくる。同時に頭の中も整理されてるので、問い合わせ内容がすんなり理解できる。これを繰り返していくと、落ち着いて対応できるようになる。

相手の会話スピードが早すぎて聞き取れなかった場合、一旦保留にする。そして必ず、周囲に助けを求める。一人で抱え込んでしまうと、電話への苦手意識が加速してしまう。

電話で一番大切なのは『丁寧な対応』である。聞き取れたふり、わかったふりは、後々大きなミスの原因になりかねない。私も何度も会社名や担当者名が聞き取れず、自己嫌悪に陥ったことがある。聞き返すのも申し訳ないし、相手を怒らせたくないと思ったこともある。でも、よく考えよう。人の名前を聞き取れなかったくらいで死にはしない。むしろ、電話を取った自分をほめたたえていい。

聞き取れずに困った場合は、保留にせず折り返しの対応にする。電話を切って、番号を確認し周りの人に相談をする。仕事はスピードも大切であるが、確実であることが前提。正しい対応をするために、絶対に一人で悩まない。

人の怒りは持続しない。

時々現れる、電話一発目から怒っている人。所謂クレーマーに近いお客様。理不尽な内容ならガチャ切りしてしまいたい。その怒りのエネルギー別のところに使ってくれと思いつつも、対応をしなけばならない。そのようなとき、どうしたらいいか。覚えていてほしいことがある。

人の怒りは20分も続かないし、なんなら電話越しに殴られたりもしない。

電話の唯一の良いところ。それは対面ではないこと。どんなに相手が怒り狂っていようと、殴られることはない。この人めちゃくちゃ怒っているけれど、私のこと殴れないんだよなーと思え。そして相手の話を一旦は聞いておこう。脳の半分今日の夕飯のことを考えていたっていい。ただしこれは理不尽なクレームのときのみ。自分に非があること、失敗に関してはきちんと心を込めて謝罪しよう。そのときは必ず上司に相談しよう。


新入社員に社外からの電話は取らせない。

私の電話応対教育のステップは以下のとおり。

① 社内関連の電話応対。
② 目的のはっきりしているお客様へ架電。
③ 社外(お客様)の電話応対。

あくまで私の教育方法だ。新入社員には、一切お客様からの電話は取らせない。そのかわり、社内関連や関連業者の電話に対応してもらう。なぜなら、相手と問い合わせの内容がはっきりしているからだ。人は正解のあるものに対しては、自信をもって対応することができる。だからまず、社内関連の電話で経験を積み、自分の会社名、部署名、名前を名乗ることに慣れてもらう。

それができるようになったら、今度はお客様に電話をかけてもらう。もちろん、内容は決め打ちの簡単なものに限定する。電話をかける理由がはっきりしていれば、怖いものはないからだ。もちろんその内容以外の問い合わせを受けたら、すぐに私と交代するようにする。後ろ盾がいることで、安心して対応できるからだ。これがスムーズにできるようになるまでおよそ二ヶ月。じっくり時間をかけるようにする。


電話応対恐怖症に陥れるな。

電話応対は「企業の顔」とよく聞く。企業の顔だというのに、新入社員に真っ先にやらせる業務が電話応対だ。固定電話すらまともに使ってない世代に、なんという無茶振りだろうか。電話が嫌い(苦手)な世代だからこそ思う。

企業の顔だというなら、じっくり時間をかける必要がある。電話応対は誰でもできる簡単な仕事ではない。私たちの時代は苦しくてもやってきたとか、変な武勇伝もいらない。無理にやらせて地獄をみるくらいなら、きちんと準備をさせるべきだ。習うより慣れろなんて非効率だ。最初の失敗は、一生尾を引くといっても過言ではない。だからこそ入念な支度が必要だ。甘えさせているというのなら、そう思ってくれてかまわない。私からいわせれば、時代の変化についていけない教育者としか思えないからだ。


怖くていい。失敗して当たり前。

よくこんな電話応対で語れるなと思っただろう。それだけ電話応対が嫌いなのだ。何年働いていてもだ。電話すらまともに応対できない自分に、幾度となく嫌気がさした。だからこそ、その気持ちが痛いほどわかる。

仕事をする上で、電話応対は避けられないもの。だからこそ、その恐怖をほんの少し和らげる努力をしてみよう。特に完璧主義の人こそ肩の力を抜いてほしい。どうにでもなるから。それでも困ったら、このnoteを読み返してみてほしい。絶対にどうにかなる。本当に。電話応対が嫌いなキミは間違っていない。

いただいたサポートは野球の遠征費、カメラの維持費などに活用をさせていただきます。何を残せるか、私に何ができるかまだまだ模索中ですが、よろしくお願いします。