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裏表ヤバイ?のえ(菊地凛子)降臨。悪の時政帝国も爆誕。第34回「理想の結婚」見どころ振り返り!【鎌倉殿の13人】

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第34回の感想です。

前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)

遂に爆誕、悪の時政帝国!宿老は13人→8人に減。3代目・鎌倉殿の物語が寂しく幕開け

遂に三代目・鎌倉殿、源実朝の物語が始まりました。まぁ、前回の33回でもすでに「鎌倉殿」とは呼ばれていたのですが。ただ、当時はまだ頼家(金子大地)が存命で、そっちの物語が中心。実質、今回からようやく実朝政権の物語がスタートということになります。見た目も子供(嶺岸煌桜)から、急に大人(柿澤勇人)になりましたしね。成長著しい……大河のオヤクソク。

しかし、宿老の数ですよ。頼家の頃は13人とやたら多くてコメディになってましたけど、中原親能が京で出家し、梶原景時が討たれ、三浦義澄安達盛長が死に、比企能員が滅び、気づけば8人になっていました。それでもまだ半分はいるんですけど……キャラの濃い人たちが先にいなくなって、何か随分寂しくなった気がします。

代わりに、そこへ三浦義村(山本耕史)が加わっているのは笑えましたけど。実朝に「処世の術」として「後腐れのない女子との別れ方について」とか講釈垂れていましたが、あれ、いる???恐らく、まだ恋もしたことがないチェリーボーイ実朝クンによ!!!しかもバックに背負ってた「天命」って字、あれなんだよwwwwwwそれがお前の「天命」なのかよwwww

本当、これから義村が何人分のギャグパートを背負っていかねばならんのかわからんのですけど。大丈夫なのか鎌倉は。いえ、大丈夫じゃないです。もう常に崖っぷちや。わかっとるやろ。

そんな崖っぷちの鎌倉に、遂に建造されちゃいました。時政(坂東彌十郎)の、悪の帝国が。実朝政権では、もう13人の合議制みたいなもんは完全撤廃です。そもそも、頼家政権でも後半はほぼ機能してなかったじゃねぇかというツッコミはともかく……これからは執権・北条時政が、実朝に代わって政治を行うということで、やりたい放題始めちゃいました。

つっても本人、別に「闇堕ちした」とか「権力に心を奪われた」とか、そういう雰囲気は一切ないんですよね。今までと変わらない、ちょっとズルイところもあるけど、基本的には情に厚い田舎の大親分って感じです。

いろんな御家人たちがいいように取り計らってもらおうと次々に土産やらなんやらを持ってきてくれて、それを受け取っちゃいますけど。「悪いことをしてる」って感覚は、ドラマの時政自身にはまったくないんですよ。むしろ「ありがとうなぁ、こんだけワシによくしてくれるんだから、お前たちにとって悪いようにはせんよ」と、時政の方が付け込まれている感じですね。

付け込むと言えば、もともと妻のりく(宮沢りえ)がそうでした。りくは都育ちで、夫の時政にも出世してもらって、やがては都で雅な暮らしをしたいなんて思いをずーっと抱いてきた女。そのために入れ知恵しまくってる様子だって今まで何度も描かれてきました。ある意味、男を上げるいい女房なんですけど、ドラマ的には悪女ですね。

それに時政も指示通り動いてきただけというか、まったく自身の中身が変わる様子はなかった。故郷の者からしたら「変わらず贔屓してくれる温かいお方」と捉えられるかもしれませんが、全国規模となると話が違います。あっちの意見やこっちの意見に左右されまり、「なんだこいつ、一貫した政治ができないクソ野郎じゃねえか」という皆の不信感の種になっていきます。

ただ、これには義時(小栗旬)もうまく突っ込めないでいる様子。別に、時政に私心があるようには思えない。そもそも自分の父親だし、むげに手出しはできない。これに33回では、義村が「北条は御家人たちから避けられている」と警鐘を鳴らしていました。そして今回は畠山(中川大志)殿が、故郷・武蔵の扱いについて義時へ苦言を呈す場面も。義時は「父と話してみます」と言うも、時政は「説教は一日一つで十分じゃ!」と取り合ってくれませんでした。

本当、身内こそ最大の敵なんだよ……「こうなると絶対に話を聞かない」というのがわかってるからこそ、どう相手すべきなのかわからなくなる……義時にとってはいよいよ、一筋縄では越えられない、とてつもない高い壁が立ちはだかった印象でした。

義時の第三の女、降臨。ブチギレの泰時には妻・初からのビンタ炸裂!

ただ今回の義時、本来ならそんな時政ともバチバチのバトルを繰り広げなきゃいけないところなんですけど、どこか上の空なんですよね。それもそのはず、文官の二階堂(野仲イサオ)殿から急に縁談の話をもちかけられちゃったのです。

ただこの縁談に、息子の泰時(坂口健太郎)は激怒。比奈(堀田真由)さんを追い出したクセにもう次の嫁かよって、そら怒るわ!自分が「母上」と呼ばなきゃいけない相手になるんだからイヤでしょう……比奈さんの時だって大分、気を遣ってたはずです。ただ、泰時の父親に対する罵詈雑言。「どれも言い訳」「自業自得だ」「父上には人の心がないのですか」と、言葉が出すぎましたね……。

ここで、妻の初(福地桃子)からビンタがHIT。いやぁ、前回から連続でビンタだよ、泰時……そういうキャラに落ち着いちゃったのか彼は。ただ、初からは「愛の鞭」という感じにも受け取れましたが、泰時はマジでショックを受けてるようでした。

実朝にも漏らしていましたけど、「妻の尻に敷かれている」ぐらいは、別に男としてどうってことないんですよ。でも、自分じゃなくて、義父を味方するなんて……私が泰時だったら、立ち直れないな。このビンタが夫婦不仲の契機とならないか、非常に心配になってきました。

そして、義時の縁談をよく思わない人がもうひとり。政子(小池栄子)です。義時も、姐に打ち明けるタイミングがおかしいんですけど……実朝もこれから大変ですし、何より頼家が殺された直前ですからね。本来ならばもう姉弟の縁を切ってもいいくらいなんですけど、鎌倉で生きていくためになんとか形だけでもバディを継続しているような印象ではありますね。

そんな信頼ガタ落ちの弟が、「こんな時になんですが、嫁をもらうことになりまして……」なんて。それに対して政子が向けた表情、たまらんかったですね。「は?てめぇ本気か??てめぇだけ幸せそうにしやがって、何考えてんだ?バカか???」みたいな声が聞こえてきましたよ。

やっぱり、泰時や政子の方が、人間としては感覚がマトモな気がするんですよね。義時、マジで浮かれてる場合じゃねーからな!

新ヒロインのえ(菊地凛子)は裏表激しいヤバイ女なのか?むしろお似合いでは??

さて、では問題の、二階堂さんの孫娘なんですけれども。そもそも二階堂さんって、孫娘を紹介するほど義時と仲良かったっけ?むしろ、第22回「義時の生きる道」で、米勘定に徹している義時を邪険にしているようなシーンが記憶に残ってますけど。だって、二階堂さんが喋ってるところって、そこぐらいしか思い出せないんですもんw

ここは完全に、御家人の中でトップとなった北条への「玉の輿狙い」ということなんでしょう。義時もそれはわかっていて、しかしむげには断れず、娘と会うところを八田(市原隼人)殿に覗き見してもらう形でお見合いがスタートしたんですが。

ただもう、その女性・のえ(菊地凛子)の所作よ。さりげなくボディタッチはしてくるわ、義時が用意したキノコは「ダイスキなんです」なんて言ってもらってくれるわ、そして比奈が遺していった子供たちの面倒見もいいわで好印象。八田殿も「裏表なし!」なんて言うもんだから、義時も完全に浮かれちゃってました。

しかし、ですよ。今回のドラマのラストシーン。御所の女たちに向かって「控えよ、控えよー!」なんて。すっかり玉の輿に乗った気でいる「裏の顔」見て、泰時はショックを受けていましたね。

しかも、義時が贈ったキノコを「持っていきな。どうぞどうぞ。私、嫌いだから」なんて、周りの侍女にふるまって……。その辺の道端に捨てなかっただけまだマシかもしれませんけどw

完全に裏の顔ありじゃん!八田殿、ウソつき!と叫びたくなるところですが。しかし私の個人的な感想、言っちゃっていいですか?むしろ、今の義時にはこれくらい裏表ある女房の方が可愛いと思うんですよね。八重(新垣結衣)も比奈もすごくいい子だったんですけど、これから鎌倉のトップに立っていく義時には、いい女すぎました……。

八重には、義経を死に導いた自分を見せることができませんでした。比奈には徐々に悪に染まる姿だって見せていましたが、比奈の実家を滅ぼしてしまった。そこでまだ数パーセント悪に染まり切れず悩んでいた義時の姿に、比奈が耐えられなくなった印象です。「私があなたを想っていればいいのです」だったのが、「私があなたを想えば想うほど、かえって傷つけてしまう→だから自分から身を引く」と……いい子すぎるって、比奈さん。

でもそこにきて、この裏表はげしい女・のえ。むしろ、悪に染まった義時にはピッタリじゃないですか。少なくとも、のえの方からメンタルが折られるなんてことはないでしょう。むしろイケイケで「邪魔な奴らはみんな殺しちゃえ~」とか応援してくれそうですらあります。

そして、泰時が「自業自得だ」と言うなら、まさにそう。最後に女運の悪さを発揮するなら、ザマミロじゃないですか。でも泰時、次回もきっとまた反対するんだろうなぁ……「父上、ヤバイですよあの女!絶対ダメですって!キノコだって嫌いだとか言ってましたよ!」とか。それで今度は、鶴丸(きづき)からビンタされたりしてね。「もう止めろよ!旦那様のHPはゼロだよ!!」とか言われてね。で、安達殿の胸(※↓第11回参照)じゃなくて、今度は鶴丸の胸で義時が泣くんだ……それはそれで見たいわ。

新・鎌倉殿、実朝様が可愛くてたまらない件。「カアちゃんの手書き和歌集」にも涙

さて、話を戻しますが。こっから実朝の物語がスタートということで、実朝にもスポットを当てていきましょう。史実では執権・北条政時がいいように振舞って、完全に傀儡だったみたいに言われていますけど、トップに立つ風格はかなりあるように感じました。

確かに頼家とは正反対で、どこかオドオドしながら、薙刀もダメ、弓もダメ、勉強にも付いていけないダメな子供という印象はありつつも、必死に食らいついていこうという真面目な様子は伺えましたし。そして和田(横田栄司)殿の家に呼ばれたときの振る舞いもですよね。

鹿の肉を出されるんですけれども、普通に肉として出せばいいものを、和田殿ってば「しかのすけと名付けました!」なんて。食べるための動物に名前なんか付けちゃったら、食べづらいでしょうが。マンガ『銀の匙 Silver Spoon』でもそういうシーンありましたな……。

実朝様も食べにくそうにするんですけど、最終的には御家人の気持ちに応えたいという思いからか、捧げられた命に対する敬意を込めてか、「しかのすけ、いただこう……」なんて言いながら、しっかり食べる。そのシーンがまた、泣けましたね。ホントいい子なんよ実朝様……。

そして終盤シーン、政子からの贈り物の和歌集を見つけたときの様子もたまらなかったですね。

これ、三善(小林隆)殿に頼んで「さりげなく」置いておくというところもウマイんですよ。「これ、読んでおきなさい」とか親から言われたら、ただの押し付けになりますもんね。自分で見つけるからこそ、ハマれるのであって。

しかも、実朝様は気づいたかどうか、カアチャン・政子の手書きというのがなんとも……。これ、物凄いワタクシ事になっちゃうんですけど、私も実は、自分の母親から手書きでしたためてもらったものがありまして。

私が小学生のころ、初めて自分のノートに手書きで書いていた300ページ超えの小説なんですけど、それをうちの母親が丁寧な字で清書してくれて、地元の印刷会社に送って100部限りの本として製本してくれたんですよ。いわゆる自費出版ってやつですけど。

↑NPO法人の自費出版ネットワークにも登録してもらいましたが。なんか、それを思い出しちゃったなぁ……いや、もうこれは完全にドラマ関係ない、自分の話になっちゃって恐縮ですw

ともかく、「カアチャンの手書き」ってだけで、こう、込み上げてくるものがありますね……。あれだけの量をしたためるって、本当、体力も集中力も要ります。息子のためにあれだけできるって偉大ですよ、政子も、うちのカアチャンも……ありがとう……(涙)。

そして新たな犠牲者。登場2回目のお前が死ぬの!!??

そして今回、久しぶりに誰も死なないまま終わるのかなぁと思いきや、ひとり死にましたね……北条政範(中川翼)さんが。誰かって?時政とりくの息子ですよ。つまり、義時の異母兄弟なんですけど、まさか16歳でこの世を去るのか……えっと、まだ出てくるの2回目だったよね?早くない!?

ただ、『吾妻鏡』にも載ってる史実なんですよね。死因は不明とのことなんですけど、ドラマではもう完全に……アイツ、あの胡散臭い男・平賀朝雅(山中崇)のヤローがやっちゃいましたね。やりやがった!マジかよあの野郎ッ!やりやがったッ!!(※毒殺を)

それも、源仲章(生田斗真)に要らんこと吹き込まれたからですけど……都の連中も、いよいよ鎌倉に牙を剥きだしてきた感じでゾクゾクですよ。

さぁ、政範さんが死に至るまでの詳細シーンは、次回また語られるようですけど。どうなる、りく?いよいよ悪の政時帝国を裏で操る女ボスが半狂乱になりそうですわ……そして、どうやらそこにあのイケメン・畠山殿まで巻き込まれちゃう様子。まじか……まだ地獄を見なきゃいけないのか我々は……。

もう……誰も死ぬなッ……!(※まだいっぱい死にます)

(オマケ)完全にネタキャラとしたトキューサ。ところで妻は出てこないの?

今回の時房……ならぬトキューサ(瀬戸康史)は冒頭で義時&比奈の息子達と戯れていましたが。「便所に落ちました(私が)」と、流石に汚すぎるネタを披露。おいぃぃぃw食事中の人もおんねんど、配慮せいぃぃぃぃぃw

完全にネタキャラと化しているような感じではあるものの、父・時政には耳を貸してもらえず、姉・政子からの信用も無くし、息子・泰時とも意見が合わない中で、義時にとっての唯一の理解者であるような気もしてきました。

今回、義時と縁談があったのえにも「良い!」みたいに好印象を受けていた様子ですが……ところでトキューサ、お前には妻はおらんのか?なんて不安になりません?一応、調べてみたんですけれども、史実では、足立遠元(大野泰広)さんの娘がトキューサの正室としていらっしゃったそうな。

『足立系図』だと北条時房の母で北条時政の妻だったのか?というような印象ですが、北条時直は北条時政の息子であるので、おそらく北条時房の母ではなく、妻だったと考えられます。

足立遠元の妻と子と子孫たち

一応、足立遠元さんはドラマでも出てきてますもんね。しかも「13人」のうちのひとりだし。いまだにぜんぜん目立った感じないけど。トキューサの妻は……今後も出てこないのかな?まぁ、出てこなかろうと、遠元さんとトキューサがもしツーショットになる機会があれば、「あ、義父と義息子のツーショットだ」みたいな感じで楽しんでみるとよいかもしれません。

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