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善児、仕事してた!?ホームドラマ回再びかと思いきや不穏の嵐。第22回「義時の生きる道」見どころ振り返り!【鎌倉殿の13人】

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第22回の感想です。

(※以下、ネタバレ注意)

タイトルからして、かつて草なぎ剛(※)主演のドラマ『僕の生きる道』になぞらえてる感じがめっちゃしたんですけど。

冒頭から開口一番、「天罰だ」と言う北条義時(小栗旬)。それに対して「そんな風に考えるな」と言う三浦義村(山本耕史)なんですが。

やっぱ、あれなんですよね……義村、何も悪びれる様子を見せないんですよね。自分が付いていながら何で八重(新垣結衣)さんを守れなかったのか、など。心の中でどう思ってるかはわかりませんが、少なくともセリフでは一切、そういう感情を見せません。

その一方でよ。「天罰だ」なんて。義時、言うと思ってたけど。いや、予告の時点で言ってたけれどもよ。「何でもかんでも自分のせいにしちゃう男・義時」と、「何でもかんでも自分のせいとは思わない男・義村」の対比が見事に描かれてる気がしますね。

そう言えば義時、前回も「義高(市川染五郎)殿が亡くなったのは私のせい」だとか言って、姉の政子(小池栄子)に「あなたのせいよ!」なんて怒られてましたからね。こういうのは悪びれる様子を見せると、かえって周りからも非難の目が向けられるというものです。

違和感があったのは、その後のやりとりですけど。


義村「そういえば、今思うと八重さん、あの日、気になることを」

(回想)

 八重「私は、ちっとも悔やんでいません。十分楽しかったし、私はとっても満足」

 義時「八重がそう言ったのだな」

 義村「あの日は肌寒く、川遊びは思うようにはできなかったが、子どもたちは楽しそうだった。八重さんが言ったのは、そのことかもしれないし…」

 義時「そうではないと思いたい」


「そうではないと思いたい」って……つまり、川遊びのセリフじゃないと言いたいのか?と思ったんですけど。

これに関してどう解釈するかは、スポニチの新垣結衣さんのインタビューでも掲載されていました。

私自身としては“人生に対して”ではなく“目の前の状況に対して”という気持ち。自分の最期を予感しているとか、今、何があっても思い残すことはないとか、そういう意味ではないと思いながら演じています。

「鎌倉殿の13人」新垣結衣 八重さん最期に「納得」“私はとっても満足”の解釈は?義時&小栗旬にエール|スポニチアネックス

やっぱり八重の気持ちでは、その直後に自分が死ぬつもりはなかったと思うのですが。

ただそれを回想しているこの段階での義時のセリフとしては、もう最期を迎えてしまった八重の人生に対して「せめて八重さん自身は、幸せでいてほしかった」という願いからの「そうではないと思いたい」なんてセリフだとすれば、なるほど、それも小四郎殿らしいなという気持ちも湧いてきます。

さて、冒頭シーンだけでもこんな風にダラダラ語れちゃう今回ですけれども。すっかり頼朝(大泉洋)の元から離れて、十数名もの子育てに専念しようとする義時。第20回で義経(菅田将暉)を罠にハメた回では完全にダークサイドに堕ちたと思っていたはずが、またこうやって再びホームドラマの主人公に戻っちゃうのかぁとも思ったのですが。

頼朝の上洛ということで、「これは命令だ」と言われて半ば無理矢理、上洛のチームに加えられます。やっぱ、頼朝の信頼は厚いんですよねぇ、義時。それとも、これを「頼朝から義時への気遣い」と解釈することもできるでしょうか。いやぁ、あの空気読めない頼朝が、そんな気遣いできるかなぁ……。

一方で、上洛チームに加えられなかった三浦義澄(佐藤B作)、岡崎義実(たかお鷹)、千葉常胤(岡本信人)、そして比企能員(佐藤二朗)は、蒲殿こと源範頼(迫田孝也)を囲って日陰者同士の愚痴大会を広げているのでした。おっと、さっそく謀反か!? 謀反か!?

ただ、「蒲殿が鎌倉殿であったなら」なんていう比企能員のささやきに、「兄上あっての私。つまらぬことを申すな」とたしなめる蒲殿。良かった、フラグ立たなくて……なんて思うのはまだ素人ですよ。逆に、好感度を上げれば上げるほど、このドラマでは死期が近づくシステムになってますからね。義経がそうだったように。蒲殿、完全にフラグがビンビンでございます。

もっとわかりやすい謀反の動きとしては、曽我兄弟が登場してきたことでした。こちら、「日本三大仇討ちの一つ」とも言われるほどの大舞台となっているようですが。

同事件は単なる復讐ではなく所領争いの側面もあったと言われている。また、源頼朝の出先で事件が起きたこともあり、「兄弟は頼朝の暗殺も図っていた」とする陰謀説も根強い。

この仇討ちで日本の歴史が動いた 「日本3大仇討ち」紹介|NEWポストセブン

これが、実は彼らの父の仇である工藤祐経(坪倉由幸)を狙っていると見せかけて、本命では頼朝の命を狙っているだなんて展開へ。

史実ではあくまで「陰謀論」の域を出ないようですが、ガッツリ「頼朝への謀反」として描く三谷作品ですよ。

それどころか、それどころか。北条時政(坂東彌十郎)もこれに関与しているとかいう話も出てきまして。

時政が関わっているのは、あくまで工藤祐経討伐だけなんですよね。なのに、何にも知らされずに頼朝暗殺にまで関わらせられるだなんて、ミステリードラマとして面白過ぎますよね。

それを義時に伝える梶原景時(中村獅童)。さあ義時、どうする!?どうなっちゃうのヨ~!? というところで、次回、でございます。

あのさぁ、今回は「義時の生きる道」ってタイトルじゃなかったっけ……義時、八重さんを失った上に、子育て、上洛、謀反と忙しすぎるんですけど。ぜんぜん落ち込んだり、自身を省みる暇もないまま振り回されてばっかじゃん!

しかしまぁ、これこそ「野心とは無縁だった若者が、いかにして武士の頂点に上り詰めるか」の物語の描き方ですよね。どんどん巻き込まれて巻き込まれて……それで変わっていくしかないのです、義時は。

ところで今回、善児は出てきたけど、誰も殺さなかったということで「仕事してねぇ」と話題になってました。いやいや、もちろん仕事はしてるんですよね。どうして曽我兄弟に時政が関わっているのか、それを盗み聞きしていたのが善児でした。善児はいまのところ景時の手下ですから、善児がこれを景時に知らせて、やがて義時へ、という流れでしょう。

また善児に助けられるのか義時……善児はお前の兄貴の仇なんだぞ!義時がいつそれを知ることになるのかも注目です。

で、今回お亡くなりになったのは後白河法皇(西田敏行)だけでした。不思議と哀しくならないんだよなぁ。最後の最後まで「日本一の大天狗」でした。

まぁ、最後は『義経のスマホ』より、松村邦洋さん扮する後白河法皇の「THE SECOND IMAYOU」でお別れです。

※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀

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