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北条家、お別れの酒盛り。義時は泰時に救って欲しかったのか?第37回「オンベレブンビンバ」見どころ振り返り!【鎌倉殿の13人】

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』最終回の感想です。
前回の感想はこちら↓

2022年の12月31日でようやく当noteでの『鎌倉殿の13人』レビューも最終回を迎えたのですが、「そういえばこの回、ちゃんとレビューしてなかったなぁ」と振り返りでレビューしていきます。

というのも、つい先日「総集編」を一気見しまして……やっぱりこの回って大事な回だったなと思うのですよ。

とりあえず、これまでのレビューは以下にまとめてあるので、お好きなところからご覧いただけましたら幸いです↓

(※以下、ネタバレ注意)

イタリア語由来かと思いきや、まさかの意味が判明!「オンベレブンビンバ」

まずは「オンベレブンビンバ」の答え合わせですけど。この回が放送されるまで、SNSでは考察が飛び交ってましたね。2022年の9月か……今でも新鮮ダワ。

僕もこのイタリア語由来の「Onbre Banbinba(直訳で子供の影)」で間違いなかろうと思ってたら、実際に放送を見てみると……「オンベレブンビンバー、オンベレブンビンバー」と、酒盛りの席で急に時政が唱え始めました。

「ちょっと、どうしちゃったの」

遂に親父がブッ壊れたのかと実衣も不安そうな表情してるのがめちゃめちゃ笑えましたね。そしたら時政……大姫が教えてくれた、いいことがあるまじないだとか言い出します。

それって、第29回の「おんたらくそわか」じゃん!!完全に間違ってんじゃん!!!

ただ、時政だけじゃなく北条家みんな思い出せないこのまじない。義時は「ピンタラポンチンガー!」なんて叫びますし、トキューサは「プルップ……」って、絶対ちがーう!!

実際これ、脚本で読んだときトキューサ役の瀬戸康史さん困惑したみたいで……鋭角にツッコミ入れてきた小池栄子さん(北条政子)に助けられたとか、12月17日の『土曜スタジオパーク』で語られてましたね。

これも、放送からしばらく経った今だからこそできる話ですかww

で、結局は「ぼんたらくーそわかー」という惜しいところまでいきながら、最後はナレーションの長澤まさみさんに「正しくは、おんたらくそわか、である」なんてキートン山田さんばりにツッコミ入れられて終わるのでしたが。

ただ、振り返ってみてもこのシーン、第29回の北条家大集合の場面をリフレインしているのが本当にうまいこと作られている。あの場面から、だいぶ人も減りました。大姫もそうですが、全成殿も、畠山殿も亡くなりましたし稲毛殿も亡くなりました。ふつう親族というものは、子供も育てば増えていくはずなのですが……それが鎌倉のトップに君臨する一家だからこその哀しみを表していたような気もします。

やっぱりサブタイトルには、ダブルミーニングとして「Onbre Banbinba(子供の影)」という意味合いもあったと思うのですよ。この場面で子供は誰ひとりいない。影だけは感じるというのが。また直後に、菜園の茄子を間引くというシーンがあったのも、SNSでは「意味深」という意見が飛び交っていましたしね。

かつてはちゃんと母親だったこともあったりく。政範の死でタガが外れたか

そしてあの場で、生きていながらあえて外されたのは、時政をかどわかして謀反を企んでいた、妻・りくでした。

後妻のりくだって、かつてはちゃんと政子や義時の母親だった時期もあったとは思うんです。たまたまNHK公式Youtubeチャンネルの「鎌倉殿振り返りまとめ」みたいなので見て思い出したところだったんですが、第12回「亀の前事件」の時には、不貞を働いた頼朝に対して「娘が不憫でなりません!」なんて政子を擁護するような発言をしていました。

あの動画ももう見れないのかな……探したけれど見つかりませんでした。総集編では完全にカットされてたシーンでしたね。

もちろんりくだって、夫の連れ子に対して複雑な思いは抱いていたハズです。これまでも政子や実衣と一緒にいたときは、娘達に対して少しイジワルに振舞うようなシーンはありました。けれど、あくまで継母としてのイジワルというだけ。

それが政範という自分が産んだ息子が亡くなったことで、やはり「タガが外れてしまった」ということだと思うのですよ。

畠山討伐の際にも、自分の娘婿じゃないかと言う時政に、「私の娘ではありません」とキッパリ切り捨てるような発言もしていましたし。そこからいよいよ小四郎や政子を、場合によっては殺さなきゃいけないみたいな発言までし出すようになった、と。いくら継母でも、子の命を奪うような発想までこれまでのりくさんにはできたでしょうか?

もちろん、政治的にも政範が生きてさえすれば、もう少し余裕は持てたというところはある気もしますけど。りくという女性は、そこまで打算的に物事を考えるのではなく、もっと自分の感情に正直という印象もありました。でなければ、第12回で頼朝に文句を言うなんて大それたこともやっていなかったでしょうし。

ちなみに第12回で頼朝に話しかけ、「あなたとお話するのも久しぶりですねぇ」「あら、初めてですよ」なんて嘘を言ったのもいいシーンでしたけどね。

感情的ではあれ、後で冷静に思い直してうまいこと取り繕うのも、りくさんという女性だからこそという感じがします。ただ、今回ばかりは夫・時政も気づいたのでしょうか。「またこいつ、感情で先走って動いているな」と。あるいはそこまで冷静に判断できなくても、「自分にできるのはここまで」と見切りをつけたのかも。それゆえの、哀しきお別れシーンだったような印象を受けます。

泰時は実朝の側近から外れ、時元登場。義時の思惑とは?

また、第37回は、実衣と全成の息子・阿野時元さんが初登場したのも印象的でした。

登場シーンからかなり影があるキャラクターではありましたね……実朝と共に育っていきながら、母の愛を一身には受けれなかった息子ですか。そりゃ、時政の謀反にだって加担するよという感じでしたが。

ちなみにこの役者さんも、最近また別の作品で見た気がするな……と思ったら、映画『騙し絵の牙』にも雑誌『トリニティ』の編集部員として出てたんでしたっけね。

と、話が逸れましたけど……一方で、実朝の側近を外された太郎泰時は、義時の側に仕えさせられました。またこの親子も複雑なんですけど、このときの義時の狙いはなんだったのか。恐らく、明確に「これだ!」と言うことはできないと思うのですよ。

義時は、口では自分の政を学ばせるためだとか言っていましたが、自分もまだ悩みながら行っていた部分も多かった。どちらかと言うと、支えて欲しいとか、行き過ぎるのを止めて欲しいという思いもあったように感じます。

ただ、もうだいぶブラックに陥っているところもある。父の威厳だって見せなきゃならず、素直に「太郎、助けて」が言えない。そもそも、畠山討伐の際には死のうとしていたようなヤツです。「学ばせるため」と「助けて」が、恐らく2:8ぐらいで義時の中で蠢いていたような気がします。

太郎泰時もそのことに気付けば、またこの親子の関係は違っていたのかもしれませんが……太郎も父の言葉を額面通り受け取る真面目さなので無理ですね。それが太郎のいいところでもあったのかもしれません……父親が自分のために苦しみまくってるなんて知ったら、まだまだ未熟な息子には耐えられないところだってありますから。

(※今回の記事のサムネイル写真は、2022年12月29日、鎌倉市内の『大河ドラマ館』にて筆者が撮影しました)

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