シェア
Barbara Murata Tomomi
2023年4月24日 23:23
2019.5.6国鉄を辞め、生まれ育った北海道を出て、布団と画材とわずかな衣類だけを背負い汽車で上京した父。国鉄時代に貯める筈だったお金は結局貯まらなかった。貯金はほとんどない。先ずは、一足早く上京していた知人のアパートに転がり込んだ。札幌のデッサン教室で知り合った翼夫(ヨクヲ)さんは桜ヶ丘に六畳一間の部屋を借りていた。六畳一間。ヨクヲさんもよく転がりこませてくれたものだと思
2023年4月24日 22:34
2019.3.10私の家の近くの介護施設に入所した父に、この頃から少しずつ昔の話を聞き取り始めました。第1話は北海道編。私の父、村田高詩は北海道は滝川で生まれ岩見沢で育った。未熟児で生まれ、体はあまり強くなかったものの手先が器用で、雪で二階建ての城を作ったり、柳の枝で弓や木刀を作っては友だちに配るような少年であった。まだ小学校に上がる前のこと。仲良くしていた向かいのお家の倉庫の中か
2023年5月3日 03:43
5/2晴れ。暑い。犬の散歩から帰って犬の足を拭いたら犬の体も熱くなっていた。段々と季節が変わってゆく。薔薇は今日もモリモリ咲いている。今日の父は両手にミトンを嵌めていた。今朝、少し興奮して暴れて抜いてしまったそうだ。パーキンソンの症状で、父は動きや力の制御が出来なくなることがある。体は痩せ細っているのに、力の入っている時は私が精一杯頑張っても一人では静止できないほど強い。「面会
2023年4月30日 03:20
4/29晴れ。風が強い。黄色い薔薇が降るように咲いている。今日は父の弟、ゆきおさんと共に父の面会へ。叔父もまた病身で先日退院したばかりである。病室に入ると窓が開いていて、レースのカーテンが父のベッドに向かって激しくはためいていた。看護師さんが慌てて走って来て「すみません換気してました!」と言って窓を閉める。「アニキ、ゆきおだよ。会いに来たよ。遅くなってごめんね。わかる?ゆきおだよ