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29th upside-down

※このnoteは当店のインスタグラムにアップしたカクテル解説になっています。

今回のカクテルはオリジナルみたいなもの。
なぜ「みたいな」かというと、原型はゲストのリクエストから始まったものだから。
とりあえず原型レシピ。

<shake/ cocktail glass>
チンザノ オランチョ 15ml
ズブロッカ 45ml
ガーニッシュ:レモンピール

とてもシンプル。
黄金比的な話で言えばギムレットなどと同系統の3:1レシピ。
しかしフルアルコールなのでパンチがある。
もちろん作ったことはなかったし、調合量指定だったのでこちらの意図は何も入れず素直に製作。その日の終わりに再度、自分用に同レシピで作ってみた。

個人的好みからするとズブロッカが強すぎると感じたのでちょっと手を入れたくなったのが始まり。
で、出来上がったレシピ。

29th upside-down
<swerling / cocktail glass>
チンザノ オランチョ 2/3
ズブロッカ 1/3
レモンジュース 1tsp
ガーニッシュ:レモンorオレンジピール

ズブロッカとオランチョを逆転させた。
グラスは変に触るよりもベーシックなものの方が似合う気がする。

元がシンプルなだけにアレンジ過程もシンプル。
想像に難くなく、バランスは何度か比率変更していくうちに逆転、そこがベストだったのでネームに入れた(けど29回も試行錯誤したわけではない)。
また、どちらも香りが強く、飽和しているように感じたのでレモンの酸味で全体を締めた。
技法も変更。シェイクよりもスワリングの方が着地として良い。
ピールはオーダーのタイミングなどに合わせてレモンかオレンジを使い分ける。少し時間をかけて飲み進めると浸透圧で苦味も出て、それがまたアクセントになって良い。
これにチョコレート或いはカカオのリキュールを少し加えたらオランジェットみたいな雰囲気も出せると思う(まだ試していないけど)し、他にもアレンジ幅に可能性を感じている。
−余談だけど、このレシピはChrysanthemumに出逢わなければおそらく出てこなかった。
何しろメインとサブを逆転させたあのレシピは僕にとってひとつの衝撃だった(知らなければ、僕の思考パターンからしてプレーンウォッカを挟むことでバランスをとったはずだ)。おかげで発想にまた自由度を与えてもらえたと思っている−

何かショートで、とオーダーされた方にお出ししていますが好評いただいております。
僕にしては珍しく、「こないだ飲んだアレ」でサーブできる数少ないレパートリーになりそうだと思っていた。
が。
なんとこのチンザノ オランチョ、終売していた。
ストックしておこうとオーダーしてみたらこの事実が判明。そんなにメジャーなものでもないので仕方ないと言えば仕方ないのだけど、これは痛い。
なんとか2本は捕獲したが、目下、引き続き大捜索中である。
まあそんな忙しい店でもなく(と言うより”落ち着いた”店だ)、このカクテルがシグネイチャーというわけでもないから2本もあれば十分だろうと思いつつ、もう手に入らないもので作るカクテルというのもなかなか寂しさを感じ、諦めきれずにネットやオークションを探し回っている。
なので、どこかの酒屋さん等(ネット・実店舗不問)で発見された折にはぜひ一報お待ちしております。

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