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川柳集(俳句・短歌・詩、おまけで絵)&超入門川柳の書き方

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へっぽこ川柳まとめです。続きます!「超入門!川柳の書き方」は完結しました!おまけでイラストも入れています。
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#詩

青に眩む(ぬまづ文芸2023入選)

青に眩む(ぬまづ文芸2023入選)

雲ひとつない青空は
誰の目にも同じ色
ではない
名前のある青 名前のない青

打ちのめされて仰向けに倒れた者だけが
真上の空の昏さを知る
インディゴブルー 眩暈がするほど
夜の闇より暗い 太陽は輝いているのに

くさはらに倒れて見上げる者だけが
斜め上の空のくすみを知る
縹色 灰色は
純粋な青の中にこそ潜む

声を消すために海に来て泣く者だけが
水平線上方の明るい哀しみを知る
アクアマリン 海を映

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私が高校生の時
同級生が自殺した
クラスも違う
顔も知らない
夜の鉄骨から飛び降りた

女子が泣いていた
その子と同じクラスの

あなたたち 彼が
死にたいことを知らなかった
親しくもなかった
それでも泣くの
何のために

飼い猫が死んだときと同じ涙

私は泣かなかった
理由がない

けれどあれから40年
夜中に工事中のビルから飛び降りた彼
今でも私は思い出す

泣いていた人たちは思い出すんだろう

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昔、「五行詩」で入選した詩を画像にしてみました。

昔、「五行詩」で入選した詩を画像にしてみました。

もう25年くらい昔なのかしら?

句集が家にあります。

   お兄ちゃん

パパがママを叱ると
ママがキミを叱って
キミが弟を叱ると
叱られる
ごめんね

遠い鎮魂

遠い鎮魂

わたしは花を手向けない
だって親しくないから
小さい頃 遊んだだけの
二つ年上の縁者

なのに

この涙はなんだろう

自転車ででかけた数分後
赤信号で突っ込んできたバイク
背骨が折れたと聞いたのが今朝
手術だと今日の昼から

夕方に 心肺停止と

お悔やみをいうほどにも親しくない
切れ切れの思い出があるだけ
この涙はなんだろう

わたしは花を手向けない
かえって野次馬になるから
わたしならそっと

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STAY HOME

詩を朗読していただき、youtubeに上げてもらいました!
ご拝聴よろしくお願いします。

折れないこころ

折れないこころ

いつから世界は四角くなったのだろう

四角い部屋
四角い窓
四角い机
四角いディスプレイ
四角いノートに教科書に問題集
そして
四角いスマートフォン

まるで四角い鳥かごの鳥
春は通り過ぎていく

けれど私は知っている
窓から見る青空は
遠く 海へ 世界へ続き
地球は丸く そして広く

その空の下で
桜は咲いて
散る花びらの中
いのちが萌えて

鳥かごの鳥にも春は届くと

今は ひたすらに文字を追

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あなたたちも戦う

あなたたちも戦う

看護師を ヒーローにしないで
怖い 目の前でひとが死ぬ
それでも働く 休む暇もない
感染が怖くて 家族にも会えない

配達員を ヒーローにしないで
荷物を運ぶ 相手は無数
伝染るかも でも働く 
モノが止まれば 国が死ぬから

店員に 八つ当たりしないで
絡まないで
店で 遊ばないで
レジを打つのも怖い
真剣になって

医者を 神さまにしないで
伝染れば死ぬ かもしれないのは同じ
尊敬よりも 防護

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SSを映像つきで朗読してもらいました!:いつも桜が私を見ていた

私と父がモデルで、エピソードもほとんど実話ですが、
若い人に置き換えたので、創作になっとります。

あれは青春の落とし物じゃない、いくつになっても「黒歴史」

あれは青春の落とし物じゃない、いくつになっても「黒歴史」

あの時は夢中でやってしまった(やらかした)けど、
冷静になった今、死ぬほど恥ずかしくて忘れたい、それが

黒歴史。

ありますよ~
好きな作家に書いたファンレターなんて全部黒歴史ですよ。
例えば

NARUTOの岸本先生に、
「キバと赤丸の出会い」のミニ小説を
送った

それ、あかんやつや!

二次創作を作者に送るな。今ならわかる。
問題はそこだけじゃない、
当時私の年齢が

41歳

だったこと

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死者の尊厳

死者の尊厳

八百万の神々がいて
叱りも咎めもしない都合のいい国で
昨日ひとつの答えが出た

「死者に人格はない」

どんな神でも歓迎するが
戒めや罰は受け入れない
楽しいことだけのその国で

骨格から声を再生し
ティラノサウルスを歌わせるように
死者が歌わない歌を歌い
言ったことのないことを言った

なぜなら「死者に人格はない」から

前例が好きなその国で
もはや有名無名は関係ない
データがあればそれでいい

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君が助けを求める顔してた

君が助けを求める顔してた

足が勝手に!!何でって…わかんないけど!!!君が助けを求める顔してた

動くことを恐れるな
だけど現実は甘くない
足は震え
身はこわばり
何もできないんだ最悪の瞬間まで

だけど、君の中で物語が叫ぶ
動くんだ、今
悪魔に勝て
君を竦ませる
君の中の悪魔に

6歳の少年が
強盗を締め出したとき
心の中に響いたのは

「戻れ!! 仙道が狙ってくるぞ!!!」

物語はある
勇気のために
本当は動けない

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君へ (九歳離れた私の従妹に捧ぐ)

君へ (九歳離れた私の従妹に捧ぐ)

君と出会ったのは
四歳
幼稚園の頃から好きだった

同じ小学校
同じ中学校
同じ高校に通い
大学は別だったね

それでも僕の隣には君がいた
ずっとそうだと思っていた

結婚して
息子が産まれ
息子を育て
楽しい時も苦しい時も
僕の隣に君がいた

四十四歳で君が死んだ

息子の卒業式には車椅子で出席し
息子の入学の前日に力尽きた
息子の受験を気遣って
痛いとも苦しいとも一度も言わずに

君は逝ってし

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檸檬の色と香りのように

檸檬の色と香りのように

青空の色は
青一色じゃないよ

わかるようなわからないような顔をした
あなたは
音程が階段じゃないと
知っているでしょう

半音の中にも無限の音を聴くあなた

世界はあなたとわたしに
同じ顔を見せてはくれない

だからわたしは
祈るだけ

この等しくない世界が
美しくありますように

この星のかすり傷

この星のかすり傷

記憶は消える
記録は残る

記憶は風化する
砂丘の風紋のように

だが 記録も
やがては消える

削除しますか
初期化しますか
エンターキーで
ボタンひとつで

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人類の痕跡を掘り起こすのは
昆虫だろうか?