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ヒッチハイクで得たもの④

ヒッチハイクで得たこと
ヒッチハイクで得たこと②
ヒッチハイクで得たこと③

青森~岩手~東京~静岡までヒッチハイクに成功し,根拠のない自信を持ち始めていた。4日目では、ヒッチハイカーとして屈辱の選択をすることになる。


4日目。浜松発。この日の目的地は滋賀県大津市に住む友達の家。

曇り空の朝。泊めてくれた友達は7時前には職場へ向かった。「やっぱ、社会人は忙しいんだな~」と思うと同時に,一人だけ楽しんでいる自分に罪悪感を感じていた。

でも,今なら思う。その経験がこれからの自分を支えることになるから「胸を張れ」と。
この考え方は今の仕事でも役立っている。誰もやらないことを先陣切ってやるとき,思うようにいかない瞬間が必ずある。決まって逆風も吹く。そんな時は自分を信じることができるかどうかで決まる。本気で楽しんで挑戦していれば,結果も周りも気づいたら後からついてくるものだ。そういう意味では,孤独こそ成長を与えてくれる。


さて,話を戻そう。
今回も戦いの場に選んだのはサービスエリアだ。もう怖いものなどない。サービスエリア施設の入り口で直接営業をかける。名古屋方面に乗せてくれるようお願いした。
すると,1組の老夫婦がOKをくれた。

聞くと,夫婦でヨーロッパの輸出入に関わる大きな取引の責任者をしていた方らしい。スケールが大きすぎて僕にはよくわからなかったが,確かにそんな雰囲気を醸し出していた。車も身に纏っていたものも一流品だ。

話していると,どんどん気持ちよくなり,気付いたら自分の話ばかりしていた。相槌を打ち,興味をもって深掘ってきいてくれる。夫人は柔和な笑顔で僕の話にうん,うん,とうなずき,嫌みな感じ一つない。残念ながら,20分くらいでサヨナラすることになるが,この老夫婦がきっかけで「話させ上手」に憧れるようになり,本を読むようになった。


そうこうしているうちに愛知県刈谷に到着した。日本一のサービスエリアと謳っていただけあって,何もかも規格外だ。大きな観覧車が印象的で,ショッピングモールの横には宿泊施設,テーマパークまであって,一つの街みたいになっている。ちょっと調子にのって遊びすぎた僕は,そこから歩いて国道へと向かった。久々の国道でのヒッチハイク。場所もよくわからないし,車通りもまばらだ。ダンボールを掲げるが,手ごたえもない。

1時間くらいやっていると一台の車が僕の前に停まった。「ん?女性かな?」

車から降りてきたのは,スレンダーなドレス姿の40前後と思われる美人さんだった。その時,僕はいろんな意味で圧倒されてしまった。

「ほら,乗って!乗って!」と言われるがままに車に乗る。何の話をすればいいかわからない。女性の車に乗ることになるとは思ってもみなかった。今思えば、美人局じゃなくて本当によかったと思う。

聞けば,名古屋市内の証券会社で重役についている方で,夜まで時間があるらしく,豊田市,名古屋市の観光にも付き合ってくれた。
ここまで,ダンボールを掲げ続け,必死になってやってきたからだと思うが,この女性と行動を共にすることに何とも言えない感情が込み上げてくる。
今思い出しても微笑ましい気持ちになる。恥ずかしいくらい無防備な僕だった。

この時、「どんな女性とも対等に話せる男になるんだ!」という思いが芽生えた。

そして、このお姉さんとは、名古屋城を観光したところで、さようならをした。

ここからが地獄だった。

街中に来たことで、どこか安心感をもっていた僕だが、街中のヒッチハイクは全然車が止まってくれない。
道行く人々の視線も拍車をかけた。久々にみじめさを感じた。場所を変えながら何度もトライするが、車は止まらない。
そうこうしているうちに、陽が暮れて月が見え始める。

「ヤバイ!」

夜のヒッチハイクは、分が悪い。今から大津までは時間的に厳しい。


あらゆる可能性を模索した。
高速道路に戻るか、掲示板で探すか。



でも、決断すべき時は、すぐに訪れた。

突然の雨。夜のこの雨で、ヒッチハイクは難しい。


僕が選んだのは、公共交通機関だった。

電車に揺られ2時間。これまで乗せてくれた人を思い浮かべながら、そのありがたさを噛みしめた。
目的の場所に連れて行ってくれたこともそうだけど、何よりもありがたかったのは、お互いを知ることができるかけがえのない時間を作ってくれたことに対してだった。

イヤホンから流れるお気に入りの音楽が単調に聞こえるほど虚しかった。ヒッチハイクがつかまらない時よりも寂しかった。


この時思った。

出会いには意味がある。どんな出会いも自分の人生に影響をもたらす。自分に与えた影響の大きい人のことをメンター、恩師などと呼ぶ。

そして、出会いには自分から出会うための努力が必要だ。
自分で行動した結果、出会いがある。
どんな出会いからも学べるし、その出会いに意味付けするのは他の誰でもない自分だ。

その連続が人生をつくっていく。

「一期一会」という言葉の本当の意味はこういうことを言ってるんじゃないだろうかと自分なりに解釈した。


大津で温泉に浸かりながらそんなことを語りあった夜が懐かしい。


さて、5日目は大阪散策。
食べ歩きの遊び歩きを満喫!

でも、そろそろ帰る日が近づいていた。


ヒッチハイクで得たもの⑤




小学校教師、パパとしての立場から発信し続けていきます!これからもよろしくお願いします!