伴 ゆかこ

南アフリカ6年目。働いたり学んだり旅したり。 Wits大学でCritical Dive…

伴 ゆかこ

南アフリカ6年目。働いたり学んだり旅したり。 Wits大学でCritical Diversity Studiesの修士修了、博士課程在籍 https://linktr.ee/yukakoban

マガジン

  • アフリカの南端から:社会・文化・経済

    南アフリカから見える景色を徒然書きます。社会科学・人文科学的な視点から。

  • ユースから見た国際会議・政策の世界🌍

    2021年から国連政務・平和構築局(United Nations Department of Political Affairs | UNDPPA)の北東アジア部署のユースピースビルダーとして関わっています。 そこでの活動から、インターネットガバナンスの分野にも少しだけ足を突っ込んでいます。アジア太平洋のユースと共に活動することが多いのですが、各国にはこんなにもアクティブなユースがいるのか!とめちゃくちゃ刺激を受けているので、日本語で、少しでも多くの人に「こんな世界もあるよ」と伝えられればと思っています。 ユースとして、市民として、政策や国際会議の現場に関わることについて、つらつらと書いていきます。 ※ここで書かれていることは全て個人の見解で、関わっている組織とは関係ありません

  • イスラエル、パレスチナあたりの話

    2013年に初めて中東地域の複数国に行きました。イスラエルでは、ヘブライ大学の学生のところでホームステイしていました。 そして2014年にイスラエルのキブツに、ボランティアとして滞在。現地滞在中に、ガザ侵攻が発生。パレスチナのガザ地区に、イスラエル軍が地上侵攻するまでに。 キブツの話、パレスチナの話などなど、ゆるゆると書いていきます。

最近の記事

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【文化とアイデンティティ】フムスをめぐってヨルダン人とケンカした日

中東地域でよく食べられる「フムス」という料理をご存知でしょうか? 簡単にいうとひよこ豆を蒸して、つぶしてペースト状にした料理です。 中にタヒーニと呼ばれるゴマペーストを入れたり、オリーブオイルをかけたりもしますし、肉付きフムスとでも言いましょうか、お肉が上に乗ったものや、松の実がかかっているものなど、アレンジされたものもたくさんあります。 最近は、ビーガンフードとして、おしゃれなカフェでもよく見られるようになりました。 野菜のビーツを入れて、赤い色を付けたおしゃれアレ

    • ヨハネスブルグが意外といいところで長いしちゃった人たちの話

      南アフリカ、その中でもとりわけヨハネスブルグについてみなさんどんなイメージを持っているだろうか? 日本語でググってみると、なんとも悪名高い場所であることがよくわかると思う。 ただ、本当にそんなに悪いところなんだろうか? 今年に入って、ヨハネスブルグに取材なりビジネス機会の探索なりで大ずれた人たちが、揃って「思ったよりもずっと良いところ」ということで、滞在延長しているのだ。 最近日本からきた大学生インターンも「ヨハネスブルグ(南アフリカ)の滞在楽しいです!なんでこんなに

      • トレバーに捧ぐ - 見えない苦しみを抱えて生きること

        ちょうど先週、一度だけあったことがある南アフリカ人の親戚が亡くなったという。彼女は大学に入学して、数年経ったくらいでまだまだ若かった。 彼女の父親はアパルトヘイト時代にホームランドと呼ばれた人口85%ほどいた黒人に対し13%あてがわれた”自治区”の一つ「トランスカイ」を生きた。高校を卒業しておらず、トランスカイで人生のほとんどを過ごしているので、英語が話せない。彼の子どもたちの中で初めて高校を卒業して、大学に入学する予定だ、と前に会った時に聞いたのを覚えている。 シャイで

        • "ケープタウンはいいところ"Khayelitshaのドキュメンタリーから

          南アフリカのケープタウンは、世界中からの観光客を魅了する美しい都市だ。海もあり、山もあり、世界でそこにしかない植物区があり、ケープペンギンなどの動物も見ることができる。 アフリカというイメージからはきっと想像つかないラグジュアリーなサービスが比較的安価で提供される。 例に漏れず、私たちもヨハネスブルグに住んでいるが、年に1回くらいはケープタウンに行く。こちらに住んでいる日本人の人の方からも「ケープタウンに老後住むのもいいかも」という声を聞くことがある。 南アフリカに留学しよ

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        【文化とアイデンティティ】フムスをめぐってヨルダン人とケンカした日

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        • アフリカの南端から:社会・文化・経済
          22本
        • ユースから見た国際会議・政策の世界🌍
          1本
        • イスラエル、パレスチナあたりの話
          7本

        記事

          南アフリカの教育と格差〜アフリカーンス系キリスト教高校から見る社会

          南アフリカに移住して、はや6年目。 アフリカ大陸の中でも際立つユニークな歴史と多様な人が暮らすこの国で、私はパートナーの視点から社会を見ることが多い。 よく思うのだが、おそらく完全に独り身で、あるいは日本から駐在や留学でこの国に来ると、自然といわゆるアッパー層に近くなると思う。 アパルトヘイト時代”名誉白人”という不名誉な地位を享受してきたということもあるし、この国では東アジア系は比較的アッパーな位置付けになることがよくある。 大学の同僚に、ロシア先住民の学者がいるのだが、

          南アフリカの教育と格差〜アフリカーンス系キリスト教高校から見る社会

          アフリカのシャーマン〜サンゴマと教会

          今週末は、とてもディープな体験をしたので、まとまっていないけれど走り書きさせてほしい。 親戚の一人が、サンゴマ(アフリカンヒーラー、シャーマン、預言者のような立ち位置)として、アフリカンスピリチュアル教会で時間を過ごし、儀式があるということで立ち会ってきた。 いろいろとニュース記事などを調べることもできるけれど、まずは自分が見聞きしたフレッシュな想いを書き綴りたい。 植民地支配とも関わる複雑な歴史があるので、おそらく多種多様なナラティブやストーリーがあるとは思っている。

          アフリカのシャーマン〜サンゴマと教会

          【NetMission Academy2024】インターネットガバナンスを考える

          2023年、ひょんなことがきっかけて、京都で開催された国際会議「インターネットガバナンスフォーラム(Internet Governance Forum | IGF)2023」のパネルの一つに登壇しました。 そこでの出会いから、NetMission Acadmy2024に参加した経験について書こうと思います。 インターネット、デジタル、私たちの社会 2年くらい前からユースピースビルダーとして関わっている、UNDPPA(国連政務・平和構築局)の北東アジア事業の一環で、テクノ

          【NetMission Academy2024】インターネットガバナンスを考える

          連帯️(Solidarity、ソリダリティ)について、南アフリカから考える

          ずっここのテーマで書こうと思って、時間が経ってしまいました。 これまでのnoteに書いてきましたが、私が学部生時代、ひょんなことから中東世界にハマり、イスラエル・パレスチナの地域を中心に行き来しました。初めて彼の地に行ったのは、かれこれ10年以上前になります。 そして、これまでひょんなことから南アフリカという国に行き着くことになり、移住してはや5年が経ちます。 昨年2023年から、パレスチナの地で、大きな衝突が再び起きています。 そして、この長く続く紛争の大きな転機にな

          連帯️(Solidarity、ソリダリティ)について、南アフリカから考える

          都市の人間は生きる力を奪われる〜アフリカから見る豊かさ

          アフリカというと、サバンナとか、動物とか、紛争とか、そういうイメージを持たれることが多いです。 「アフリカの生活、YouTubeに投稿してよ!」 「アフリカの音楽ってどんなの?」(多分ドラムとかそういうの想像している) みたいな反応はよくありまして。 確かにそういうアフリカもあるけれど、実際はそれだけとは限らない。 大都市には高層ビルが立ち並び、鉱山開発によって自然は荒らされ、人と動物の衝突が起きているのです。 生きるとはどういうことか?都市化する、文明化するというこ

          都市の人間は生きる力を奪われる〜アフリカから見る豊かさ

          南アフリカから新年アマピアノ🕺-Let's make a plan

          2024年になりました。 そんなに深いことは書きませんが、今年はヨハネスブルグで年を越しました。 いろんな事件も多いので、ライトなカルチャーエントリーを書こうと思います。 南アフリカでは、新年よりもクリスマスの方が大事で、1月1日は休みであるものの、2日から働き始めるという人も珍しくありません。 それでも、12月(December)が動詞になる国(要は、パーティを楽しむ、12月を堪能するということ)なので、12月最後の年越しは、みんなウキウキモードでした。 日本で過ご

          南アフリカから新年アマピアノ🕺-Let's make a plan

          アパルトヘイトと薬物戦争

          先日こんなツイートをしました。 私もこの動画を見るまで知らなかったし、南アフリカ人の中でもよく知られているとは言い難い「Project Coast」。 アパルトヘイト終盤、南アフリカに置いて、政府によって化学生物兵器の研究プロジェクトです。コードネーム、Project Coast。 今日は、これについて記事を書いてみたいと思います。 Project Coastとは 簡単にいうと、アパルトヘイト後期、1981年から1995年まで、極秘で実施された化学生物兵器の開発・研

          アパルトヘイトと薬物戦争

          10月7日金曜日

          I am against violence of any kind. Power wields its might, oppressing both consciously and unconsciously. Resistance shall emerge from the oppressed, a fight for freedom portrayed as heroism. Yet resistance can also be branded as terroris

          10月7日金曜日

          南アフリカでの進学、MBA・ビジネススクールについてまとめてみた

          南アフリカの大学院で、無事修士論文を提出しました。ばんです。 英語でガッツリ学位をとるのは初めてだったので、仕事をしながらのパートタイムで論文を読み、レポートを書き、リサーチを仕上げる作業はなかなか忍耐力がいる作業でした。 ただ、社会人になって、仕事にコミットして、自分自身の視野を広げた後に、改めて腰を据えてリサーチをするという作業は、自分が今後何をしたいのか?マスターレベルのリサーチをするほどコミットしたいテーマはなんなのか?キャリアとか打算的なことを一旦置いて、自分の好

          南アフリカでの進学、MBA・ビジネススクールについてまとめてみた

          ヘアスタイルとコロニアリズム(植民地支配)

          このことについて書こうかどうか迷ったんですが、ちょうどこちらのニュースでも見かけることがあったので、自分の学びを記録するつもりで書きます。 私自身が当事者には当たらない話なので(今のパートナーとの間に子どもができたとしたら、彼らは当事者になる話ではあるが)、ニュースを切り口に、少しリサーチした内容を添えて日本語に書き起こしてみます。 ドレッドヘアによる公立高校の入学禁止に対して判決ーマラウイふとフィードに出てきて見たのがこのニュース。 マラウイでは、ドレッドヘア、特にラス

          ヘアスタイルとコロニアリズム(植民地支配)

          虹色のアフリカから〜Safe Zoneについて考える

          南アフリカは、2006年に同性婚を合法化した国で、なんと世界で5番目。 アフリカ大陸で同性婚が合法となっている唯一の国である。 南アフリカの憲法は、世界で最も民主的とも言われていて、私のnoteでも何度も取り上げているアパルトヘイトの歴史からの反省を受けて、人種だけでなく、ジェンダー・セクシャリティ、言語などあらゆる差別を禁止している。 先週、縁あって大学のLGBTQIA+のセーフゾーン研修に参加したので、そこで感じたことを書いてみる。 分断された社会:見える多様性と残

          虹色のアフリカから〜Safe Zoneについて考える

          名前のポリティクス - アパルトヘイトとイングリッシュネーム

          私のパートナーは、南アフリカ国籍をもっていて、母語はXhosa(コサ)語ですが、英語の方が得意。 義父は東ケープ州のウムタタという街に住んでいる。 そこには実は「ネルソン・マンデラ博物館」があのですが、何を隠そうウムタタは彼の故郷のすぐ近くだから。 今日は少し、アパルトヘイトの記憶について書きながら、旅の心得について記してみる。 アパルトヘイトは、歴史ではあるが極めてフレッシュな記憶「アパルトヘイト」という言葉は、アフリカに詳しくない人でも、聞いたことがある人が多いと思

          名前のポリティクス - アパルトヘイトとイングリッシュネーム