東山魁夷展@京都 に圧倒された話

東山魁夷展へ行ってきました。
東山魁夷といえば画像右下の『緑響く』が有名です。
それゆえか、展示のキャッチコピーは、本当の「あお」に出会うでした。

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展示室に入ると、画家の生い立ちや年表などのよくある解説がサラッと書いてあって、初期の作品が並んでいます。
特設ホームページにも載っている年表からわかるように40歳からの作品の量が凄い。本展示では作品タイトルの横に描き上げた時の年齢も書いてあるのですが、それがだいたい40歳以降の作品ばかりで驚きました。

今回のテーマはもちろんティファニーブルーならぬ、東山魁夷が描く「あお」だったはずなのですが、
余分な解説はほとんどなく、淡々と年齢順に並べられた作品がなにかを訴えてくるような気がしました。
何歳になっても描き続けていたこと、
転機があるたびに(海外へ出かけるたびに何らかのインスピレーションを受けていたようです。当時、海外渡航というのは結構なライフイベントみたいなものだったのだと思います。)作風に変化を起こすこと、
それでもやはり「あお」に帰ってくること。

宮内庁に絵が飾られるなどして、大成功を収めているはずなのに、それでも何かを求めて海外へ出かけていって、朝霧のような靄がかかった作風になり、そして最後に「描くことは祈りである」という自分なりの答えに行き着いて『緑響く』を描き上げること。

小話やトリビアみたいなものをちりばめて、その人がどのような人物で何を想って描いていたのかがわかるように工夫された美術展はたくさんあります。また、音楽のサビのように、一番有名な作品を一番広いところに置いて、なるべく沢山の人が同時に見られるようにしている美術展もあります。
そんな中、名作もあまり知られていないものも含めて、解説は少なく、全て淡々と年代別に並べてある展示は珍しかったように思います。
それでも、無言で伝わってくるものは確かにありました。

40を過ぎてから花開き、「自分は天才ではない」と長らく思い詰め、常にアップデートを続けた東山魁夷の一生を見せ付けられる美術展でした。


■おまけ1
チケットは「あお」ではなく朱色で可愛かったです。

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■おまけ2
バウハウス展も同じ場所なので一緒に見てきたのですが、あれは展示よりも本で見た方が楽しめる気がした・・・。個人の感想です。

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