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名建築で旅をする~自由学園明日館

今回の旅は東京です。
東京出張の際に、以前から訪れたかったフランクロイドライト設計の重要文化財に会いに行ってきました。
JR池袋駅から徒歩5分ほどの住宅街にある女学校。
今は学校ではないですが、「使いながら保存する文化財」ということで、中は見学できるようになっています。
想像を超えてとても素晴らしい建築&インテリアでした!

フランクロイドライトって?

フランク・ロイド・ライトは、アメリカの建築家です。
ル・コルビュジェ、ミース・ファン・デル・ローエとともに近代建築の三大巨匠の一人として数えられる、世界で最も著名な建築家の一人です。
建築家フランク・ロイド・ライトの特長と言えば、「自然と建築との融合」常に自然をテーマとし、土地と建物との一体化や周辺環境との融和を目指したことで知られています。
また、ただ単に自然を生かして建築しただけではなく、もっと深く、住まいや暮らしに「自然に学ぶ」精神まで吹き込み、建物の外観だけでなく内装もすべて自然をお手本とし、自然と共存することにこだわり、壁や窓、照明器具に至るまですべてに“意味”を与えて設計されています。
彼が生涯をかけて唱え続けた『有機的建築』は、無機質になりがちな現代において、より人間的な豊かさを提供してくれています。

照明もいくつか有名なものがあります。照明代表作「タリアセン」
この照明も自由学園に展示されています。

床の高さが違う!

外観をみるとよくわかるのですが、床の高さが違いますよね。
建物の中に入ると、意識しないとわかりづらいのですが、床の高さを少しずつ変えながら部屋が連続されています。
この空間構成を「プレイリースタイル(草原様式)」といいます。

窓やドアが素敵すぎる

どの窓やドアなどを切れとっても美しい幾何学的デザイン!

一番のみどころはこちらの中央ホール
窓の脇には聖書の「出エジプト記」に着想を得た壁画があります。 
窓の幾何学デザイン、これはステンドグラスではないのですが、外の緑の景色がピクチャービューのようになり、有機的な印象を与えてくれます。通常のガラスに木の枠の線を組み合わせることで紋様とし、結果的に工費も抑えたようです。この窓は嵌め殺しではなく、開閉もできます。

暖炉と大谷石

自由学園明日館は、かつて学校として、多くの生徒の学び舎でした。
この建物には暖炉がいくつかあります。暖炉を囲んでの食事をしたり、お祈りしたりと、なんだか設計者と学校のやさしさが感じられます。
今も冬の時期になると暖炉に火が灯るそうです。
そして、フランクロイドライトといえば「大谷石」。
たくさんの大谷石をみることができました。
アプローチ、内廊下、そしてこの暖炉です。
本物の味がある、暖かく柔らかい雰囲気、そして自然の力が感じられます。

名建築と食

ここが食堂です。
暖炉もあり、美しい窓があり、こんな食堂で毎日過ごしたい!と思わずにはいられません。

こんな照明の工夫も施されています。
建築だけではなく、そこにいる人、空間、動作までイメージしつづけるとこういったデザインになるんだなあと勉強になります。

喫茶付きの見学だとお菓子と飲み物がついてきます。


まとめ


これが実際の建物模型です。
部屋と部屋が分離されているようでつながりをもたせるスキップフロアがよくわかります。
1921年(大正10年)の建設以来、奇跡的に戦争の空襲での被災を免れているんです!ただ、その後建物の老朽化が進み、昭和40年代になると取り壊しの可能性もあったそうですが、卒業生や建築家など多くの関係者の保存への思いが実り、保存修繕工事の末、現在の形で保存されることになったそうです。
この建物に入ってホールに座った際に、時間とともに何かが変化していくような気がしました。それは自然の光やぬくもりを五感で自然と感じたからだと思います。
また季節を変えて訪れたい建築でした。



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