三木田照明

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馬楽の時間 175

 乗馬施設からも指導依頼がきました。  スタッフの指導をして欲しいそうです。場長さんも指導を受けたいとのこと。素晴らしい。こんなことは初めてです。私は大嫌いな人にも教えてもらいました。上手になりたいから。そうでなきゃと思います。  学生たちも同じですが、教えてもらう時は、全部「はい」で行く。自分の知識や馬歴で邪魔しないことです。 「そんなこと聞いたことない」と、拒絶しないこと。初めて聞くことだからこそ、そこに宝物が潜んでいるかも知れない。  集中して真剣な態度で教えを受けてい

    • 馬楽の時間 174

       私は75歳です。大学馬術部指導の要請がありました。全員孫世代です。  私が馬術部員だったのは半世紀以上前です。大昔。若者たちにすれば私なんか化石のようなものでしょうね。テルノザウルス。私も一応学生日本一になりました。だからと言ってその頃の価値観で押すのは下手。受け入れてもらえるはずがない。教え方もしっかり研究しなきゃ。  馬歴は70年越え。指導歴は55年。大ベテランです。  私の教え方。  まず、一人一人の名前を覚える。漢字でどう書くかを聞く。例えばオオタニなら、あの大谷と

      • 馬楽の時間 173

        内方姿勢  私が言う内方姿勢に不満でしょう? 「顔を進行方向に向けるだけ」って。それで馬は内方姿勢になるのか?  なるんです。  馬が歩いているのを上から見て下さい。引手を長くした曳馬がいいです。  円運動に入ると綺麗な内方姿勢を取ります。何故?  それが自然だから。誰かが内方姿勢と言ったんでしょうね。  そこから「内方脚の位置、外方脚の位置、腰はどう・・・」と人工的になってしまった。それで、輪線運動に入ると身体が固まってしまう。  馬を内方姿勢にしなきゃ。内方脚で馬を外へ押

        • 馬楽の時間 171

          調教と部班について  調教は難しいと言う。言われている。何が難しいのだろう?  そもそも、調教って馬に何を教えるのだろう????  良い馬をつくる。良い馬って?どんな馬がいいのか?  私論  乗りやすい馬。前へでる、止まる、曲がる。障害に向けたら飛ぶ。  これでどうでしょう?あとはどの程度を求めるかです。  5月に学生馬術部の指導に行きます。学生から頼まれました。  部班を教えてほしいと言われてます。得意中の得意。  まず号令のかけ方。声出しから始めます。大きく歯切れよく。

        馬楽の時間 175

          馬楽の時間 171

           馬術は馬と人の共同作業。初期の練習からそこを意識したいですね。  ミューゼラーには、姿勢、感覚、作用を意識することとある。  とかく練習となると、騎手の姿勢の矯正が重視されるが、同時に扶助を覚え、感覚することも覚えなければならない。  私のレッスンは、まず、常歩の観察から始める。曳馬で常歩をしてもらい、四肢の動きと、身体の動きを見る。常歩の四肢の着地順、言えますか?  左後肢、左前肢、右後肢、右前肢です。  後肢が後ろから前へ移動する時、つまり肢が浮いている時、腰が沈みます

          馬楽の時間 171

          馬楽の時間 170

           子供の頃から馬に乗っていた。鞍は無い。小学6年生の時の火事で焼けてしまった。確か本に書きましたね。焼け残った鐙金で南京袋の鞍を作った。  いつも裸馬だった。裸馬で駈歩までやる。  勿論馬術なんか知らない。馬術と言う単語さえ知らない。  バランスで乗るんだと言われなくても、バランスをとらなきゃ落ちてしまう。鐙がないから、どうしたって足で腹を巻いて縋り付く。  大学に行き初めて馬術を知った。足で腹を巻いちゃいけないらしい。と言われても、子供の頃からの我流はそう簡単に直せない。鞍

          馬楽の時間 170

          馬楽の時間 169

           嬉しいお知らせ  馬事公苑のメインホールに私の本が展示されているそうです。しかも、あのミューゼラーと並んで。嬉しいです。皆さんどうぞ読んでください。  とかく馬術の本は難解。私は可能なかぎり易しく書きました。乗馬をしない人からも好評をいただきました。易しいからと言って油断しないで下さい。読んで実践していたただければ、必ず上手になります。  5月、出張指導します。呼んで頂きました。楽しみです。  どうぞ呼んでください。本を読むだけで上手になるのですから、直接習ったらどんなに上

          馬楽の時間 169

          馬楽の時間 168

           ちょっとお休み。 「拳をさげろ」「体を起こせ」「脚を引け」  昔の練習風景です。注意ではなく怒声。そして「腹を蹴れ」。  無理なことばかり。拳を下げて身体を起こすのは無理。脚を後ろに引いて身体を起こすのは無理。常時腹を蹴ってリラックスは無理。  ミューゼラーには良い姿勢の条件が書いてあるが、まず、姿勢の矯正はダメと書いてある。これを読んで「先輩の言うことを鵜呑みにしちゃダメ」と決めました。大学2年生でした。何しろ手本がない。今のように、映像がない。せいぜい写真。だから大会に

          馬楽の時間 168

          馬楽の時間 167

           相手が動いていますから、「固定」はありません。  拳も固定されていると馬の口にガツガツ当たります。上級者の馬術では、馬の口が動いているように見えません。が、銅像のように固まっているとはどうしても考えられません。絶対動いています。なのに拳を固定するものだとしたらどうでしょう。ハミに当たります。 「赤ちゃんの肌に吸い付くような」拳とは、馬の口の動きに合わせて動いているのです。固く握っていても、それが出来るなら、柔らかい拳と言うことです。オイオイ今さらですね。  どこかに書きまし

          馬楽の時間 167

          馬楽の時間 166

           口にガツガツ当たると馬は辛いですよね。「拳の力を抜けー」とよく注意されます。それを考えてみましょう。  赤ちゃんの肌に吸い付くような拳を得たいものです。  強く握ると固くなります。かと言って弱いと手綱が滑ってしまいます。  滑らない程度に握って、力を抜く。難しそうですね。  ちょっと視点を変えます。 「こぶし」だけじゃなく、腕全体を見てみましょう。馬の口と騎手の肘が一直線になるようにすると効率がいいですね。効率がいいと使う力が少なくて済みます。そこで、拳と肘までの前腕部を手

          馬楽の時間 166

          馬楽の時間 16

           じゃあ、やる気が起きるのはどんな人、時?  私の場合。よく見てくれる。よく聞いてくれる。レベルに合った指導をしてくれる。「こんなことも出来ないのか」とは絶対言わない。褒めてくれる。理論に一貫性がある。よく勉強している。一方的に否定しない。言われた通りやるといい結果が出る。偉そうにしない。作業を一緒にやってくれ る。馬場の整備が上手い。経験をひけらかさない。実力主義。柔軟な考え方。馬を大事にする。何でも興味を持ち一緒にやってくれる。  さて、推進のヒントがありますか?  馬が

          馬楽の時間 16

          馬楽の時間 164

          推進について  同じく、加える力を出来るだけ少なくしたいものです。  推進について再確認しましょう。推進は騎手の役割。ではそれに対して馬の役割は何でしょう?「前に出る」。正解。でも、いくら脚を使っても前へ出てくれないことありますね。他の人が乗るとすいすい前へ出たりして。もう泣きたくなりますね。私も学生くんたちに「先生、脚、使ってるんですか?」と質問されました。私が乗ると、学生くんたちが前へ出せない馬が、気持ちよさそうに自分から動くんです。空を飛ぶんです。何故?  もう少し整理

          馬楽の時間 164

          馬楽の時間 163

          停止のつづき  常歩から止まるのを想像して下さい。  何かのきっかけで馬が止まると、予測していないと、乗ってる人は前にのめりますね。停止は騎手が合図を送るので、前にのめることはありません。  と言うことは、馬を前に出す力が働いているはずです。慣性の法則。  停止の時はそのくらい僅かの力で十分だと考えます。  私の長年の経験と感覚です。異論はあるでしょうね。でも試してみてください。出来るだけ加える力を少なくするんです。  馬は「止まって肢をそろえればいいんでしょ」と言ってるはず

          馬楽の時間 163

          馬楽の時間 162

           調教の章を終わります。これからは思いつくまま書きます。  停止について。  停止も長いこと随分悩みました。上手く出来ませんでした。  まず四肢がそろわない。ハミ受けが出来て適度な推進があれば、四肢がそろった停止が出来ると習ったが、が、出来ない。  ピットボーイで何百回もやってみましたが、が、出来ませんでした。  疑問。当然ですよね。まぐれで出来る時もあったが、確率は低い。  競走馬あがりの馬は、肢をそろえない。写真を撮る時四肢が見えるようにずらすからでしょう。  まず、そ

          馬楽の時間 162

          馬楽の時間 161

          妄想劇場  今研究中のことを特別にお話します。口外無用ですよ。  重心について。これも本に書いたような気がします。 「推進を強くすると、後躯が体下に沈み込み、結果前躯が浮く」と習いました。もうこの理論は古いですか?  何度も何度もやってみましたが上手くいきません。推進を強くすると前へ出ます。前へ出ることを望んでいないので、ハミ受けが強くなります。要するに引かなきゃならない。引くと馬の重心は前がかりになります。  意図するところではありません。  ここからは仮説です。  順番が

          馬楽の時間 161

          馬楽の時間 160

          調教を休んで、妄想劇場へ誘います。  musicを音楽とした人は天才ですね。音を楽しむ。音学、音を学ぶとしなかった。学ぶとしていたら、固くて楽しめなかったかも知れません。 「馬楽」もいいでしょう。私のパソコンでは、「ばがく」と打つと馬学ではなく馬楽と出ます。凄いでしょう。(単語登録したから)  ばがくが当たり前のように馬楽と認識されるようになったら、乗馬はもっと楽しくなるでしょうね。あと何年後かな?何十年後かな?  その時「『馬楽』と言う言葉は誰が作ったんだろう?天才だね」と

          馬楽の時間 160