馬楽の時間 186

 先日、お母さんと息子さんが来てくれました。二人とも乗馬をしている。
「鐙は何のためにあるのでしょう?」とクイズを出した。
「う~ん」
「障害鐙はバランスを保つため」「じゃあ馬場鐙は?」
「う~ん」
 こんなこと考えてみるのも面白い。「馬の顔は何故長いのか?」とか。
 答えは、リラックスのためです。「えっ?」。思ってもみなかった。
 馬場的な運動は鐙が無くても乗れますよね。むしろ無い方が乗り易かったりして。外れたりズレたりを気にしなくていいから。でも、何百年もの歴史の中で鐙を取ってしまおうとはならなかった。何か理由があるはずです。
 鐙無しでリラックスすると、足がダランと下がり、脚が馬の腹から離れます。脚を使う時、改めて足に力を入れて持ち上げなければなりません。これはリラックスに反します。ここで鐙の出番です。ダランと下がった足を鐙にぶら下げるのです。もちろん鐙の長さを調整して下さい。何ということでしょう。膝と足首が「く」の字に曲がり、脚が馬の腹に沿うじゃないですか。そのままほんの少し動かせば、馬に合図を送れます。鐙を振り子のように利用すれば、脚の位置も力まずに変えられます。
「鐙はリラックスのためにある」
 前提として、良い姿勢の条件を確認すると、①リラックス②バランス➂フォロウイングです。これをその通りですと認めるかどうかが大事です。これはあのミューゼラー先生が言っています。私は全面的に賛成。
 お母さんと息子さんは納得してくれたかなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?