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コロさん日記(4)〜コロさんは弱って往ぬらない気が〜

コロさんが私の書斎に来てから、二週間がすぎた(第一話はこちら)。

当初は「徐々に弱って往ぬる」という話で、私としても、だったら短い余生を拙宅で穏やかに過ごしていただけたら、と考えていたのだが、コロさんは今も生きている。つか徐々に弱ってすらいない。徐々に元気になっている。いやさ徐々にどころか一足飛びで。

正直この「コロさん日記」だって、四回くらいで終わるだろうと思っていた。ぶっちゃけ「そしてコロさんは虹の橋を渡っていきました……」的な締めくくりまで考えていた。「コロさん日記」が好評を博してネットでバズって書籍化されバカ売れして「ありがとう、コロさん」という続編を執筆している未来のおれが、意に反して浮かんでしまった瞬間もある。本当に情けない。一度滝に打たれてこよう。

ちなみにペットが亡くなった時の常套句である「虹の橋」は、北欧神話のアースガルズへと架かる虹の橋、ビフレストが起源とされ、八十年代にアメリカの動物好きの間で広まったものが、世界中に浸透したらしい。ウィキペディアはなんでも知っている。

閑話休題。

そういうわけで、コロさんは今日も元気である。検査の数値的には今もあまりよろしくなく、毎日点滴が欠かせない体ではあるが、自分から望んでごはんを食べ、用も足せている。

元気になったコロさんは、明らかに求めるものも増えてきた。

今一番コロさんが求めているもの、それは──おれの膝である。

ニンゲンの膝に何かしら由縁があるのか、コロさんはやたら膝に乗りたがる。当方がデスクで労働していようとお構いなく、「なお」と鳴きながら私の膝に乗ってくる。こちらもキーボードを打ちづらいので、「すまんな」と言って床に下ろすと、コロさんは少し戸惑い顔になったのち、何か閃いたようにまた膝に飛び乗ってくる。なので私はまたコロさんを下ろし、膝を片手でガードするのだけれど、コロさんは別の角度からジャンプしてきて…

と、私の書斎では今、こういった膝をめぐる種を越えた激しい駆け引きが、一日に何度も繰り返されている。

最後に負けるのはいつだって、ニンゲンのほうだ。(第五話へ

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これもう猫めっちゃ喜びます!