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ヘッドハンティングによる小さい会社への転職体験

私は転職を一度だけ経験したことがあります。

前の会社は従業員が250名ほどで、 7年半年間勤めました。
今の会社は世間で言うところの零細企業で20名ほどしかいません。
転職してからは5年と数ヶ月程度になります。

しかし、風通しはとても良いです。

転職を機にどのように変化したのか、企業の大きさの観点も合わせて書いてみたいと思います。


1. どのように転職したのか?


これは運が良かったとしか言えません。
常駐していた会社で、システムリニューアル案件に携わり、がむしゃらに仕事していたところをヘッドハンティングされました

1-1. ヘッドハンティングされるまでの経緯

システムリニューアル案件が始まって数ヶ月、先輩社員が産休明けの復帰チームを探していました。
私は是非先輩社員に参画してほしいと上司に嘆願し、希望を叶えてもらいました。

参画後、後にヘッドハンティングをしてくれるオジサンの斜め向かいに先輩社員の席が用意されました
偶然でした。
そして、なんとこの両者、過去に同じチームで働いたことがあり、知り合いだったのです。

オジサンは、私が先輩社員と話をする様子を斜め向かいの席からずっと観察していたそうです。

結果、気に入ったそうです笑

そして、その時はやってきます。
先輩社員とコンビニに行く道中のことでした。

「斜め向かいのオジサンが私たち2人を誘ってるんだけど、一緒に転職しない?」

今の会社に不満爆発寸前の私は2つ返事で承諾しました笑

2人の意見としてはほぼ確定なのですが、後日オジサンとの会食で「ちょっと落ち着こう。」と逆に言われてしまいました。
あまりにも前のめりすぎて驚いたそうです笑

1-2. 体験参加

その後は、1ヶ月ごとに設けられている帰社日の会議に体験参加させてもらい、雰囲気を体感させてもらいました。

参加した第一印象は、とてもアットホームな感じでした。

1番衝撃的だったのは帰社日の参加率です。
20人いて100%です。
転職前の会社の部会は30人ほどの集まりでしたが、毎回参加率が60%程度でした。
時間通りに来るのは3名ほどで、ほぼ全員遅刻してきます。
また、時間通りに始まったことは一度もありません。
そもそも部長が100%遅刻します。
ほぼ同じ人数比であるのに、ここまで参加率が高いのは驚きました。

その他、全員に担当が割り振られていました。
下記3つのチームに所属しており、自主的に作業をしていました。

  • インフラ担当

  • セキュリティ担当

  • イベント担当

ノルマというものはなく、担当者同士で一ヶ月ごとに目標を立てます。
そして、一ヶ月後に進捗発表をします。

簡単な例を挙げると、
インフラだったら、社内ドキュメントの整理。
セキュリティであれば、パスワードの強化の周知。
イベントであれば、社員旅行。
など。

会議が始まると、まずは経営報告、営業情報の共有がされました。
次に3つのチームから進捗発表がされました。
最後にゲーム企画がはじまりました。
ゲーム企画とは毎月行っている催し物で、イベント担当がメンバーの交流を目的としてゲームを企画してくれています。

今回のゲームは、

「もしも、砂漠で飛行機が墜落し、飛行機内にある持ち物を1つだけ持っていけるとしたらあなたは何を選びますか?一覧はこれから配ります。」

というお題でした。
複数人のチームに分かれて話し合いをして、答えを発表するというゲームです。
みんな楽しそうに話し合いをはじめました。

みんなが楽しそうにやっている。
こんな感覚、いつぶりだろうか。

実は転職前の会社の部会は、ほぼ全員が無駄な集まりだと考えており部会中の発言もゼロでした。
部長に指名された人が部会のテーマを決めて主催するのですが、みんな自分が指名されたくないと考えていました。
私も3回連続でやらされましたが、メンタルをかなり削らされました。

あっという間に、この会社の魅力に取り憑かれた私はすぐさま転職をしようと思いました。

余談ではありますが、前の会社の懇親会は自腹での負担でしたが、ここの会社は全部会社が負担してくれます。
お客様との懇親会などについても、複雑な申請はなく、事前に連絡すれば全部負担してくれます。
そういった社員への還元についても魅力の一つでした。

2. なぜ転職したのか?

上述でも転職前の会社との細かなギャップをお伝えしましたが、それよりも大きな理由は2つありました。
1つ目は部長のパワハラがひどかったことです。
2つ目は毎年の新卒採用人数が多すぎたことです。

2-1. 部長のパワハラについて

議事録1つとっても、とんでもないパワハラでした。
別の記事にまとめてますので興味がありましたらどうぞ ↓

この部長、わがままな子供のような性格と言えば伝わりやすいかもしれません。

  • 思い描いているシナリオ通りにいかないとキレる。

  • 自分発信の連絡は最優先事項だと思っている。

  • 開発案件が花形であり、運用は下僕だと思っている。

  • ギブ&テイクは存在せず、テイク&テイク。

などなど。
数々のエピソードはありますが、下記メールは明らかに権力を乱用した命令ですね。

運用チームのみなさんへ
本日定時までにこの資料に書いてある航空券のテストデータを全て準備するように。

死のメールですね笑
通常であれば運用チームに5営業日で依頼する内容になります。
しかし、運用チームに自社のメンバーがいるからという理由で自社メンバーだけに宛先を絞って、当日に命令してくるのです。
朝ではなく、昼休み明けに当日期限のメールが来るなんてこともありました。

従わないと暴言だらけのメールが来たり、電話の着信履歴が止まなくなります

私はこの部長とは一切馬が合わず、よく目をつけられていましたので、即断即決で転職を決断することになります。

当時の上司に退職願を提出し、

「これでようやくアレともオサラバか。」

と思っていました。

今までお世話になった人からたくさんの連絡がきました。
引き止めというのも一部はありましたが、大多数は応援や同情の連絡でした。

「ばーこしなら次のところでも絶対気に入られるよ。」
「狭い業界だから、またどこかで会うかもね。」
「いろいろ社内で問題ありそうでしたもんね。残念ですが、了解です。」

が、部長は転職する間際もしっかりと嫌がらせをしてきました

転職する1週間前にお世話になった人達へ挨拶回りをするため、部長のいる別拠点に向かいました。
が、私と目が合った部長は奥の部屋に歩き始め、ドアをしめて閉じこもり始めました
部屋の電気すらつけていません。

何をしているんでしょう?
フロア中の社員が挙動不審な部長に困惑していますが、気にせず挨拶をします。

全員と挨拶が終わったので10分程度は出てくるまで待つことにしました。

出てこない…

こっちも暇ではありません。
別に部長と話したいなんていう気持ちもありません。
なんなら会いたくもありません。
私含め、部長と長年の付き合いの社員達は察してました。

拗ねてる

どうでもいいので帰ることにしました。

それから1週間が経過し、転職前の出勤最終日になりました。
社長と挨拶をする機会がありました。

私は過去に忘年会の司会を務めたり、社内イベントで活躍(沖縄まで着ぐるみ持参で盛り上げ / フットサル皆勤賞等)、新人研修も担当したことがあるなど、業務以外でも会社への貢献も多く、大変感謝の言葉をいただきました。

そして最後に握手を求められ、

「今までありがとう」

と言われました。

この瞬間、今までの頑張りが報われたような気がしてしまい、涙が出そうになりましたが、退職願を出したのはこちらなのですからグッと堪えました。

感動のお別れをした直後です。

社長室から出た時に、部屋の隅にいた部長がいました。

「ちょっとこっち。」

と会議室に案内してきました。
気分は最悪です。
できれば会わずに終わりたかった。

会議室の席に座りました。
なにか説教をはじめています。

適当に聞き流していたのでしっかりと何を話していたのか覚えていませんが、上述の会議室に閉じこもった話は向こうから話してきました。

「1週間前に別拠点来た時になんで挨拶できなかったかわかるか?」
「いえ、わかりません。」
「挨拶する時は前もってアポイント取るんだよ。お前はそれをやったか?」

アポイント取ってくれなかったので、部屋に閉じこもって挨拶できないのを装っていたようです。

なんと小さい男なんでしょう。

自分のことをお客様だと勘違いしているのでしょうか。

むしろ会いたくないので、アポイントを取らなかったまであります。

最後は「頑張れよ。」とも言わず、「それだけ。」と言ってノートPCのキーボードを打ち始めました。

これは、もう用は済んだので出てけという合図で、忙しいのに会ってやったアピールをしています。

嫌がらせのバーゲンセールです。

会議室を出て、帰ろうとした時にまた声をかけられました。

今度は誰だ…

と思ったら、過去にお世話になった総務部の方が話を聞かせてほしいと言ってきたのです。

近年、この部長配下の社員離職率が段違いで上がっていることから異変に気づき、調査を開始したとの説明を受けました。

実はパワハラって一時的に業績が上がりやすいのですよね。
理由は簡単です。
人権を無視して限界まで働かせるからです。
この部長のチームで仕事が増えたことで、別の部署から多くの人が軍隊に異動となっていました。

しかし、パワハラは長く続きません
外の世界を知っている社員が来たことで違和感を覚え、軍隊耐性のある社員以外はすぐに退社、もしくは休職するというループが起きていました。

今後の被害者を出さないためにも、過去のパワハラを全てお話ししました。

  • 議事録で「てめえら真面目に確認する気あんのか。」と書かれたこと、短納期を強いられていたこと。

  • 社会人1年目の時、半期に一度の目標面談時に「上司との関係がうまくいかない」との内容を書いたら、上司に聞こえるように後ろを振り返って「だとさ。どう?w」と目の前でバラされたこと。

  • 部会に必要なプロジェクター調達方法について「お前は何も分かってねえ」と怒鳴られたが、部長のみ知らされている情報からしか導けない調達方法だったこと。

  • 私が力量に合わず、プログラムを学べないためやりたくない仕事だと言ったが、ゴリ押ししてシステムリニューアル案件に参画させたこと。結果、身体を壊すことになったこと。

などなど。
止まりませんでしたね。

一緒に転職することになった先輩も洗いざらい全て話したそうです。

結果、数ヶ月後に同期に話を聞いたところ、この部長は左遷されたそうです。

もう少し早く会社が対策に乗り出していれば辞めていなかったかもしれません。

2-2. 新卒採用人数が多すぎる


150人ぐらいの社員数の時だったのですが、その年の新卒採用人数が23人でした。

なんと従業員数の1割を超えています

私が入社した時は新卒は7人だったのに、3倍です。
もちろん新人研修後の配属で既存社員にも影響が出始めます。

教育です。

私は教育は嫌いではなく、むしろ好きなほうです。
ただ、さすがに毎年新しい子に教え続けるというのは嫌になってきます。
既存社員の中には教えることについて後ろ向きなメンバーがいて、結局私が教えることになって教育負荷がローテーションされないということもありました。

しかし、1番悲しかったのは新入生歓迎会に行った時に、全社員の半数以下しか顔が分からなくなっていたことです。
社会人1年目の研修期間中は、誘っていただいた飲み会に積極的に参加して、全社員の9割は顔を覚えていました。

しかし、大幅な増員により、気づけば150人から250人に社員数は増えていきました。
が、私は本社での勤務ではなく、別の現場に勤務していたため、新卒とキャリア転職の人で会ったことがない人が多くなってしまいました。

せっかく新入生歓迎会に出席したのに、用意された席は周りが誰も知らない人の席でした。
新入生を楽しく迎えるはずが、自己紹介などに追われ、全く満喫できなかったのを覚えています。

この時から帰属意識は薄れはじめ、小さな会社に憧れを持つようになります。

3. 転職してからはどうか?


冒頭にもお伝えしましたが、とても良い環境で働かせていただいてます。

3-1. 年収


後から知ったのですが、ヘッドハンティングしたオジサンは実は副社長的な存在の人でした。
オジサンが社長に働きかけてくれて転職前の会社よりも年収はかなり増やしていただきました。

具体的には、月の平均残業時間を足した月収を12ヶ月分掛け算した金額が年収となりました。
私の場合は月平均85時間の残業でしたので、その分が残業0時間でいただける月収になったわけです。

代わりにこの会社の規則で、残業代は45時間を超えないと支給されなくなりました
ちょっと年俸制に近い雰囲気を感じますね。

3-2. 残業時間

残業時間は月0〜5時間です。

これは会社として残業時間をなくそうとする指針があり、従業員が頑張って取り組んでいる成果がでているかもしれません。
そもそも上述の通り、年俸制に近い給料制度なので残業しないほうがお得なんですよね笑

取り組みの1つとして、勤怠登録システムから全員の勤務時間を取得して、残業時間が公開されるよう自動化されています
見える化することで、残業が増えている人へ早めにヒアリングを行い、改善するよう会社として取り組める仕組みを作っています。

そういった取り組みの結果、私含めて半数の社員は残業時間が0で、多い人でも月30時間程度になっています。

転職前の会社みたいに放置されないのがとても安心できます
また、転職を機に、お金よりも大事な健康を手に入れることができました。

3-3. 人間関係


これは零細企業の最大の特徴ですね。
全員の顔と名前が分かりますので風通しがとても良いです。

それだけでなく、社内イベントなどで一緒に活動をするので、こんなことまで見えてきます。

  • 性格

  • プログラムの得意 / 不得意分野

  • 仕事に重きを置く点

  • 個人 / チームワークのどちらに向いているか

  • 資料作成のセンス

などなど。

また、社長とマネージャーとの距離が近いので、声をかければ毎日話せますし、人事などの隠し事もなく、情報が常に見えやすいです。
毎月、経営報告も社員に対して行われ、経営状態も理解でき、安心できます。


3-4. 勤務や福利厚生


その他ですが、テレワークは推奨されていますので、基本的に全員が在宅で仕事をしています。
月1回の帰社日や、懇親会のイベントの時に顔を合わせるようにしています。
上記は任意参加になりますので、強制参加の飲み会はありません。

福利厚生も充実してまして、私は8月中旬に子供が産まれるので育休制度を使う予定です。
2021年にも一度使わせていただきました。

私が転職してからは、女性社員は1回、男性社員は私を含めると5回の実績があります。
20人規模でこの取得率はなかなかの高さです。

マニアックな制度ですと、健康増進手当というものがあります。
下記2つの用途で使えます。

  • スポーツジムの利用料を月最大7,500円まで会社負担

  • 一定の運動をすれば1日あたり50円

私は後者のほうで地道に筋トレをしており、月に1,500円ほどのお小遣いをいただいています。

3-5. 転職前より悪くなったことは?

上述までで良いことばかりしか書いてないので、転職前の会社から悪くなったことについて2つ記載します。

1つ目は、新卒を雇う体力が不足しています。

ある程度の規模の会社であれば、大きな請負案件を持っていて、新人を入れることがやりやすいです。
また、人数も多いので、計算上は1人あたりの教育負荷が減るはずです。

しかし、小さい企業なので、新人とマンツーマンでチームに入れることが多いです。
私は過去にキャリアチェンジ組の新人を合わせると5年間で3人の新人を育てました。
私に新人教育が偏りすぎていて、なかなかの負荷だったので、翌年からしばらく新人とはペアにしないよう社長へ直談判しました。

2つ目は、社長が取引先との交渉で強く出れないです。

やはり零細企業あるあるなんですかね。
かなり弱腰になりがちなんですよね笑

とはいえ、前の会社は社員を守ることさえもしなかったので、守ってくれるだけでも良しとしています。
やはり会社の知名度や大きさというのは少なからず交渉時には影響してしまうものかもしれません。

4. まとめ

いかがでしたでしょうか。
初めて6,500文字を超える記事を書いてみました。 長文を読んでいただきありがとうございます。

まとめになりますが、転職は本当に運ゲーです。
ヘッドハンティングの人から聞いた話や、面接官から感じ取った雰囲気だけでは分からない点が多いと思います。

私がラッキーだったのは、体験参加をさせてもらえたことでした。
「体験入社」という転職のやり方もありますが、期間が長かったりするので、仕事をしながら転職活動する人にとってはハードルが高いですよね。

AIなどの技術を使うことで、自分に合った会社がサクッと見つかる世の中になることを願います。


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