見出し画像

逃げたっていい

約7年前に独立をした。
野心とやる気でギラギラした独立宣言
とは違った。

もちろん、会社人の時も独立した今も、仕事にはプライドと愛情を持って取り組んでいる。

私にとっての独立は、まるで夜逃げをするようなドロンの仕方だったなぁ。
でも今考えると、あれは生活の見直しをするターニングポイントだったのかもしれない。


どちらかと言うと、意外にも愛社精神をもって、好んで残業をする方だったし、まだ○○ハラも社会人への登竜門かの如く存在していた時代、真っ向から受けなければ、負け犬といわれたバリバリ体育会系の松坂世代なので、今で言う社畜側の人間だったかもしれない。

11年勤めてきた。

始まりは酷いもので、電話対応も出来なきゃ、お茶もろくにいれられない、プリント枚数も数えられない、コミュニケーション力ゼッロー、もちろん1ミリも即戦力にはならなかった。
今ではたまに、気が効けて、コミュニケーション力が高い賢い若いアルバイトの子を見ると頭が下がる。

でも仕事への憧れだけは人一倍もっていた。
野心は独立した時よりもあったのかも。

先輩みたいなディレクターになりたい。
一人で案件を何個も持ちたい。
部の中心核になりたい。

自分を分析すると、私はスロースターターで、器用でもないため、物事を習得するのには、人一倍時間もかかった。

会社の実の仕事内容とは縁遠い雑用の日々。

「ベストキット」の宮城さんに見えてくる先輩。(古いか、、、笑)


いつかこの作業が明るい光に繋がると信じてやまなかった過去の私。

それでも、小さな案件のディレクターの仕事が舞い込んできたときは、案件の大きさ云々、とにかく嬉しくて、上司に怒られながらも、小さな案件にかける時間の何倍も仕事を愛して取り組んだ。


20代は必死で仕事に食らいついて、とにかく成果を出して認めてもらう事に全集中していた。


そうこうしていると、先輩の異動や産休、後輩が増えたりと状況の変化があり、私が望んでいた大きな案件の仕事が舞い込んできて、部のチーフにもなった。

日々があっという間に過ぎていく。
大きな案件の業務、様々な会議や、後輩の教育などなど。

若過ぎたチーフは、自分の能力がついて行ってない事に、ココロがもっとついていけてない事に気付いていなかった。そのまま30代に突入した。

自分のこころが悲鳴をあげてることに気づかず、相変わらず忙しい中、パートナーが大病をして手術をすることになった。

病気の治療法の選択や、これからのスケジュール、術後の後遺症についてなど、いろいろ考えることや、調べたり準備することが出てきて、初めての出来事に戸惑い、息がしづらくなった。


私がしっかりしなきゃ!
逃げちゃダメ!
思えば思うほど、息がしづらくなった。


ここでやっと私のココロが私に警告をする。

ピーピーピー
アナタ ココロ イタイ



今までの無理も合わせ、一切合切の疲れが一気にココロに出てきて、私は仕事に行けなくなった。
行きたくても、息ができなくて、身体が重くなり足が動かなかった。


上司に全部を説明し、これを機に今までの溜まりにたまった有給を消化作業をすることにした。

病院にも行った。
病名は軽度のパニック障害。

とってもショックだった。
会社も彼の事も、今私がしっかりしなきゃダメなのに、何やってるんだ…と不甲斐ない自分のココロを責めた。

休んでいる間は、彼の病院の身の回りのことをしていたが、家で1人になれない状態だったので、実家に帰っていた。


それでも仕事の事が心配な私は完治する前に会社に復帰。足元をフラフラさせながら、上司にお暇を頂戴したことについて、形式的に謝罪をした。
上司から出た言葉は


「休んできた分、しっかり働いてもらうよ。溜まりに溜まった案件があるんだから。」


冗談めいた言い方も、全く私のココロには効果がなく、その言葉は、ナイフに形を変えて、私のココロを突きえぐった。
また会社に行けなくなった。


それから彼の手術も無事終わり、たまの発作を残しつつではあるが、普通の生活を暮らせるようにまで回復した。


私も彼の病状が落ち着くにつれ、安心したのか体調も少しづつ回復し会社にも復帰した。
たまにパニック発作が起こり、作業を中断してトイレに駆け込む事もあったけど。
そして私のいない間に後輩たちが、一生懸命私の穴を埋めてくれていて、素晴らしく成長をしてくれたことは、1番の驚きだった。


「そっか。私がいなくても回るのか」

当たり前のことを今更知って笑えた。

そもそも
私は何がしたいんだ?
先輩みたいになってどうしたいの?
案件たくさん抱えてどこに行くの?
部の中心核になったその先は?

全てがどうでも良く感じた。

辞めたっていいし、逃げたっていいんだ。
会社が自分を守ってくれているという錯覚からも目を覚ました。おはよう。

だからといって、居酒屋で会社の陰口ばかりを言って満足している先輩のようにはなりたくなかった。会社も仕事も、それでも好きだったから。


答えは簡単に出た。


独立しよう!


今は働き方の多様化が進んできている。
とっても良いことだと思う。


会社のため、自分のスキルのため、生活のため、子供のため、趣味のため、こんなに人がいれば理由や形は様々だろう。
また環境や自分の経ていく年齢でも変わっていく必要がある。


大切なのは、自分の環境や年齢の変化とともに、『今どんな働き方が自分に合っているのか』
その都度見直すこと、そしてそれを受け入れてくれる社会をみんなで創り上げていくことなのかなって思う。


先が読めない事が起こりうる世の中だ。
自分のココロに話しかけながら、ココロより仕事が上にならないよう、仕事を愛して取り組んでいきたいものである。






#はたらくってなんだろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?