昆 正和(BCP・気候リスク管理アドバイザー, 文筆家)

企業のBCP策定/気候リスク対策に関するアドバイス・講演・執筆活動に従事。日本リスクコ…

昆 正和(BCP・気候リスク管理アドバイザー, 文筆家)

企業のBCP策定/気候リスク対策に関するアドバイス・講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書14冊。趣味は登山と読書。連絡先:https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)

マガジン

  • 気候危機の時代

    気候変動のいまを正しく見つめ、正しく批判し、正しく適応していくための情報コーナー。随時最新のテーマで追加更新していきます。

  • 7ステップで理解するマルチハザードBCPの基本

    気候変動や地震、サイバー攻撃など、年々多様化、激甚化する脅威に、貴社のBCPでどこまで対処できますか? 特定のリスク想定に縛られないマルチハザード対応のBCPで、貴社の危機対応力をアップグレードしましょう! このマガジンでは、マルチハザードBCPの意義・目的、緊急対応マニュアルとの関係、重要業や事業継続戦略の意味などについて、ChatGPTを援用しながら分かりやすく解説しています。

  • 5ステップで理解する緊急対応マニュアルの基本

    危機発生時、命を守り、二次被害の発生を防ぐべく最初に行動を開始するための方針・手順が「緊急対応マニュアル」(英語ではERP:Emergency Response Planと呼ばれています)です。ChatGPTにたずねながら、このマニュアルの意義・目的、BCPとの関係、構成、扱うリスクの種類・書き方の基本を学びましょう。

  • ビジネスインパクト分析の基礎

    事業中断という危機的事態に直面した時に、何よりも考慮しなくてはならないのが「プライオリティ」だ。どのエリアをいつまでに復旧させるか? インシデントが自社の重要なビジネスプロセスに及ぼす影響を特定し、事業継続目標にあらかじめ明確なタイムフレームを割り当てるためのアプローチがビジネスインパクト分析なのである。

  • 9ステップで理解する机上演習(TTX)の基本

    机上演習(Tabletop Exercise:TTX)は、通常のミーティング形式(対面式、zoom参加など)で行える最も簡便かつ効果的な演習方法です。リスクやインシデントの種類が多ければそれだけ多種多様な演習シナリオも作れるので、マルチハザードBCPフレンドリーな演習形態と言えるでしょう。

最近の記事

気候危機啓発記事の連載を開始

このたび、月刊誌『電気計算』(電気書院発行)に、「未来のキャンバス~地球と温暖化のいま、これから」というテーマで、連載を開始しました。 社会人のよしお君と同僚のすみれさん、そして、気候変動を研究している謎の老人、キコー博士の3人による対話形式の物語です。 本連載の目的は、リスク対策.COMに連載中の「気候とビジネスのリスク・シナリオ 第一部」と同様、現在私たちが、気候危機のどの地点にいるのかを社会や経済の現状から理解していただくことです。 この連載では、「気候とビジネス

    • 第5回:毎日の食卓と水にも温暖化の影響が

      食料難の予兆  日本に住む私たちにとってほとんど無縁だった「食料難」や「食料危機」という言葉は、いよいよ現実味を帯びてきたかもしれない。ウクライナ侵攻による小麦価格の高騰は食の安全保障を脅かすと言われたものの、実際に影響を与えたのは主に中東やアフリカ諸国だった。しかしその一方で、日本の小麦の主な調達先であるアメリカやカナダ、オーストラリアでは、高温や干ばつの影響で不作となり、減産を余儀なくされている。いわば気候変動によって食の安全保障が脅かされているのだ。  こうした影響

      • 『月刊食品工場長』にてBCPの連載を開始

        日本食糧新聞社発行の『月刊食品工場長』にて、BCPの連載を始めました。キャラクターを設定し、対話形式でBCPの策定を進めていくストーリーです。 主な登場人物は、とある食品工場の総務課長でBCP策定の責任者であるヒロトと、彼の部下でBCP策定の実務を担当する木村さおりさんです。 このBCP策定ストーリーには、次の2つの特徴があります。 一つは、「マルチハザードBCP」の啓発・啓蒙を目的としていること。今や筆者が書くBCPの原稿は、たとえタイトルや見出しにその名前がなくても

        • 今、再点検すべき大地震対策の盲点【連載開始のお知らせ】

          月刊総務オンラインの「総務の引き出し」というコーナー(防災カテゴリ)にて新規連載を開始しました。 第1回のテーマは、「緊急チェック! 南海トラフ地震臨時情報終了で気が緩んでいる今、再点検すべき大地震対策の盲点」です。 大規模地震対策は、最もハードルの高い対策の一つです。かといって、全方位で隅から隅まで必要なモノや行動手順を網羅するなどというのは、まず不可能。命を守り、情報を共有することにフォーカスして対策を講じるしかありません。 この第1回では、難解トラフ大地震を見据え

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        • 気候危機の時代
          14本
        • 5ステップで理解する緊急対応マニュアルの基本
          6本
        • 7ステップで理解するマルチハザードBCPの基本
          8本
        • ビジネスインパクト分析の基礎
          4本
        • 9ステップで理解する机上演習(TTX)の基本
          10本
        • 生成AI×BCP ルールとリスク
          4本

        記事

          台風・豪雨災害に立ち向かうタイムラインを策定しよう!【雑誌掲載のお知らせ】

          このたび、月刊誌『企業実務(2024年9月号)』に、「時系列でとるべき行動を定めるタイムライン策定のポイント」と題する4ページの記事を寄稿させていただきました。 「タイムライン」は、一般的には災害時に国や地方自治体、住民等が連携した対応を行なう公共性の高い活動を目的としたものですが、個々の企業にとっても必要なことはいうまでもありません。  自社のタイムラインの策定は、災害時に機動力を発揮して従業員と事業資産を守るだけでなく、周辺住民や行政と連携する「共助」の余力を持つこと

          台風・豪雨災害に立ち向かうタイムラインを策定しよう!【雑誌掲載のお知らせ】

          第4回:世界はどこもかしこも水浸し

          大雨・洪水は増えている  気象庁によると、大雨の年間発生回数は有意に増加しており、より強度の強い雨ほど増加率が大きくなっているという。1時間降水量80mm以上、3時間降水量150mm以上、日降水量300mm以上など強度の強い雨は、1980年頃と比較しておおむね2倍程度に頻度が増加しているのだ。  これは私たち自身が実感していることでもある。夏場にはゲリラ豪雨や線状降水帯、竜巻、ひょうなどが毎日のようにどこかで発生し、街中があっという間に冠水している様子などをニュースで見て

          第3回:暑くなればなるほど企業は損をする

          暑さ寒さも気候次第  ここ数年、夏になると猛暑、猛暑と騒いでいるものの、本当に猛暑は昔に比べて増えているのだろうか。今回はこの素朴な疑問への答えを探ることから始めよう。猛暑日とは気象用語の定義で「日中の最高気温が35℃以上の日のこと。1910年~1939年の猛暑日の平均日数は0.8日、1993年~2022年は約2.7日なので約3.5倍だ。この数字だけを見ても、明らかに増えていることが分かる。  これに加え、各都市で発生するヒートアイランド現象が暑さをパワーアップする。都市

          第3回:暑くなればなるほど企業は損をする

          第2回:未来の予測を不透明にする一つの盲点

          エビデンスだけではわからないこと  前回わたしは、気候危機を見据えた2030年のシナリオに、少しでもリアリティを与えるために、信頼し得る科学的事実と世界の動向などを参考にしますと述べた。現在のエビデンスをもとに、アナロジー的に将来の姿が見えてくるのではないかという期待からである。  しかし実は、こうしたエビデンスだけでは将来を見通せない一つの盲点があることも確かだ。それは、なかなか読めない「人の心」だ。身近な例を挙げると、みなさんが脈がありそうな潜在顧客に向けて有用な情報

          第2回:未来の予測を不透明にする一つの盲点

          熱波が社会・経済に及ぼすリスクとは?

          今年は梅雨の最中に猛烈な暑さが続いた。そして梅雨の開けた7月中旬以降も相変わらず35℃を超える暑い日が続いている。 テレビの報道では、炎天下の街中に出たリポーターが「今日は38℃が予想されています!」と満面の笑みで暑さを伝える。バラエティ番組に登場する気象予報士は「明日は10年に一度の暑さですよ!」と笑顔で視聴者に忠告する。 海外の報道では、こうした異常な暑さ(熱波)を笑顔で語っているレポーターや気象予報士、ニュースキャスターを見かけることはまずない。なぜなら彼らは、熱波

          第1回:想像を超えるスピードで進行する温暖化

          ■重要なマイルストーン  日本は、昨年に続き、今年もまた記録的な猛暑と大雨に見舞われている。こうした異常気象は日本だけでなく、世界中で頻繁に発生し、欧州、南アジア、アフリカ、アメリカ、カナダなど、多くの地域で半ば日常化している。グテーレス国連事務総長は「気候野心サミット」で、「人類は地獄の門を開けてしまった」と警告した。  このような背景を踏まえ、わたしは気候変動に再び焦点を当てる連載を始めようと思い立った。理由は2つある。一つは3年前に執筆した「昆正和の気候クライシスとBC

          第1回:想像を超えるスピードで進行する温暖化

          【お知らせ】RCIJの新年度BCP/BCM講師を担当します。

          この度、(一社)日本リスクコミュニケーション協会が主催する講座の講師を務めさせていただくことになりました。 日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)では、リスクコミュニケーターの資格者を養成する日本で唯一かつ質の高い講座を提供しています。 すでに資格を取得された多くの方々が、大企業や中堅企業の中で、あるいはコンサルタントとして活躍されているようです。詳細はRCIJのホームページをご参照ください。 https://www.rcij.org/ 私が担当する講座は「BCP

          【お知らせ】RCIJの新年度BCP/BCM講師を担当します。

          気候問題の啓発記事はなぜ増えない?

          テレビはもとより、大手新聞・雑誌メディアも、異常気象や災害が起こった時だけ(あるいは起こりそうな時だけアラートとして)気候変動の問題と災害を結びつける報道をすることがある。 しかしそれらは、文字通り"たまたま"のことでしかない。5年、10年先を見据えた計画的、段階的な気候危機の啓発記事というのは、当面はまず現れそうにない。なぜなのか? 思うにマスメディアに関わる人々そのものが、気候変動に対する関心も危機意識もないか、あるいは脱炭素に後ろ向きな政治団体や企業スポンサーたちへの

          地場不動産のBCP対策【雑誌掲載のお知らせ】

          このたび、アットホームネットワークを結ぶコミュニケーションペーパー『at home TIME(No. 510)』に、「事業継続のために-緊急事態に備える重要ポイント」と題する地場不動産(賃貸住宅管理会社等)向けのBCP対策の記事を書かせていただきました。 本稿は、自分的には今月27日に京王プラザホテルで開催される日本賃貸住宅管理協会 東京都支部様主催の会合で登壇させていただく予定の、「経営戦略としてのBCP~経営資源を守る戦術が企業生存率を高める~」の内容と連動したものとな

          地場不動産のBCP対策【雑誌掲載のお知らせ】

          "BCPの見直し"待ったなし!【講演のお知らせ】

          今や大企業の7割、中堅企業の4割でBCPの策定が完了し、その運用(BCM)が進んでいると言われていますが、ここ一二年、大企業を中心に「BCPの見直しサイクル」が本格化し始めているのではという印象を受けます。 たとえばこの5月、筆者はパナソニック株式会社様の西日本エリアの拠点にて、「災害レジリエンス向上のためのBCP見直しのポイント」と題する講演を務めさせていただくこととなりました。 パナソニック様は、国内屈指の電機メーカーであり、そのBCMは業界でもトップクラスと評価され

          "BCPの見直し"待ったなし!【講演のお知らせ】

          経営戦略としてのBCP【講演のお知らせ】

          このたび、日本賃貸住宅管理協会 東京都支部様主催の会員総会・懇親交流会(5月27日 月曜日)にて、記念講演第一部に登壇させていただくことになりました。 私のテーマは『経営戦略としてのBCP~経営資源を守る戦術が企業生存率を高める~』で、賃貸住宅管理会社の平時の防災対策と非常時における業務対応のあり方です。 2024 年4 月より介護事業のBCP策定が義務化されたましたが、「入居者の生活を守る」という観点では、賃貸住宅管理業者にとってもBCPの導入は責務といえるのではないで

          能登半島地震から見えてきた防災 & BCPの現状と課題【メディア掲載】

           このたび、日刊工業新聞社発行『月刊工場管理』(2024年4月号)に、「能登半島地震から見えてきた防災 & BCPの現状と課題~企業の防災対応とBCP策定の重要ポイントを再確認する~」と題する特別解説(4ページ)を寄稿しました。  本記事は、今回の能登半島地震から事業継続のあり方とBCP(事業継続計画)策定の重要性を振り返ることを目的に、この地震による企業への影響や、明らかとなった問題、現実的な製造業の事業継続戦略の考え方、そして今後の課題などについて解説したものです。

          能登半島地震から見えてきた防災 & BCPの現状と課題【メディア掲載】