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気候問題の啓発記事はなぜ増えない?

テレビはもとより、大手新聞・雑誌メディアも、異常気象や災害が起こった時だけ(あるいは起こりそうな時だけアラートとして)気候変動の問題と災害を結びつける報道をすることがある。

しかしそれらは、文字通り"たまたま"のことでしかない。5年、10年先を見据えた計画的、段階的な気候危機の啓発記事というのは、当面はまず現れそうにない。なぜなのか? 思うにマスメディアに関わる人々そのものが、気候変動に対する関心も危機意識もないか、あるいは脱炭素に後ろ向きな政治団体や企業スポンサーたちへの配慮があるからだろう。

私は現在、ある危機管理ポータルに気候危機の啓発を目的とした連載記事を書いているが、読者の反応は高いとは言えず苦戦を強いられている。文章に説得力がないとか、正確性を欠くとか、語り手の私が気候変動の専門家ではないからというのがその根本的な理由ならば、諦めもしよう。

が、どうもそうではない。仮にこのような記事を世界的気象学者の一人である江守正多氏や、気候変動研究の第一人者である三重大学の立花義裕教授が書いたらアクセスが伸びて人気を博すだろうか?

残念ながら、そういう状況ではないように思われる。読者やユーザーがほとんど関心を示さないのだ。そしてその原因を作っているのがマスメディアだ。たとえ死ぬほど大雨が降っても、干ばつで農作物が被害を受けても、40℃近い猛暑になっても、ニュースも気象解説も「たまたま起こったこと」「来年は今年よりも良くなるように祈ろうね」で終わっているからである。

こんな現状だから、私としてはなおさら、(とくに企業活動と気候問題を絡めた)気候啓発記事を書かなくてはならない、と自分を鼓舞したくなる。今現在、予定している気候啓発記事は以下のとおりである。

月刊「食品工場長」:8月号では環境特集(タイトルは未定)として、気候危機が一次産業(農林水産業)と食品製造業に及ぼすリスク、そしてそのリスク低減策と適応策の方向性を探る記事を予定。

月刊「電気計算」:9月号より「未来のキャンバス」と題する気候問題の啓発ストーリーの連載を開始。キコー博士と社会人のよしお君、同僚のすみれさんの3人による対話形式の記事。

リスク対策.COM現在「気候とビジネスのリスク・シナリオ」の第一部「私たちは今、どこにいるのか?」を連載しているが、9月より第二部「最悪のシナリオ」が始まる。大気中の二酸化炭素がこのまま増え続け、地球平均気温の上昇が1.5℃を越えてしまった社会、依然として化石燃料に頼り続け、過剰な生産と消費を繰り返す社会の様相を、企業への影響の視点で描く。

以上


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