見出し画像

かっこ悪いわたしの生活


大好きな夏が終わろうとしている。前回のnoteの更新は5ヶ月も前だ。結局仕事を3ヶ月も続けられなかった自分への絶望。目的地を失って、道がみえなくなって、自分がさらに嫌になった。

きっとあのままひとりで生活していたら、今頃おかしくなっていたと思う。


翌月、恋人との同棲が決まった。慌ただしく物件探しと引越し準備をして、1ヶ月後に引っ越しをした。引っ越してすぐは体調を優先して家事に専念しながらの生活。

それからしばらく経って、「そろそろ仕事探してみたら?」恋人の一言で仕事を探すことを決意した。ただ、資格を使った仕事は続けられる自信がなかった。

だったらと、ずっとやりたかった別業界の仕事に応募してみた。結果は、無残に散った。それから翌日後に来る面接が怖くなって、逃げてしまった。


その次にやりたかった仕事を受けて、案外あっさり受かった。そして始めた仕事は思いのほか楽しかった。いままで感じてきたプレッシャーがない。いい意味で気が抜ける時間がある。社会復帰にはちょうといい環境だった。

目まぐるしく環境が変化するなか、なぜだか大きく体調を崩すことがなかった。ただ日々を淡々と、過ごしていた。


これまで、富士山のように高い目標に向かって走ることが一番「かっこいい」と思っていた。なにもない土に芽を生やす人にこそ価値があると思っていた。だから表現をしてきたし、文章を書き続けてきた。

でもこの5ヶ月間は、文章が一切書けなかった。自分を省みる日記も書かなかった。自己分析なんてしなかった。過去を振り返る時間も作らなかった。自己発信をやめた。

もちろんいろんな要因はあれど、体調がよかったのはこれらの理由もあるんじゃないか、と思っている。文章を書くことも自分を省みることも決して悪いことではない。ただ環境が目まぐるしく変わるこのタイミングで自分と向き合っていたならば、悩む時間が増え荒波にのまれていたと思う。深みに入ったらなかなか抜け出せないわたしは、この環境が大きく変化した今のタイミングに日々を淡々と生きるような方法を選択して正解だった。


わたしはずっと、自分の手で空間をつくりたいと願ってきた。それはたとえばカフェやゲストハウスのような、人が「ただいま」「おかえり」を行き交わせる場所。それは大きな価値をもつ場所であることは間違いない。

だけれど、自分を取り巻く環境が大きく変わった今、その願いとはすこし距離が遠くなった。少なくとも「今」叶えたい夢ではなくなった。今は、「わたし」がすこしでも楽に心身ともに健康的な毎日を過ごすこと、それこそが最上の目標になった。ゆるやかに長く続けることがいちばんやりたいことになっていた。


***

わたしが喋って、目の前の人が笑って、わたしも笑う。

一見あたりまえのことが、こんなに幸せなんだね。こんなに毎日が楽しいのはいつぶりだろうか。一度も嫌だなと思ったことがないのはいつぶりだろうか。この場所でこれからを過ごすことが、こんなにも楽しみだ。「長く続けてね」の声がプレッシャーに感じず、自分から「そのつもりです」と自然に答えている。こんなに嬉しいことってあるんだね。

わたしという人間を受け入れてもらったみたいで、ここにいていいんだよと言ってもらったみたいで、自意識過剰かもしれないけれど、胸が熱くなる。「資格をもっているならその仕事をずっと続けるべき」って暗黙のルールに縛られていたならば、絶対に出会えなかった環境。まっすぐに目と目をあわせて会話ができる喜び、ありがとうと言われることの感動、そのひとつひとつがわたしにとって大きな価値のあることだった。

以前のわたしからみたら、高い目標もなくただ淡々と、自分を振り返らずに生きている今のわたしを「かっこ悪い」とジャッジしていたと思う。でも「かっこ悪い」今のわたしが、案外すきだ。それでもいいじゃん、生きているんだもの。すこしずつ前進していることを実感しながら、周りの人たちに助けられながら、ここに立っているんだもの。



***

人と生活するというのは、思ったよりもいいものだ。ひとり暮らしのときは「自分のため」にする食事や家事がとても億劫で、生活リズムが崩れに崩れまくっていた。部屋は散らかるしゴミは溜まっていく。丁寧な暮らしとは程遠かった。

今は恋人との同棲やシェアハウスでの共同生活を経て、「人と暮らす」ことの楽しさを実感した。家事も食事も、毎日の生活にすくなからず「だれかのため」が加わる。ドライヤーをした後の洗面台をきれいにすることや、暇なときにリビングの床にクイックルワイパーをかけることが、同じ生活をするだれかのためになる。美しい家を保つことが、美しい生活を守ることに繋がる。

人との暮らしはもちろん難しいこともある。

でもそれ以上に、美しい。
暮らしの共有は、思っていた何倍も、美しかった。


そんなこんなで今日も変わらず生きています。すこし距離を置いていたnoteだけれど、やっぱり文章を書くというのはいいものですね。久々にこうしてあなたと文章を通して会えてよかった。またね。


アズ


この記事が参加している募集

noteでよかったこと

スキしてみて

「温かで穏やかな光を見失わず、貴方が生きていけますように。」 そんな気持ちでnoteを届けています。 気に入ってもらえたら【スキ】【フォロー】 さらに【サポート】で応援して頂けるととっても光栄です。