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【読書関連記事】

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私がこれまでに、書きました読書関連記事のまとめとなっております。
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#文芸評論

『虚無と結実』-愉楽の批評理論-

『虚無と結実』-愉楽の批評理論-

-はじめに-
度々、何故私は文章を書くのかということについて考えることがあります。

ですが、なんらかの形で言葉を通して想いの先に誰かの心に伝える為だからだと私は自分に言い聞かせながらこれまで書いてきました。

そうした強い思いがあるから、だからこそ、書き続けていられているんだなと、そう思い『虚無と結実』という作品で現代の前衛小説を題材にひとつの作品=文芸批評をここに記しました。

■1.テクスト

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【評論】『銀河鉄道の夜』宮沢賢治

【評論】『銀河鉄道の夜』宮沢賢治

ー本当の幸いをめぐる、ジョバンニを通してー

本当の幸せって、なんだろう?
これまで、幸せってなに?ずっと、疑問ばかりが浮かんでいた。
本書を読み、悲しくも、切ない、本当の幸せの意味を見つけました。
『銀河鉄道の夜』の物語の序盤は、何気ない学校の授業風景から始まる。
先生は、星座の図にある白くけぶった銀河帯のところを指して、教室の生徒たちに問い掛ける。
これはなんでしょう?と。
ジョバンニは答えは

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【評論】『蜘蛛の糸』芥川龍之介

【評論】『蜘蛛の糸』芥川龍之介

ー極楽と地獄の象徴性における論考ー

極楽の蓮池のふちを独り、歩き回るお釈迦様の様子からこの物語は始まります。作中で、描写される蓮の花というものは、神聖なのものの象徴として捉えられています。
すなわち、蓮池という場所は神が存在する神聖な領域として意味的理解ができると考えられます。お釈迦様は、水の面を覆っている蓮の葉の間から、地獄の様子を窺うところが描かれています。
つまり、ここでは蓮池のある世界か

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