見出し画像

【座右の銘を教えてください】「人はみんな幸せになろうとしてる」(27歳・スーパー店員)

【本企画の趣旨について】
この企画は、私、あじしおが、見ず知らずの人にインタビューをし、その人の人生を根掘り葉掘り聞きながら、「座右の銘」を教えてもらうというものです。

「人はみんな幸せになろうとしてる」(27歳・スーパー店員)

以下「あ」=あじしお(インタビュアー)

あ:今日は、あいにくの雨の中お時間作って頂いてありがとうございます。
さっきから電話が鳴り止まないようですが、誰からですか?

こちらこそよろしくお願いします。職場のアルバイトさんからです。
今日急に体調崩したからシフト出れないって。まあ、よくあることですよ。僕今日休みなんですけど、このあと出ないといけないことになりました。ははは。

あ:それは大変なときにすみません。せっかくなので、短い時間の中でたくさん聞いていこうかと思います。まずは、現在のご職業を教えて貰っていいですか?

スーパーの店員をやっています。一応、正社員です。

あ:具体的な仕事の内容を教えてください。

スーパーの中で、ドライ部門というのがあるのですが、僕はそこの担当で、主に品出しをしています。

あ:ドライ部門?ということは他にも色々と部門があるんですか?

ドライっていうのは、比較的賞味期限の長いお菓子とか、調味料とかの商品を扱う部門ですね。それ以外にも、鮮魚、生肉、惣菜とか、一つのスーパーに7、8部門くらいあるのが一般的かな。

あ:なるほど、スーパーの中にも色々と部門があるんですね。スーパーに勤めて何年目になるんですか?

4年目ですね。大卒で入社しました。まあ、実は大学の前に1年間工場員として働いていたんですけど。

あ:大学入学前に工場員ですか。それはそれで興味がありますのでまた後で聞かせてください。ところで就職活動当時、スーパー店員ってやりたい仕事だったんですか?

いえ、そんなことないですね全然。就職活動の時に、何するかなーとフラフラしていたら、友達の親にスーパー業界のお偉いさんがいたんです。何もやることないなら、ここのスーパー業績良いから給料良いぞ、行け。って言われて。で、入社したのが今のスーパーです。

あ:友達の父親のおすすめとはなかなか珍しいパターンですね。で、結局お給料は良かったのですか?

金は良い方だと思います。同年代と比べても引けを取らないと思いますよ。
これは僕自身びっくりしていますね。
スーパー店員てこんなに貰えるんだって。

あ:確かに失礼ながらですが、スーパー店員てあまりお給料が高いイメージがありませんでした。お金の面でいうと想像していたのとギャップがないようでしたが、実際の勤務内容はいかがでしたか。スーパー店員の面白さとかってありますか?

この時期にこの商品が売れるっていうのを読んで、その商品を多く発注をかけて上手くはまると面白いですね。最近で言うとコロナで米がスーパーから消えたのって覚えてますか?あの時とかは、事前に無くなりそうっていう感覚があって。通常時の5倍くらい発注しました。

上司からは「頭おかしくなったのか?」と心配されましたが、結果として地域で唯一米が切れていないスーパーになりましたね。

あ:なるほど、スーパー店員には、世の中を読むスキルも必要なんですね。それは思いもしなかった。話は変わりますが、スーパー店員をやっていて辛いことってありますか。

人付き合いですかね。

あ:具体的にいうと?

社員の立場として、アルバイト・パートさんに仕事をやって貰うことがとにかく多いんです。そういうときに、例えば、少しだけ怒ってやらせるとか、
褒めて乗せてやらせるとか、そういう判断は難しいですし神経を使いますよね。

あ:なるほど。怒り・褒めるを使い分ける気苦労ですか。
その使い分けの基準ってあったりするんですか。

話してみたり、人柄を総合的に見て「どっちが響くか」っていうのは丁寧に見ます。怒ることは場合によっては必ずしもネガティブではないというのが持論です。その場所、タイミング、その人への響き方のベストを重視します。

あ:面白いですね。割と順風満帆なスーパー店員生活に思えますが、これまでに何かつまづきはあったのですか。

2年目くらいのときに、当時の店長とそりが合わなくて。
そのときは毎日辞めようと思っていましたね。

あ:そりが合わないというのは?

労働時間を縛られてしまったんですよ。あり得ない量の仕事があったのですが、残業NGで全て時間内に終わらせろと。で、結局終わらないんですけど、終わっていなかったらグチグチと詰められるんです。

その状況が1年くらいは続きました。半分精神崩壊していましたね。

あ:どうやって抜け出したんですか。

そんな状況でもずっと頑張ってはいたんですけど、それを、別部署の上司がずっと見てくれていたんです。その人が上手いこと物事を整理してくれたんですよ。

その人のおかげで今の自分があるので感謝しかないですね。

あ:頑張りは報われますね・・・・。
では、一つ時を戻しましょうか。大学時代はどんな学生でした?

真面目ではなかったですね。主にサークル活動と、パチンコ・パチスロをしてました。

あ:典型的なダメな大学生ですね。笑

金が無くて泣いたこともあります。あるとき本当にお金が無くて、親から2000円だけ貰ったんですよ。で、それで大学に行って昼ごはんとか買わないといけないのに、そのままパチンコ屋に行ってしまって。「ジャグラー」というパチスロにはまっていたのですが、10分で2000円がすぐ無くなりました。家に帰ってベットに寝転んで天井を見ていると涙が出ましたね。笑
とても情けなくなるんですよ。

あ:僕は全然パチンコ・パチスロをやらないのですが、何が面白いんですか?

「金が増える」って感覚ですね。

あとは「演出」というのがあって、大当たりの前に、前兆として台が光ったりするんです。それがレインボーに光ったり、「激アツ」っていうのがあったりして。そういうのを見ると、脳から熱い汁が出てました。完全に中毒でしたね。

あ:脳から熱い汁はやばいかもしれませんね。
今振り返って、なぜそんなにもパチンコ・パチスロに熱狂していたんだと思いますか?

たぶん金が無いからこそ楽しかったんだと思います。金が無いのにやっているというスリルがあって、その状況が面白いみたいな。ある程度金が出来た今やっても、あまり熱狂出来ないですもんね。

あ:このままだと、大学時代はパチンコの話だけになってしまいます。
何か打ち込んでいたものとか、目指していたものとかってありましたか?

いや、無かったですね。さっきも言いましたけど、一回、工場に就職してからの大学進学だったので、とりあえず遊ぼうと思いました。「人生の自由時間」みたいなものが欲しくて。

将来こうなる、というよりも、大学期間の中で何か引っかかるものがあって、それを目指す形になれば良いかなあって漠然と思っていました。やりたいことがないから大学にいくというスタンスですね。まあ、結局大学時代にやりたいことは見つからなかったのですが。

あ:なるほど。では、先ほどから出ている大学入学前に一回就職した話を教えてださい。具体的にどういうことなのですか。

高校を卒業するときに、どうしようかなって思って。当時、大学は何か学びたいことがある人が行く場所と思っていて、自分は特に学びたいこともなかったので、就職することにしました。

あ:どういったところに就職するのですか。

車の製造工場です。

あ:どうでしたか?いきなり高校生から工場員になるのは。

最初の方は良かったですね。同年代と比べたら、ある程度まとまったお金も貰えるので。でも、仕事を初めて数ヶ月経った頃に嫌になってきました。

工場の仕事って、機械の延長みたいな感じなんですよね。

あ:機械の延長というのは?

考えてやる。っていうのではなくて、覚えたものを淡々とこなすみたいな。
どんな仕事でもそうだとは思うんですけど、俺じゃなくてもいいよねこれみたいな。

「代わりのいる仕事」だなっていうのを強く感じて、不安になりました。

で、半年くらい経ったときに、あと40年この仕事をやり続けても、今すぐ死んでも、どっちも変わらないなとふと思ったんです。

あ:「40年間続けても、今死んでも変わらない」強烈です・・・・。

そこから、とにかく何でもいいから、現状を変えたいと強く思うようになって。それで大学への進学を決めました。

あ:人生を変えようとしましたね。でも、勉強はどうしたんですか。元々出来る方だったんですか。

いえ、全然ダメです。偏差値45くらいの高校で下から数えた方が早かったので。なので、そこからが大変でした。

朝9時から18時まで工場で働いて、19時くらいから深夜2時くらいまではずっと勉強です。一日に2本くらいレッドブルを飲んでましたよ。

それが半年くらい続いて、いわゆる「大東亜帝国」のどこかに入学することができました。

あ:人生変えましたね。当時は18、19くらいですか? よく働きながらそんな努力が出来ましたね。辛くはなかったんですか。

辛かったんですけど、とにかく工場から抜け出したい気持ちが強くて。抜け出せる理由が大学進学であるならば、死ぬ気で頑張れましたね。

あ:素晴らしい。どんな環境でもやりたいことは叶えられる気がしてきました。工場から大学へ行った経験は人には無い経験だと思うのですが、その経験から何か自分の人生にプラスになっているものはありますか?

考えるときの基準として「面白い方をやろう」ということは、それ以降大事にしています。

生活していると、常に、悩みとか、不安とか、判断を求められる瞬間ってたくさんあると思うんですけど、そういったときは必ず「自分が面白いと感じる方」を選ぶようになったと思います。

元々冒険するような性格ではないですし、工場員から大学生になったという経験で後発的に変わった性格だと思います。

あ:「おもしろい方をやる」は、いい判断基準ですね。ところで、どんな子供時代を送っていたのでしょう。まずはどんなご家庭だったんですか?

周りと比べると良くない両親でした。

あ:良くない両親とは?笑

パチンコ・パチスロをよくやっていた両親でしたね。

あ:パチンコ・パチスロのルーツはここにあったんですね。笑 本日のキーワードは「パチンコ・パチスロ」です。

昔よく話題になった、親がパチンコやっている間に駐車場に放置される子供っていたじゃないですか?あれをされた記憶が残っています。パチンコ屋の駐車場で兄弟と遊んでいた記憶もありますね。

あ:このままだとまたパチンコ・パチスロの話になってしまいそうです。
明るい未来のことに話を変えましょう。
近い将来でこうなっていたいというビジョンはあったりしますか?

夢ってほどではないですけど、今、会社の中で注目されている方だと思ってます。今がチャンスだと思うので踏ん張り時かなって思いますね。
今頑張れば、将来良いポジションにつけるかなって。

あ:この話だけ聞くと、ものすごく、大人っぽく真面目に思えます。世の中の同年代のサラリーマンってもっと適当というか。その真面目さの根源はなんなんですか。

期待を裏切りたく無い、というのはありますかね。さっきも言いましたけど、職場でどうしようもないときに助けてくれた上司とか仲間に良く思われたいっていう一心ですね。夢っていう大層なものは無いけど、今与えられている仕事を精一杯頑張っていきたいです。

あ:人の御恩がモチベーションになっているということですかね。質問は変わりますが、いま不安に感じることはありますか?

一生この会社でいいのかっていうのはありますね。「やりたいことが無い」のが不安。世間を見ればYouTuberであったりとか、やりたいことで生きていく人がいる中で、自分はやりたいことがない。それが一番不安ですね。不安というか、これでいいのかなぁって感覚に近いかな。今は今で幸せなんですけど、何かもっと面白いことがあるんじゃないかなって。

あ:「面白い方を選ぶ」ってやつに繋がってきますね。

そうですね。何か面白い選択肢が現れればそちらに行く準備というか、心構えはあると思っています。

あ:きっと面白いことがいつか現れて、それを選択できると思います。

あ:さて、最後に聞きたいことがあります。この企画の本題でもあるんですが、座右の銘を聞きたいんです。座右の銘はなんですか?生きていく上で大事にしている信念というか。

うーん。「人はみんな幸せになろうとしてる」ですかね。

あ:どういう意味合いでしょうか。

自分って、不幸顔をしているんですよね。そういった雰囲気も出ているかもしれません。それが原因で結構、他人から怒られたり、勘違いされることが多かったんですよ。真面目にやってるのか?とか、もっと楽しそうにやれよとか。

俺からしたらそれは違うって。俺は俺なりに真面目にやっているし、幸せになろうとしているんですね。

そういう勘違いを受ける経験をしてきたからこそ、つまんなそうにしている人でも、世の中みんな幸せになりたくて生きてるっていうのは確信が持てます。

あ:なるほど。幸せになろうとしていない人はいないと?

はい。そう考えておくと、人生がスッと楽になります。他人であったりとか、マイナスな出来事に寛容になれるというか。

例えば生きていると、人に怒られたりしますよね?そのときに、この人はこの人なりに、この環境を幸せにするために、俺のためを思って、怒ってくれているのかなとか。

他にも、ミスをしてしまった人がいたら、悪意でわざとミスした訳ではないよな。この人なりに頑張った上でのミスだよなとか。

そんな風にいつも考えてます。

マイナスな出来事が起きても、その背景を考えると一見マイナスな出来事が、マイナスで終わらないんですよね。

あ:なんか「人にやさしく」出来そうです。

中には根っこから悪い人もいると思うんですけど、それはほんの一握りだと思うんです。

全ての物事は、基本的に善意で出来ていると思っていますね。そう思うと、意外と人生は幸せに包まれていると感じますし、他人を愛せると思います。


この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?