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母性

「母性」

「あぁ、そう言えば。このタイトルに惹かれて読みたいと本屋さんで思ってたんだ」
読書をしながら、本屋さんでの光景を思い出しました。
私は母親と確執があることもあって、「母」「母娘」という言葉にとても弱いです。
それが書かれた本がフィクションだったとしても、私が見つけられなかった答えが書かれているんじゃないかと、勝手に思ってしまうのです。
でもなかなか、買う、までには至りませんでした。

「母性」映画化

この本を買ったのは2022年6月。
「母性」が映画化されることを知りました。
ドラマ「ハコヅメ」でペア役だった戸田恵梨香ちゃんと永野芽郁ちゃんが、今度は親子役で出演ということを知り、いよいよ原作を読んでみようと思い、買うことができたのです。

しかし買ったはいいものの、今度はなかなか読むに至らない(笑)
それが半年して読もうという気持ちになったのは、「読み終わったら貸して!」と職場の人に言われたからでした。
そう言われたら、早々に読まないわけにはいきません。

私はその日の晩すぐに、読むことにしました。
「なんでもっと早く読まなかったんだろ~~~」
そう思いました。
だって、面白い!!
ページを捲る手が止まらない!!

私は本を読むのがとても遅いです。
そんな私でもどんどんと進んでいく。
最後まで読んでしまいたい気持ちはあったけど、眠気に負けて仕方なく、途中でページ閉じることにしました。
そして翌晩、貪るように続きを読みました。

視点

母の視点、娘の視点によって、こんなにも事実が異なるものなのか。
私の母と私もきっと、そうだったのかもしれない。
母にしかわからないことがあったのかもしれない。
そして私にしかわからないことも。
そのすり合わせができなかったから、確執が生まれた。
でもきっとそれは、母娘だからというのではなく、別々の人間なのだから仕方ないことなのだ。
でも世の中には、うまくいっている母娘もいる。
母と私には何が足りなかったのか。
いや。
「それぞれの自我が強過ぎたんだ」としか思えない。

それにしても、親というのは何故、自分が受けた愛情をそれが正解だと子どもに無理強いするのか。
また逆に、自分が受けられなかった愛情を与えることで満たそうとするのか。
そして子どもは、褒められたい認められたいと、何故こんなにいつも母親の愛情に飢えているのか。

これは作中の話だけではない。
だから、「母娘関係に難あり」の人には、この作品の中に響く言葉がたくさんあると思う。

私はもう二度と母と会うことはない。
だけど、今もなお、母を恨んでいる。
でもそれも、母にも母だけの視点があったのだと思うと、少し広い心を持てるようになった。

母の欠片

自分で言うのも何だが、私はどこに出ても恥ずかしくない大人になった。人に愛情をもって接することができる大人になった。
それも母が必要と思って私に刷り込んだものなのだと思ったら、母の愛情を否定する気持ちも少し薄れた。
そのおかげで私は今とても人に恵まれているからだ。
ただ、自分の中に母の欠片があるかと思うと不気味で仕方ない。

だけど、私はこれからも、母の欠片をもって生きていかなければいけない。

ただし、その欠片もここで終わり。
私には子どもがいないから、これ以上欠片が繋がれていくことはない。
「それでやっぱりよかったんだ」とこの作品を読んで改めて思った。

母は、本来受けるべき愛情を注がれずに育った(と思っているが、きっと祖母はそんなことは思ってなかったはず)。
私もまた、愛情を注がれずに育った(と思っているが、きっと母はそんなことを思ってなかったはず)。

この愛の枯渇感、飢餓感もまた、代々繋がれてきた欠片。

こんな欠片は誰も幸せにはできない。
だから私で終わらせたいと本能的に思っていたんだ。

あとがき

「母性」を読み終えてすぐ、この文章の下書きを書いたので、いつもとは違った文章テイストになりました(笑)
色々と考えるところ思うところ、学びもあったけれど、全体的に見ても、とても面白い作品でした。
冒頭の方にも書きましたが、本を読むのが遅い私でも、あっという間に読めた作品です。
フィクション、ミステリ小説ですが、「母娘関係に難あり」の人には、新しい発見があると思います。

「母性」は2022年11月23日に公開されました。
大体どの映画も1ヶ月ぐらいが目安なので、きっと今はどこの映画館でも上映はされていないと思います。
ただ、最近はすぐにAmazonプライムで見ることができます。
有難いです。
早く公開にならないかなと心待ちにしています。


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