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ショートショート『ロマンチックな夜に』

ショートショート『ロマンチックな夜に』

星が降ってきそうな美しい夜に最愛の彼とデート。なんてステキな日なのだろうか。

ロマンチックな彼にデートに連れてきてもらった美しい夜景が見られる場所。それもネットや本ですぐに見つかるような場所じゃない。天体観測が好きな彼しか知らなかったであろう秘密の場所。

でも今日からは私も知ってる2人の秘密の場所。

大学時代に天体観測サークルに加入していた彼は私の知らない星の話をたくさんしてくれた。私は星の

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ショートショート『寝過ごし喫茶店』

ショートショート『寝過ごし喫茶店』

「調子はどうですか?」
目の前に座っている見ず知らずの老人が、ポカンとしている私を見て、もう一度声をかけてくる。
「ど、う、で、す、調子は?」
先程よりもゆっくりと、はっきりと。
「はぁ」
2人掛けのテーブルの正面の席で誰の許可も取らず勝手に相席しだした老人に話しかけられて気の抜けた返事をしてしまう。

「調子はどうですか?」
老人は蓄えている真っ白なヒゲを触りながら3度目の質問をした。
答えるの

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ショートショート『電動案山子』

ショートショート『電動案山子』

「電動案山子?」

やってきたセールスマンの持ってきた商品に、農家をやっている畑田英二は目を丸くした。

一見すると普通の案山子だが、一体どのような商品なのだろうか。

「我がヘンテコ商会で作りました新製品でございます」

和やかな笑みを浮かべて、セールスマンが紹介する。

「なんだか凄そうだけど、どういう機能があるんだ?」

「機能の前にまず注意点から説明させてください」

「ああ、頼む。注意事

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ショートショート『苦戦する勇者一行』

ショートショート『苦戦する勇者一行』

「はあ、はあ……。ヤバいな、もう俺のHPは15しか残っていない……」
「私も……、もう駄目だわ……。あとHPが7よ……」
勇者一行は強敵の前にすでに瀕死だった。もはや勇者もヒロインもすでに戦うための気力は残っていない。

「おい! お前らしっかりしろよ! こんなとこで倒れてる場合じゃねえだろ!」
そんな絶望に陥っている2人を鼓舞しているのがこのパーティーの中で一番弱い格闘家の男だった。日頃はお調子

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ショートショート『吊り橋効果』

ショートショート『吊り橋効果』

ある男が、吊り橋効果といって緊張感や恐怖の伴う場所で一緒になった異性に恋に落ちるという現象があることを恋愛指南本で学んだ。そこで男は吊り橋効果を利用して彼女を作ろうと考えた。
 
作戦を実行するために効果を発しそうな場所で待機をする。
「あの……。ちょっと良いですか?」
早速女性から声を掛けられた。
「どうしました?僕のこと好きになりましたか?」
男は胸を高ぶらせる。ついに人生初めての彼女ができる

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ショートショート『苦しい修行の成果』

ショートショート『苦しい修行の成果』

男は苦しい修行を積んだ。

何もない部屋でただひたすらに。

ろくに飲み食いもせず一心不乱にに彼自身の持っている才能を開花させるために。

ひたすらに信じ、1日中精神を集中させて真っ白な壁を見続ける。

必ずできると信じ、彼の人生をかけて透視能力を発現させるために修行を続ける。

そんなある日ついに。

「できた!」

彼は掠れた喉の奥から言葉を振り絞りほとんど音になっていない声で歓喜の叫びをあげ

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ショートショート『UFOを呼ぼう!』

ショートショート『UFOを呼ぼう!』

老人が家の近くを散歩していると河川敷でひたすら両手の上げ下げを繰り返しながらブツブツと何かを呟いている男がいた。

怪しい男が気になった老人は転ばないよう慎重に河川敷までの坂を下り、男に声をかける。

「何をやっとるんですかな?」
「UFOを呼んでるんですよ」

そう答えた男は再び「UFO来い〜」とブツブツ呟きながらまた両手の上げ下げを再開する。

「UFOなんて来るわけないでしょ」
老人は男を小

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ショートショート『私たちの好きな人』(599文字)

ショートショート『私たちの好きな人』(599文字)

私と莉里は同じ日に生まれた。

同じ日に生まれ、同じように愛され、同じものを集め、同じものを愛でてきた。

だから私たちの好きな人の好みが一致することは何も不思議なことではない。

私は知っている。

莉里はきっと私と同じで俊人くんのことが好きなことを。

そしてきっと莉里も私が俊人くんのことが好きなことを知っている。

だから私は今日俊人くんに告白して付き合うことになったことを莉里に知らせるの

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ショートショート『安全な街』(286文字)

ショートショート『安全な街』(286文字)

友人と道を歩いていると、またパトカーが通り過ぎて行った。最近よくパトカーを見かける。
「なんか最近パトカーがよく通るよな?何か事件でもあったのか?」
友人に尋ねてみる。

「この近辺で連続して爆弾が仕掛けられたんだってさ」
「治安の良い街だと思ってたのに怖えな。怖えから引っ越すわ」
俺の言葉を冗談だと思ったようで、友人が笑った。

☆☆☆☆☆☆☆

まったく勘弁してほしい。こんなにパトカーがたくさ

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ショートショート『5分差』(541文字)

ショートショート『5分差』(541文字)

「それじゃあ今から昨日の陸上競技大会の反省会を行うぞ」
集まった部員たちを前に、顧問の先生が話し出した。

「まず佐藤、お前はよく頑張った。1位を取った子との差は5分だが、マラソンで1位まで5分というのはよく頑張ったと思うぞ」
「ありがとうございます!」と佐藤は元気よく返事をした。

佐藤のことを話し終えて顧問の先生が次の子に移ろうとしたとき、野崎が横から口を挟んだ。
「先生、俺は日本記録まであと

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