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SmartHR導入の社内資料をまるっと公開します②~システム設定編~

前回以上にプロジェクト資料をまるっと公開します!
本記事で実際に作った「業務一覧」「システム構成図」「項目設計書」の実物画像をお見せします。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの人事をやっている渡辺です。
この記事は全4回の記事の2回目です。前回の記事はこちら

ケンブリッジでは2021年5月に人事・労務ソフト「SmartHR」を導入する予定です。クライアントに対してではなく、自社向けです。
この記事を書いている時点ではまだリリースしていません。ですが、今後SmartHRを導入する予定の人、あるいは導入を検討している人の参考になればと思い、SmartHR導入検討の社内資料をまるっと公開します。

前回はSmartHRに決めるまでのプロセスを書きました。今回は、実際にSmartHRを設定・導入していくプロセスです。

【全体の構成】
1回目:プロジェクトゴールとシステム選定
2回目:SmartHR導入のプロセス ←今回はココ
3回目:SmartHRの導入テンプレートの公開
4回目:SmartHRを導入して1年。メリットや懸念を書きました。

サクッと使えるSaaSだからこそ陥る「落とし穴」がある

SmartHRをはじめとしたSaaSは、インフラ環境の設定やインストール作業がなく、サクッと使い始められる点が魅力です。
私たちもSmartHRに決める前からトライアル環境を使わせてもらい、UI/UXやデータ構造を直感的に理解できました。

一方で、サクッと使えるからこそ陥る”落とし穴”があります。

1)システムを中心に、業務・データの流れを設計し直す

【人事SaaS導入のあるあるケース】
・サクッと使い始められるがゆえに、人事部門のみが人事システムを小さく使い始める。
・現場の巻き込みが不十分なため、人事システム外からの申請や手作業が生き残ってしまい、効率化につながらない
・他のシステムには社員マスタがそれぞれ残り、システム間で社員マスタの不一致、更新漏れが生じている。

今回のケンブリッジの導入では、業務・データの両面で、SmartHRを中心としたプロセスを設計しました。

ToBe業務一覧

ToBe業務一覧です。SmartHR導入後、誰がどのシステムを使って何の業務をするかを記述しています。

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特に入社・退社は、内定者本人・人事・総務・社内IT・アウトソース先のパートナー会社など、様々なプレイヤーが社員マスタに情報を加えていくシーンです。
業務プロセスを網羅的に洗い出したうえで、SmartHRを中心に、誰が・いつ・何の情報を入出力するかを検証しながら練り上げていきました。

フローチャート形式でもいいのですが、修正・更新の手間を考えると、このような表形式で書く方が吉です(このあたりのコツはケンブリッジのYouTubeチャンネルでも公開しています)。

ちなみにこのToBe業務一覧は、テストシナリオや業務マニュアルのインプットとしても使えます。

ToBeシステム構成図

ToBeシステム構成図です。

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様々なシステムで必要になる「社員一覧」はSmartHRの情報を正として、APIやCSVで連携するように設計しています。端的に言えば「SmartHRがあって初めてデータ連携が成り立つ状態」をつくり、きちんとSmartHRが実運用で使われる状態を目指しています。

SmartHRはそれ単体ではなく、様々なシステムとマスタ連携してさらにその強みを発揮します。APIでのデータ取得が容易な点もSmartHRを選定した理由のひとつです。

2)キッチリ設計書をつくり、一気に設定する

【人事SaaS導入のあるあるケース】
・サクッと使い始められるがゆえに、必要そうなカスタム項目をとりあえず設定してみる。
・そのうち、何に使っているのか分からない項目、似たような名前の項目が出始め、権限設定も一貫性のない状態になってしまう

結論から言うと現時点でのSmartHR導入のキモは、「SaaSと言えども設計書をキッチリ作る。その後、環境をリセットして一気に設定する」というプロセスです。

まず、SmartHRにはテスト環境がありません(2021年3月時点)。いきなり本番環境です。
徒然なるままに項目設計を始めてしまうと「項目名を設定しようとしたら、過去に作ったゴミ項目と競合して・・」のような困りごとが起きかねません。

そのため、今回のケンブリッジでのSmartHR導入は、次のようなアプローチをとりました。

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②の環境リセットという手段を通じて、疑似的にテスト環境と本番環境をつくるイメージです。ちなみに、環境リセットはユーザ操作ではできません。SmartHRの担当営業の方にお願いしてやってもらいました。

項目設計書

実際に①で作った項目設計書がこちらです。

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標準・カスタム項目の一つひとつについて、ヒント・データ型・権限・移行データの情報を記述しています。

SmartHRを導入するうえで、最低限これだけは作るべし!というドキュメントを挙げるならば、この項目設計書です。

今回の導入は「業務プロセス設計」「SmartHRのシステム設定」「データ移行」の3つを並行して推進。この項目設計書を共通認識としていたからこそ、3つのタスクが矛盾なく並行作業で進められたと言えます。

ドキュメントにこだわるケンブリッジ

ここから先はご参考です。
今回の導入では「ToBe業務一覧・ToBeシステム構成図・項目設計」の他にも、以下のようなドキュメントを作っています。

■業務・項目マッピング
■文書配付一覧
■ワークフロー一覧
■フィルタ一覧
■業務委託一覧
■テストシナリオ
■テストケース
■移行手順書
など

正直に言えば、普通にSmartHRを導入する場合、ここまでドキュメントを作りこむ必要はないと思います。

ケンブリッジがここまでドキュメントにこだわったのは理由があります。今回のSmartHR導入プロジェクトが新卒のコンサルタント育成の側面もあったからです。
大企業向けのERPと比べると規模も領域も小さいのですが、システム導入のイロハを習得する意味も込めて、プロセスをしっかり練り上げてドキュメントをつくりました。

日・米・台の3か国に住むメンバーが、時差を乗り越え、フルオンラインで頑張っています。プロジェクトメンバーの皆さん、本当にありがとう!(まだ終わってないけど・・)

項目設計書のテンプレート欲しい人います?

ところで。
今、プロジェクトメンバーと「この項目設計書って、これからSmartHRを導入する会社の人にも有益なのでは?」という会話をしています。

ケンブリッジ独自の要素を抜いて、他の会社でも使えそうなExcel形式の「項目設計書テンプレート」に仕立て上げ、これからSmartHRを導入したいとお考えの皆さんに無償でお配りできないか、現在検討中です。

「この記事が参考になったよ」「項目設計書テンプレート、楽しみ」という方は、「スキ!」を押していただけると私やプロジェクトメンバーのモチベーションがあがりますので、ぜひお願いします。

(後日追記)

「項目設計書テンプレート」、無事に完成しました。こちらのリンクからご覧ください。
SmartHR導入のプロセスをまるっと公開します③導入テンプレート公開

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