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SmartHRを導入して1年。メリットや懸念を書きました。

こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。

こちらのnoteに以前書いたとおり、2021年の春にSmartHRを導入しました。

導入してからおよそ1年が経過して、SmartHRの設定やそれを使った業務プロセスもかなり整ってきました。
なので、このタイミングで振り返ってみます。

SmartHRのユーザの皆さん、SmartHR社の中の人とも日々懇意にさせていただいているのですが、提灯記事ではなく率直に感じていることを書きます。

要約

・「人事データはSmartHRがすべて正」というありがたさ
・SmartHRは人事労務と一般社員間の「コミュニケーションツール」である
・経営に資するツールにしたいという志は、道半ば
・データをきれいに保つことが重要になる

前提

・ケンブリッジの社員数は約170人(2022年3月時点)です。
・SmartHRはスタンダードプラン+文書配付のオプションを利用しています。
・給与計算は社労士法人にアウトソースしています。
・SmartHRの機能は、2022年3月時点の情報をもとに書いています。

「人事データはSmartHRがすべて正」というありがたさ

シンプルに言うと「導入してよかった!」。導入以前にやりたかったことがおおよそ実現できています。

2021年7月に、SmartHR社主催のセミナーに導入事例として登壇させてもらいました。
↓はその時のスライドの一部です。

2021年7月にSmartHR社主催セミナーで喋ったときのスライド

このスライドを作ったときから半年以上が経ちましたが、今も同じ感覚を持っています。

一番下に書いている「SmartHR上の情報がすべて正」という状態が、何事にも代えがたいありがたみです。
以前は紙、Word、Excel、PDFに散在していた人事情報が、今はすべてSmartHRに放り込まれている状態。
オペレーション上、紙が生じる場合であってもスキャンしてSmartHRに登録しています。

SmartHRは人事労務と一般社員間の「コミュニケーションツール」である

「SmartHRは人事労務と一般社員間のコミュニケーションツールである」とどなたかが記事に書いているのを目にしました

具体的にどなたが書いていたのか失念したのですが、かなり本質を突いている言葉だと思っています。

人事労務の仕事の難しさは、社員の個人情報に関する流動性・非対称性にあります。
「流動性」は、情報が頻繁に変わるということ。
「非対称性」は、社員本人は知っているが、人事労務担当は知らないという状態が起こりやすいこと。(その逆も然り)

だから一般社員と人事労務担当との間では、「住所が変わったから、住所変更を届け出るよ」「基本給が4月から変わるけど、これで合ってるよね」と逐一認識を合わせ続ける必要があります。

SmartHRは、両者で同じデータを見てやりとりするので、この点においてパワーを発揮しています。
「SmartHRの自分のプロフィール、見てね!」の一言で解決する場面のなんと多いことか。

経営に資するツールにしたいという志は、道半ば

一方で、SmartHRは良くも悪くも「人事労務担当者が喜ぶツール」なんですよね。

ちゃんとアクセス統計をとったわけではないのですが、ケンブリッジ社内でSmartHRへのアクセス頻度は、人事労務担当者が最も多く、次に申請・届出が必要になった一部の一般社員が次に続くのではないかと思います。
つまり、社員全員が日常的にアクセスするツールというわけではありません。

ケンブリッジの経営層も「人事がラクになってよかった」とは感じていますが、SmartHRを導入してよかった!という当事者としての実感は薄いでしょう。
SmartHRを経営に資するツールとして使うには、一般社員から意見収集をしたり、人事データを使って分析・示唆出しをする必要がある。
オプションとして「従業員サーベイ」「分析レポート」といった機能も備わっていますが、私たちはそれらをまだ使っておらず、経営ツールとしては十分に活かせていない認識です。

従業員サーベイも、分析レポートも導入してみたいなーと思っているのですが、まだそれを活用する業務プロセスを描けておらず、検討中のステータスです。

データをきれいに保つことが重要になる

この記事の冒頭で「すべての人事データをSmartHRに放り込む」と書きました。なんでもかんでも放り込むので、SmartHR上の情報ってけっこうグチャグチャするんですよね。
これはSmartHRのデータの持ち方にも起因すると思っています。

一例を挙げると、SmartHRはマスタ項目とトランザクション項目をハッキリと分けないつくりになっています。
↓すごい細かい例なので、興味のない人は読み飛ばしてください。

【マスタとトランザクションが混在する例】
・ケンブリッジ社内では、一般社員が総務に対して名刺の発注を依頼する際にも、SmartHRの申請機能を利用しています。申請では、名刺を必要とする社員自身に「発注枚数」と「受取方法(郵送 or オフィスで受取)」を入力してもらいます。
・この「発注枚数」「受取方法」は従業員情報のカスタム項目としてあらかじめ登録する必要があります。
・SmartHRの管理者画面で従業員情報画面を表示すると、「氏名」「住所」といった項目にならぶ形で「発注枚数」「受取方法」も表示されます。
(2022年3月時点の情報です)

個人的にこの1年間、SmartHR上の情報はできるだけきれいに整えてきたつもりなんですが、それでも「あれ‥?この項目ってなんだっけ・・?」と手が止まる場面に度々遭遇します。

この、「なんでもかんでも放り込める使いやすさ」が、SmartHRを「ケンブリッジの経営に資するツール」とするための足かせになりそうで、自分の中で引っかかりを感じています。

ゆくゆくはケンブリッジの経営に資するツールとして使いこなすことを考えると、もしかしたら今以上にカスタム項目の精査や、データのきれいさにこだわった方がいいのかもしれません。
まだあんまり言語化できていないんですけど・・。


まとめ

・「人事データはSmartHRがすべて正」というありがたさ
・SmartHRは人事労務と一般社員間の「コミュニケーションツール」である
・経営に資するツールにしたいという志は、道半ば
・データをきれいに保つことが重要になる

「SmartHRを入れたいな」と考えている、どこかの人事労務担当の人のためになれば、と思って書きました。
導入プロセスについてのnoteも書いて公開しているので、ご参照ください。


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