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SmartHR導入の社内資料をまるっと公開します①~システム選定編~

SmartHR導入プロジェクトをみんなで頑張っているので、検討資料をまるっと公開することにしました。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの人事をやっている渡辺です。

ケンブリッジでは2021年5月に人事・労務ソフト「SmartHR」を導入する予定です。クライアントに対してではなく、自社向けです。
この記事を書いている時点ではまだリリースしていません。ですが、今後SmartHRを導入する予定の人、あるいは導入を検討している人の参考になればと思い、今回はSmartHR導入検討の社内資料をまるっと公開します。

全部で4回に分けてお届けします。

【全体の構成】
1回目:プロジェクトゴールとシステム選定 ←今回はココ
2回目:SmartHR導入のプロセス
3回目:SmartHRの導入テンプレートの公開
4回目:SmartHRを導入して1年。メリットや懸念を書きました。

なお、本記事は2021年3月時点の情報をもとに書いています。今後のSmartHRの機能改修等により情報が変わることがありますのでご注意ください。

前提

・ケンブリッジの社員数は2021年3月で約160人。今後も急拡大はせず、じわじわと規模を拡大する計画がある。
・勤務・給与制度はシンプル。9割近くの社員が裁量労働・みなし残業代制で、手当も必要最低限のものしか存在しない。
・給与計算や社会保険手続きは、業務パートナーにアウトソースしている。

なぜ人事・労務システムを入れ替えるのか?

SmartHRの話に入る前に、なぜ人事・労務システムを導入するのか。

これまでケンブリッジでは10年以上前に内製で作ったAccessファイルで人事情報を管理していました。給与制度がシンプルで、かつこのAccessが丁寧に作りこまれていたため、長く使い込んできました。

しかし、社員数が100名を超えたあたりから、勤務形態が多様になる・法改正に対応しきれない・当時の設計者が退職して仕様がブラックボックス化するなどの環境変化があり、いよいよAccess管理の限界を迎えつつありました。
最後のダメ押しに、Accessファイルを保管しているファイルサーバがサービス終了となり、人事・労務システムの導入に踏み切りました。

プロジェクトゴールに「システム導入の先にある姿」「やらないこと」を言語化せよ

今回の人事・労務システム導入プロジェクトのゴールです。実際のプロジェクト資料そのまんまです。

キラキラした流行りのワードはどこにも書かれていません。至極当たり前のことが書いてあります。でも、地に足のついたゴールとコンセプトで私は好きです。

システム導入ありきでプロジェクトを進めると、「導入過程で判断軸がブレブレ」「導入したはいいが現場で使われない」という状態に陥りがちです。
だから、システム導入の先にある業務の姿をきちんと言語化しました。「本来の人事業務にフォーカスする」という部分がそれにあたります。

"現状の3倍の社員を支える"、"人の手の介入を削減"というキーワードも入れておいてよかった。将来業務プロセスを検討するときに「今、手作業でなんとか回っているからいいか・・」と妥協しそうなところで「いや、今はいいけど300人になったら手作業じゃ無理だ」とプロジェクトゴールが頭をよぎり、改めて考えなおすというシーンが何度もありました。

もう1つ。先ほどの資料の一番下にある、「第2フェーズで社員情報・スタッフィングの見える化に取り組む」という文言も重要です。システム導入の第1フェーズでは社員情報の見える化(タレントマネジメント)はやりません、と明記しています。

特に、全社員が関わる人事システムは妄想が勝手に広がってしまうリスクがあります。「配属情報がリアルタイムで全部見られるようになると思ってた」「あれ?社員情報ってこれだけ?」なんて声が他部署から突然上がる、なんてことありますよね。

今回のプロジェクトゴール検討にあたっては、実現したいこと・解決できたらうれしいことを一度発散。その後、「まずは人事・労務の事務作業削減にフォーカスします。社員情報の見える化はこの先です」と対象範囲を言語化し、経営メンバーと合意しました。

やらないことの言語化は、ちゃぶ台返しを防ぐためにも大事です。

データの流れが一番きれいなSmartHRに決めた

今回のシステム選定対象は15社。そのうち4社には提案依頼書を送付し、より詳しく情報を収集しました。4社はいずれも大企業向けではなく、中規模企業向けのSaaSです。

実際の比較資料がこちら。

(このスライドではシンプルに◎○△×で評価していますが、Excelでもっと精緻にレーティングしています。)

最初の判断ポイントは、給与計算機能の要否でした。SmartHRには給与計算機能がありません。
「前提」にも書いたとおり、ケンブリッジでは給与計算業務は従来からアウトソースしています。そのため給与計算機能は社内に持つ必要がない、と早い段階で判断しました。

システム選定の決め手は、SmartHRのデータの流れが一番きれいだったこと。
SmartHRはボタン操作やバッチ処理で集計・計算機能が走るという仕組みがほとんどありません。その代わり、データの「箱」として入社前から在職中、退職まで一貫性を持って記録できるのが魅力です。

データがちゃんとつながっているので「紙に出力する」「人事が出力して本人に渡す」といった事務作業が介在しない。フルオンラインで業務を完結できる見通しが最も立ったのがSmartHRでした。

その他に、操作しやすいUI、項目の拡張性、費用面でもSmartHRの優位性がありました。

投資対効果分析は定性効果をアピールする

SmartHR導入による投資対効果、気になりますよね。でも、定量効果だけではプラスにならないので、定性効果を前面にアピールすべきだと思います。

プロジェクトゴールで「事務作業の削減」を謳ったものの、実は費用や作業時間の削減効果は大きくありません。

・現状がAccessファイルというお金のかからない仕組みであること
・SmartHRによって「従来の手作業が自動化される」というわけではないこと
・人事・労務担当者も数名であり、影響範囲が大きくないこと
が投資対効果が出ないことの要因です。

そのため、プロジェクト発足当初から定性効果の重要性を経営層にはアピールしていました。

ケンブリッジのケースは特に顕著ですが、定量面でSmartHRの投資対効果が出づらいというのは他の会社にも大いにあり得る話です。
これから経営を説得してSmartHRを導入したい、という人事担当者の方は「コスト削減!」「業務効率化!」という論調で攻めない方が無難かと思います。


「これからSmartHRを導入したい」という人事担当者の方向けに書いてみました。役に立ったよ!という方は「スキ!」を押していただけると励みになります。

第2回はSmartHRを実際に導入するプロセスについて書きます。

(追記)
第2回の記事はこちら


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