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「モネとマティス もうひとつの楽園」

「モネとマティス もうひとつの楽園」
ポーラ美術館


みなさん箱根にあるポーラ美術館って行かれたことありますか?「人気の美術館2020」で1位らしいです。

箱根の温泉大好きマンの私ですが、なぜか今までポーラ美術館には行ったことがなく(彫刻の森美術館も行ったことがない。松坂桃李とデートで行きたい。は?)、近々行きたいなぁと思っていたのですが、もうめっちゃ見たい展示が今やってるじゃないですか…!!というわけで平日の人が少なそうなタイミングでスッと行ってきました。(先月の話)


印象派のモネとモダニズム/フォービスムのマティスの2人が比較されるようなことってあまりない印象ですが、この展覧会では2人とも「俺だけの秘密基地作ったったで」みたいな男のロマンをまじで実現させた点が同じだ…!というところに着目した斬新な展示内容になってて、しかも2人とも空間デザイナーさながらこだわりにこだわりぬいたユートピアを作り出したという点で、まさに「プロップスタイリング沼」×「アート沼」な2人やん、ていうか私やん?と思ったのでフィーチャリングENDOという気持ちで私もこの企画展とコラボしている感じで見て周りました(?)


モネのジヴェルニーの家とマティスの南仏のアトリエでのそれぞれの活動の比較を大きな軸にした構成になってるのですが、今回新たな発見があって大収穫だったのがマティスでした。


モネのとっておきセルフプロデュースお庭で「睡蓮」シリーズを制作した日々については(モネ、私たちのためにまじでありがとな…)という感じで、特に新たな発見があるというわけではなく、箱根の大自然に囲まれたポーラ美術館という素敵な場所で、安定の安らぎオブザイヤーのモネの「睡蓮」の煌めくような色彩で描かれた移ろいゆく水や空や睡蓮や柳の美しさに浸り倒して、全身でENDOを癒されにかかって堪能させていただいたのですが、

マティスの一連の作品は見ていくうちに「あれ、私マティスのことで知らんこと多くない?」ってことに気付いて、新しくマティスの好きな面をたくさん見つけることができました。


マティスと言えばフォービスム時代の「ダンス」や「赤のハーモニー」や晩年の切り絵「ジャズ」がパッと思い浮かぶ人が多いと思いますが、私はなぜかマティスのオダリスクシリーズが大好きなんです。

というか歴代いろんな画家が描いたオダリスクを題材にした絵が異常に好きなのですが、なんでこんなにオダリスク好きなんやろ?って考えてみると、マティスだけじゃなくてアングルやブーシェや他の画家たちもオダリスクを描く時は、女性が横たわっている場所が布や調度品で装飾されたわざと作られた舞台のような空間のものが多くて、そこに自然と惹かれてたんやろなと思いました。

ですが、自粛中にインスタにUPしてた「名画をプロップスタイリング」でマティスのオダリスクシリーズをスタイリングしてみた時に、マティスのオダリスクは他の画家と違ってハッとするような色彩の鮮やかさや豊かさが圧倒的やな…!と気づきました。


あと「オリエンタルさ」の解釈が、忠実にトルコのイスラム文化を表現しているわけではなく、中東の要素をはじめ、アジアやアフリカなどいろんな国の文化がミックスされた世界観で、そのちぐはぐさがより虚構の世界のように見えるのが、ENDO的には魅力的に感じられたんやろなぁと思いました。



今回の企画展ではそんなオダリスクシリーズはもちろん「人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい」というマティスの優しみ溢れる想いが感じられるような戦後の作品を中心に見られるということでとても楽しみにしていたのですが、コロナのせいでお目当てのパリ市立美術館所蔵作品の「トルコの椅子にもたれるオダリスク」が日本に来れなくなってしまったようでその作品は見れませんでした。しょぼん。しょぼぼぼん。



ですが、実際に部屋を装飾していたテキスタイルが見れたり、マティスの描く色がこんな魅力的なのはニースとヴァンス(南仏)の明るくて眩しい光(銀色の光)が彼に強い影響を与えたんだなぁということがわかったり、晩年病気によって切り絵をメインに制作することになってからも「空間を装飾する」「虚構の世界を創り上げる」ことは彼の中でごく自然なことだったようで、切り絵で壁を装飾してたことも知ってグッときたり。


しかも私今回初めて「ジャズ」の20枚を一気に見たのですが、これ並んでるとめちゃくちゃいいですね。なんか子供っぽい印象を勝手に持ってしまっていましたが、めちゃくちゃ洗練されてて強強のデザイン。マティスが旅したモロッコなどの記憶やサーカスや民話、愛や死がモチーフだったりして、マティスの人生を比喩した作品だそうです。おもしろい。めちゃくちゃ好きになったので、この柄の靴下を買いました。かわいいん。


というわけで今回こんなおもしろい視点で2人の画家を見つめることができて、モネもマティスも画業と同じくらい「空間を彩る」ことにこだわりがあって、同時代の19世紀〜20世紀の他の画家のアトリエと比べると、この2人の空間には圧倒的な「好き」が溢れてるなぁと改めて気づくことができました。

モネの庭の水って大好きなセーヌ河から強引に引いてるし、マティスのアトリエは植物園なみに観葉植物だらけで鳥300羽ぐらい飼ってたという2人のギョッとするエピソードは取り上げられてませんでしたが、度を越すぐらいがちょうどいいのだとENDOは思いました。


狂ってそうなダリとピカソも意外とアトリエは制作場所のためって感じの場所だし、ルノワールもマネもセザンヌもいたってごく普通のアトリエだし、ゴッホに至っては病院の1室だったりするし、ブラックやモディリアーニとか共同アトリエだし、そう思うとアトリエや家の空間もこだわったアーティストって意外と少なかったのかな。いろんな画家のアトリエも調べてみたいな。


愛や熱量のある居場所をつくることが、創作にも大きな影響を及ぼす…!!!ということで自分のアトリエが今ぐちゃぐちゃなので、巨匠たちを見習い、きちんと片付けてさらに好きが溢れる空間にしようと思いました。うん、片付ける。明日片付けるぞ…。きっと…明日…か…かたづけるぞ…。。





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