竹刀でホームラン~婚活迷子の16年~⑨
若いころ私が好きになるタイプは「苦労人」が多かった。今思えば一番はまってはいけないタイプをかっこいいと感じてしまう人間だった。
明日のご飯に困った事がなく、身体的にも元気で、何一つ苦労した事ないぬるま湯にいた私にとって、苦労はかっこよくガムシャラに生きている感じが自分には抜けていた部分と魅力に感じてしまっていた。
きっと当時の私は、「彼は今まで大変だったから私が助けないと」とか、「この苦労を乗り越えてこれた人だから私と何があっても一緒に乗り越えられる」とか寝ぼけた事を思っていたと思う。
若い自分にいいたい。生きる世界の違う人と深入りはしないほうがいい。
これに尽きる。
特に過去の苦労で、私がもう絶対に経験出来ない事。
一番わかりやすいのが家庭環境だ。
虐待、借金、親が結婚離婚を繰り返す等、家庭環境によって自分が不登校や問題児になる、警察沙汰になる。
立派な大人になった人はごまんといる。人を否定するのではなく、
私が言いたいのは結局はそれが「ストレス」になってしまうという事だ。
喧嘩になった時、意見が噛み合わない時に、その原因が相手のバックグラウンドにある場合、同情して引くしか決着の方法がない。
相手はいい状況の環境を知らないから、お互いがストレスになる。
家庭環境が悪かったから仕方ない、片親だからな、と、、大人になってもそれを言い訳にしてしまう人と私は何人も出会ってしまったが、
片親だから自分が浮気してしまう。借金してしまう。
家庭環境が悪かったから時間にルーズは全くもって同情が出来ず、
過去の不幸からくる病気だと感じた。
やはり、理解するのは不可能なのだ。
だって、その苦しみを経験してないから
知らない=ストレスが溜まる
ある程度の大人になれば、大小なり辛い経験もして、その経験を元に「これ以上やるともっと沼にはまる(=ストレスが溜まる)」のか
「このように逃げればストレスが溜まらずにうまく解決できる」かがなんとなく人生経験値で分かってくる。
「好き」だけでは解決できない事が特に結婚では山ほどある。
私が人生で一番引きずった恋愛がまさに家庭環境の違いだった。
同じ会社の同期で、仕事の出来やおもしろさに惹かれた。本当に「恋愛してるな」と当時は毎日が楽しかった。
「オヤジが西成出身だからさ・・・」
「オヤジがアル中で、障碍者手帳を持っているから車が安く買えた」
「両親は離婚はしてないが、15年別居して母さんは彼氏と住んでいる」
「その彼氏が最近覚せい剤で捕まった」
今書いているだけでも、まぁまぁなパワーワードだなと思うが、関西出身でもない私には西成の意味もわからず、若いのに車に乗っている事もかっこよかったしと能天気だった。
しかし事件は起こった。彼氏としても紹介しないで実家まで送ってもらった時に彼は少しだけ私の両親とお茶をしてすぐに帰った。
父親がため込むように言った。
「あのこはやめておいたほうがいい」
彼氏なんて一言も言っていない。同僚だといったのに、何の彼の相談もしていないのに父親は急にそんな事を言い出した。
もちのろん、大喧嘩に発展。
42歳の今ならわかる。だけど20代前半の私には何がいけないのかが全くと言っていいほどわからなかった。
そう・・・
「何がいけないかがわからない」
事が一番の問題なのだ。
沼と思って沼に入るのと、ぬかるんだ土と思ったら沼だったでは全然違うのだ。
「沼」を見た事ないなら余計にパニックになる。
だから状況もわからずに、その彼に親と喧嘩した事を言ってしまった。
彼はすべてを悟ったのだろう。私の実家や両親の良好な関係をみて「うちとは違う」と・・・自分の家の状況を理解するのは不可能だろうと
「ずっと好きでいられる自信がないから別れよう」
ある日突然言われた。
しばらく、理解が出来ずに本当につらかった。
西成の町を一人で歩いた。20年くらい前の西成は正直昼間でも本当に怖かった。浮浪者だけでなく、平気で薬の売買もあり、これが梅田から数十分の世界かと思うと田舎者には衝撃が強かった。
彼が強く生きて行かないと、「生きていけない」環境なんだという事が痛いほどわかった。
私の経験は少したとえが極端だが、家庭環境や障害や病気やその他
「自分が経験したことない事」は、同情や時には見下したり、偏見が生まれたりしてしまう。
自分がネガティブに感じていることを、どのように自分の中で消化しているか。これを相手に話せるくらいなら「共存」は出来る。
例えば、相手本人に離婚経験があり、その理由が明確でもうその昔の事実が「今」の自分を揺さぶっていないか。
未だに元嫁の文句を言い続ける、離婚により借金を抱えている、別れた事により子供がつらい思いをしている等
本人にストレスがあれば、知らない相手にはもっとストレスになる。
私の夫は離婚歴があるが、全く引きずりを感じない。
子供がいなかった事もあるが、例えば子供がいて何かしら連絡を元嫁に取らないといけない状況はやはりいい気分にはならない。
元嫁と住んでた家に住んでいるわけでもないし、ひとつ言えば離婚の時に二人で貯めていた貯金はすべて渡したと聞いていて、本当に貯金がない事は相当なストレスではある苦笑
ストレスの根源が消化できないと最初からわかっていたら、それも一つの縁と思ってその人とは付き合わないのが一番なのである。
結婚していた事、子供がいる事、借金があること、相手の家庭環境が複雑すぎること、一生かかる病気があること・・・過去は変えられないのだから。
ポジティブなストレスなら大歓迎である。老けない為にもいい。
私は42歳で母親になった。これ以上にない、ポジティブなストレスだ。
子供が好きではなく、赤ちゃんというのもまともに抱いた事がない私が母親をしてる。
ど田舎に移住した事も相当なポジティブなストレスだ。
もう、虫なんで怖くない。片道1時間の運転も遠く感じない。
ポジティブストレスは、その中での新しい発見がおもしろく、自分の成長にもなる。経験値もあがり人間が強くなる。
しかし、ネガティブストレスは、辛くなるだけだ。私の友達は旦那がアスペのせいで、自分が「カサンドラ症候群」とわかるまで長く辛い経験をした。そんな病気があるんだと理解すると楽になったと彼女は言った。
やはり「知らない」事が色々なストレスを招く。
何事も継続するのは努力がいる。
結婚を継続させる事は、人生で一番難しいミッションかもしれない。
その為には、取り除けるストレスはやっぱりないのが一番ではないかと思う
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