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法によっても今在る文化を変えることは難しい。しかし、進歩という次のステージに向かうことは出来る。

数ヶ月前まで住んでいた埼玉県は、21年10月、エスカレーターで立ち止まるよう義務づける全国初の条例を施行した。私は通勤や買い物で1日も欠かさず駅構内のエスカレーターを利用したが、たったの一度も条例に従って人々が立ち止まる光景を見たことがない。
当然だろう。毎朝、安全を顧みるほど時間の余裕がない会社員や主婦に、安全のために止まれという条例は、文化を変えるには強引過ぎるのだから。
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今ある文化は、永年の社会の蓄積で行き着いた場所だろう。
だから法を持ってしても蓄積は揺るがないほど強固で、ひっくり返すなんて出来ない。

にもかかわらず、法さえあれば動かせると思う人がいるのはどこの組織も同じなのかもしれない。
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現職で与えられた業務は、
契約書における反社会的条項について、
社内規定を制定し統制を図り、チェックリストで内容確認させろというもの。
しかし反社会的条項のブームは10年前に去り、社内では疑念があれば法務に相談する文化が出来ていた。
だから今更、社内規定を制定し、統制を図る必要はないし、チェックリストで内容を確認させるまでもなく営業部は内容を理解している。
むしろ今のやり方を否定する規定が出来れば、
規定の確認や今まで目で確認すれば足りた反社会的条項のチェックに時間が割かれてしまう。
それよりも忙しい営業にやってもらいたいことは沢山あるのに。

そう力説したが、伝わらない。

何故か今の姿を変えるためのルールを作ろうとの考えに執着されているのだ。
「ルールを作ったら、忙しい営業が読んで従わなければならないので大変ですよ?」
と聞けば、
「営業はルールを読まないなら、貴女が大変なだけで貴女は大変なことをしたくないのだろう。」
と返答がくる。そこで、
「業務において営業が困ったときに確認するのがルールなのに、誰も読まない従わない今ある文化を強引に破壊するルールを作ってどうするのですか?」
と返しても変えるの一点張り。

培われた文化を動かしたいのなら、変えるのではなく、進歩させるべきなのにね。
例えば、契約書をアップロードしたら反社会的条項をAIが自動診断してくれるように。
今在る文化は行き着いたところなのだから、法によっても変わらないよ。
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話はそれてしまったが、
立ち止まることができないほど時間に負われる会社員達が自然とエスカレーターの半分を開けるようになったのは、日本の人々が忙しいから出来上がった形。
誰もが、危ないと分かっていても歩かずにはいられないのだ。

それでも安全のために立ち止まらせたいのであれば、人を急がせる状態から解放することが必要で、
例えば、時差出勤やテレワークの推進は、事故を減らすことに一役買うだろう。
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どんな文化でも
今ある姿は、良かれ悪しかれ、蓄積した過去によって到達した場所であって、歴史がある。
そこに危険のリスクがあっても法で現状を変えるのは難しい。

ただそれでも進歩は出来る。

それは、「エスカレーターで立ち止まれ」ではなく、エスカレーターで立ち止まることが出来るくらい時間の余裕を人に与える社会になることだろう。

皆が能力を手に入れた反社会的条項の確認は、皆で手放してより問題がある点に時間を割くことができる組織になることだろう。
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今在る文化は変わらない。
だから変えようとする対象は出来上がった文化そのものではなく、
出来上げてしまった社会の歪ではないだろうか。

そしてそれができた時、1つの進化だと私は思う。

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習慣応援家shogoさん
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