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雪の降る青森に来て、観て✧♡④

 内覧会は展覧会前日の15時15分、作家の挨拶から始まった。

「自分はこの青森県立美術館の建物が建った時からよく知っている。
 そのせいかわからないけど、この展覧会の展示を、僕はたった5日間で、完成しました。
 凄いと思いませんか?
 僕の展示の才能をみなさんに是非、観て欲しいです。
(会場、笑)
 今回の作品は、高校時代のものとか、恥ずかしい作品も沢山並んでいます。自分を見つめ直すいい機会になりました。
 とくに、高橋学芸員が、僕の年表を作ってくれたのですが、本が一冊かけるようなヴォリュームです。
 僕の話はこのぐらいで・・・、
 皆さん、もう中に入っていいです!」
(会場、笑)

 では、ここからは、目に留まった作品をランダムに紹介。

私の母の故郷、西津軽郡車力村の海辺では、家の周りに「カッチョ」と呼ばれる風よけが
建っている。まさか「カッチョ」を描いていたとは知らず、驚いて、パチリ。
20歳の時の作品だ。構図とか色とかに、松本俊介を思い出してしまった。


一番始めの部屋で、ポスターにもなっている絵が出迎えてくれる。色が深くて綺麗だ。


向かい側にも大きな女の子の作品が並ぶ


ドローイングの王と呼ばれるぐらいいつも何か描いているらしい


普通の女の子のデッサン



いつも思うが、彼のこの意味不明にいっぱいある可愛いものコレクションは不思議。
作家の嶽本のばらさんが、展覧会に並んでいるものを自分も80%ぐらい持ってると
書いていたのを読んだことがあって、そんなことって、ある?と思った。


ファンにぬいぐるみを募集したこともあった。三角帽子のやつを私は作ったとあねが主張。


昔、建築に関わったと言うロック喫茶を再現したインスタレーション。
 昔の店と同じにするために、サントリーホワイトの空き瓶が必要だったが、
街の酒屋では手に入らず、買ってきては、飲んで空瓶を作ったのだと、
青森県美に関係している大学の同級生が教えてくれた。

 
 その他にも、約200点、紹介しきれない程の沢山の作品があるので、みなさん、是非、青森県立美術館まで足を運んで、ご覧ください。


あおもり犬(県?)という名の犬


 この展示を5日間で、終えたというのは、本人が言うように、やはり凄い。あの、広い青森県美の空間を自由自在に使って、スケールの大きさが違う。いつもの常設展が、奈良美智と棟方志功の2人展で、またオモシロイ。
 

志功さんの絵の躍動感がカッコイイ

 そして、10月14日から開幕で2月25日まで、と冬の期間に開催されるのは、奈良美智の、是非、自分を形作った青森の厳しい冬を観客の皆さんに体験して欲しいという思いがあるようだ。

 津軽地方の雪は深い。

 私も弘前市に実家があるが、冬は、弘前や青森に、好き好んで近づこうとは思わない。車の運転はもってのほかだし、鉄道であっても、別に行きたいとは思わない( ´艸`)。

 そこに、この展覧会をぶつけるという作戦。

 きっと観光客も、少なくなる季節だと思うけれど、世界的アーチストの展覧会だから、ファンは駆け付けて欲しいと思います。
 東京で、美術展を観ると、人の頭ばっかり見て、嫌になるけど、青森県の冬は、そんなことはないわよ(⋈◍>◡<◍)。✧♡

 作品と1対1かもよ?( ´艸`)
( ↑ 奈良美智だけに、それは無いか笑)

 内覧会を観た後、ホテルに荷物を置き、懇親会へ。
 その場で聞いた奈良君の挨拶は、とてもよかった。
 朧気な記憶で、ここに再現。

「自分が青森県で暮らしていた時、
 正直言って、何もないつまらない町だと思っていた。
 故郷に背を向けて、ずっと芸術をやってきた。
 芸術は、ニューヨークとかロンドンとかパリとかに
 あるのだと思いこんでいた。
 ところが、吉井倉庫(現レンガ倉庫美術館)の吉井さんから
 「展覧会をやってみませんか」と声がかかり、
 弘前市で、AtoZ展を手作りで、
 ボランティアの皆さんの手を借りて企画した時に、
 出資してくれた人たちの名前を見たら、
 知らない人たちの名前の中に、
 口を聞いたことも無いような同級生の名前もそこにあった。
 それを見た時に、
 今まで、ふるさとに背を向けて生きてきた自分が、
 本当に恥ずかしくなった。
 そして、それ以来、自分の故郷や、
 アジアに目を向けて生きるようになりました。
 今回の展覧会をしたことで、
 青森に恩返しができたようで、ホッとしています。
 ありがとうございました。」

 この展覧会の企画に携わった高橋学芸員さんは、次のように述べた。

「青森県は何もない辺境の町だけれど、
 そこから奈良美智さんが出たということは、
 何もないところから世界に打って出る物語を
 奈良さんが作ったということです。
 それは、青森県のみなさんに
 希望を持たせることでもあります。」

 もっといい言葉が沢山あった。 
 いつの間にか、私たちのテーブルの前が挨拶する場になっていて、特等席で話を聴いたのである。

主担当の学芸員の高橋さんと、奈良君。二人の服装が紅白で、祝展覧会💛

 内覧会や、懇親会に潜入することで、色々なスタッフの思いも聴くことが出来た。県美の館長さんが、下北出身で、それがきっかけで、奈良美智のトークショーを下北のかさまい館で、開くことになっているのだと嬉しそうに語ったのも印象的だった。

 日本の辺境、青森県の中でも、さらに孤立したまさかり部分の下北地方。

 姉も私も仕事柄、下北で、教師をしたことがあったので、早速、館長さんとお酒を酌み交わした。館長さんは八戸高校出身だった。
 この展覧会を内側から知ることができて、本当に良かった。

「奈良君、なんか食べたいものあったら、持ってこようか?」
「さっき、おめのねえさんがおでん持ってきてくれだはんで、別にいいや!」

 いいね!普通の人扱いできたよ。
 最後は、会が終わって外にでて帰るときに、あねと私は、自然に、奈良君とハグを交わして帰ってきた。

 たしかにただの奈良君だけど、こんな面白い体験がいろいろできたのも、彼が世界的アーチストだからに他ならないな、とつくづく思う。

 我々の知るただの奈良君は、物凄い努力をして、世界的アーチストになった凄い人なのだった。(←むしろ、みんなはそれを知ってる笑)

 冬の青森県に来て、是非、奈良美智の展覧会を観てください✧♡

 八甲田山中の酸ヶ湯温泉に泊まって、雪深い時に、雪深い宿に泊まるってどう?熱燗でも一杯( ^ω^)・・・

 冬の青森で雪にまみれてください💛

 The Beginning Place ここから
 
 青森から始まる✧♡

 v( ̄Д ̄)v イエイ






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