アナログ派の愉しみ/本◎シートン著『ロボ、コランポーの王様』
シェイクスピア劇の
登場人物のように
『シートン動物記』という本が実在しないと知って拍子抜けしてしまうのは、わたしだけではあるまい。アーネスト・トンプソン・シートンがしたためた動物たちの物語を、戦前の日本で初めて翻訳出版するときに『ファーブル昆虫記』にならってタイトルがつけられたところ、爆発的な人気を博して定着し、やがて小学校の図書室などに常備されるようになったという。まあ、テレビがふんだんに野生動物のドキュメンタリーを流す現在にあっては、子どもだってもう思い入れがないかも