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晴れ晴れしくも秘めやかな薔薇とその象徴の話。

先日、医療現場への寄付を掲げた資生堂のキャンペーンに感銘を受け、
#この春やりたいこと 
というnoteの募集テーマに向けて

薔薇をみながら洋館でティータイムを過ごす春の話。
というのを書いたのだが

書いていて、
薔薇にはおしゃれが必要
という無意識のイメージについてふと思う。

わたしは大体毎年のように
「薔薇を見に行こう」
と友人を誘う。

すると、ほとんどの場合において
「おしゃれしなくちゃ!」
との返答を得るのだ。

薔薇を見に行こうと誘う相手は、いつも同じ人でなく、割といろんな人に声をかける。
しかし概ね一様にこの答えが返ってくる。


日本では「花見をしよう」というと、大抵は桜のことであるし、
桜をみようというのに、気合の入った一張羅を用意せねばと張り切るのは、
そりゃもう同席する人間から少しでも好感を得たい、
例えば付き合いたてのカップルなどに限ったようなもので、

わたしのようなファッション好きとズボラが渾然一体となった人間に言わせれば、

公園でレジャーシートに座るなら、多少裾やお尻が汚れても悔いのない服装だろうし、
地べたに長時間も座るとなれば、お腹はゆるめが良いだろう。

とか

桜並木を散策するなら、歩きやすいスニーカーに、足さばきの良いボトム、
片手に缶ビールでも持つのなら、両手があいて、すぐに除菌ティッシュを取り出せるようなボディバッグやサコッシュが便利かな?

など
よりコンフォートを求めた、ややカジュアルなファッションが目に浮かぶ。

桜→花見→酒 という連想ゲームだ。


ところが、これが薔薇となると、まあ缶ビールを連想することはあまりない。
わたしは下戸なのであまりお酒には詳しくないため、薔薇と結びつくような酒類がぱっと思い浮かばないけれど、
薔薇園では耐久性を考えた服装は必要なさそうだ。


時期的にも薔薇の見ごろは桜よりもひと月ほど後なので、
日によってはまだコートが必要なお花見時期よりも、もう少し防寒を気にかけずにおしゃれを楽しめるだろう。

更に、会社や学校など、お付き合い色のある場合も少なくない桜に比べて、
薔薇を見に行くような人間同士は、おそらく、より交流が深く、
自分らしさを表現した服装をしても失礼にあたらないような関係なのではなかろうか。


そういった背景も含めての、

薔薇にはおしゃれが必要。


親しい仲の友人が、普段よりも少し気取って集い、

「今日のあなた、いつもよりもっと素敵よ」
なんて、ちょっと照れ笑いしたりなんかして、

わあ、最高じゃないか。
薔薇はいいな。

まるで晴れ舞台だ。


前回のnoteに書いたような、昔の少女漫画を彷彿させる、薔薇の持つ特別感といい、
薔薇園に足を踏み入れたときの、華やかな美しさ、馨しい香りといい

花そのものも、取り巻くイメージもみんな、幸せそのものだ。

晴れ晴れしくも乙女チックな薔薇の花見は、
親しき仲のひっそりとした、まるで内緒話のような特別感。


こんなイメージを抱かせるのには、おそらく常日頃、
意識するでもなく目に飛び込んでくる情報による刷り込みもあるだろう。

わたしにとって馴染み深い西洋芸術学、における図像学に照らし合わせれば

西洋絵画における薔薇とは
愛・美・秘密・楽園 などの象徴とされている。

イエスの受難の血・赤
聖母マリアの純潔・白

この大いなる二色を咲かせ、
鋭い棘は後にイエスの被る冠となる。


またイングランドでは、ばら戦争と名の付く戦争まであり、
これは15世紀に起きた

白薔薇をシンボルとしたヨーク家
赤薔薇をシンボルとしたランカスター家

二つの家による権力闘争である。

イエスの血に聖母マリアの純潔。
王家の紋章。

なんと壮大な花だ。
あんまり知ると近寄りがたいのでこのくらいにしよう。

この大層なイメージに関連した、高級志向の商品のパッケージや広告に薔薇は多用される。
花そのものの佇まいから得る美しさと同時に、
伝統や高貴、高級なものと共に示される、コンテンツとしての薔薇がよりそのイメージを膨らませているのだろう。


それでも、ド庶民のわたしにだって、薔薇園へ行きさえすれば、
美しく咲いた大輪の薔薇を愛でることが許されている。
いい時代だ。

今年は絶対に、港の見える丘公園へ薔薇を見に行こう。
海を見て、薔薇を味わって、素敵なロケーションでケーキを食べよう。

note×資生堂の企画に則り、「この春やりたいこと」という、
自分にとって最高にキラキラしたことを思いつくままに書いてみたら、
もう実現したくて仕方がなくなってしまった。


良いきっかけをもらったものだ。
noteをやってみて良かった。


さて、
どんな服を着て行こうかな。

是非サポートよろしくお願いいたします♡ 活動の糧にさせていただければとおもいます。