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【映画04】セッション(2014)

約10年前のこと。
「この映画がやばい」
そんな噂を聞きつけて、友だちと映画館へ観に行きました。

観終わってからの感想はたしかに「やばかった」
二人ともそんな語彙力しか出てこなかったことを覚えています。

その後もWOWOWに加入していた時に録画して鑑賞したのが1回。
そして最近、配信サービスで久しぶりに観ました。
やはり、やばかったです(笑)


※この記録にはネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。




◆あらすじ

ジャズドラマーを目指し、名門の音楽学校に入学したアンドリュー・ニーマン。ある日、学内でも有名な教師であるフレッチャーのバンドにスカウトされ喜んでいた。しかし、練習に参加してみると彼の指導法は罵倒が飛び交い、時には手を出される想像を絶するものだった。そんな狂気とも言える教師と生徒のセッションの先にあるものとは・・・。


想像を超えた音楽映画

かつてこれほど緊迫した音楽映画があったでしょうか。
音楽のジャンルはジャズだったのですが、ジャズであんなに鬼気迫るような曲があることを初めて知りました。それまではおしゃれなイメージだったので(もちろん指揮者と演奏する人たちの雰囲気もあるのでしょうけど)
恋愛要素もチラッと出てきますが、ほんの息抜き程度でしたね。女の子と父親とのシーン以外は基本緊迫していたような。
まるでスリラー映画の一種のようでもありました。フレッチャー先生のパワハラ指導に驚き、音楽映画なのに流血シーンがあり、交通事故まで。人によっては「見れない!」という人もいるかもしれません。
でも、その緊迫を乗り越えた先にあるのがあのラストの演奏シーンです。これについては後ほど語ります。

フレッチャー先生がやばかった

フレッチャー先生を言葉で表すとしたら、鬼、そして狂気。
J・Kシモンズさんがピッタリでした(褒めてます)
アメとムチがすごかったです。最初和やかに世間話してるな〜と思ってたら、たぶんあれ罵倒のためのネタ探しですよね。こわい、こわすぎる。
自分がニーマンの立場だったら…なんて考えたら震えが止まらなくなります。
ただ一歩引いてみると、彼は本当に天才と呼ばれる存在を育てたかったのでしょうね。怒りが才能を引き出すと考えていたのかもしれません。何度か見るうちにそんな視点が生まれてきました。今となっては許されない手法でしょうが、自分の狂気を越えて天才となる存在を探していたのかも。常人には理解できない世界です。

最後の演奏シーンがやばすぎる

最初はフレッチャー先生だけが狂気の存在でしたが、だんだんとニーマンも狂気じみてきたことが伝わってきました。でも、色々あって学校を退学となり先生と離れたことで一度それが落ち着きます。
ただ、最後の演奏シーン。確実にニーマンの狂気はフレッチャーのそれを越えていましたね。怒りの爆発は、つまり才能の爆発でもありました。
フレッチャー先生の指揮を無視して勝手に演奏をはじめるニーマン。「俺が合図する」と言い、その迫力にバンドメンバーたちもニーマンに合わせて演奏していきます。この演奏が本当に素晴らしいんです!!
今まではフレッチャー先生の狂気に緊迫して震えていたのに、最後のシーンは演奏の素晴らしさに震えていました。これが天才の領域・・・。
最初のほうは怒っていたフレッチャーも演奏の素晴らしさにだんだんと納得の表情になっていきます。ドラムのソロでは、倒れたシンバルを元に戻してあげる姿もありました。最後の二人の視線はお互いがお互いを認めているようにも見えて、いや~熱かった!あんなに怖い思いをしたのに、あの演奏シーンを観たらすべて飛んでいくほどすごかったです。

◆総評

この映画の原題は『Whiplash(ウィプラッシュ)』と言います。作品の中で演奏されていた曲名でもありますが、元々の意味はムチ打ち、ドラマーの人がなりやすい職業病でもあります。おそらく発音の難しさもあって邦題では『セッション』になったのだと思われます。教師と生徒の狂気の”セッション”が天才を生み出したということなら悪くない邦題なのかな、と。
フレッチャー先生の狂気の指導に観るのを途中止めたくなりますが、止めたら最後の演奏シーンを見ることができません。途中を飛ばして演奏シーンだけ見ても不思議とそれほど素晴らしいとは思えないんですよね。ニーマンと共に狂気の指導に耐えたからこその、あの興奮。観る側もどこか狂気じみないといけないのかもと思いました。
賛否両論あるでしょうが、私にとってはなかなか面白い作品でした。

◆おまけ

主人公であるアンドリュー・ニーマンを演じたマイルズ・テラー。この記録を書くため作品について調べていると、なんと『トップガン:マーヴェリック』でグースの息子のルースターと同一人物だったんですね!!
どちらも何度か観ていた作品だったのに気づきませんでした。この作品が最初は気弱な印象だっただけに『トップガン:マーヴェリック』を観ると「マイルズ、立派になったね・・・!」と親戚のおばちゃんみたいな気分になりました(笑)こういう俳優さんの共通点を見つけるのも、映画やドラマ鑑賞のおもしろいところです。

『トップガン:マーヴェリック』の鑑賞記録はこちら▼


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