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卓上手記

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日々の泡沫。Que Sera, Sera.
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家族の異常な日常、または妻は如何にして心配するのを止めて我が家を愛するようになったか

家族の異常な日常、または妻は如何にして心配するのを止めて我が家を愛するようになったか

ちゃぶ台手記
『家族の異常な日常、または妻は如何にして心配するのを止めて我が家を愛するようになったか』

この映画が意図しているところを最大限に感じとるには、舞台がアウシュビッツ(オシフィエンチム)であることを知らずに見始めるのが一番だと思うけれど、それは土台無理な話。

配給会社がA24であることを思えば、これはある種のホラー映画であるとも言えるけれど、わたしが思い出したのはアニメ化されてロング

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ー ゲンズブールの亡霊 ー

ー ゲンズブールの亡霊 ー

試写室より愛をこめて「ジェーンとシャルロット」

女の敵は女だ。

物心ついたころからそう思っている。女が嫌いだという話ではない、女は油断ならない、女は面倒くさい、というステレオタイプな話を実録以外にも映画や文学や噂話含め女として体験してきた私自身がそう感じているだけだ。実際、好きな男が絡めば女はあっさり女友達を捨てるものだ。[女の敵は女]説のきっかけは、ボーイフレンドに浮気された友人がなぜか浮気

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サブスクリプション

かつて映画を見る手段が映画館とテレビしかなかった頃、テレビで映画を見る 前には「映画評論家」による前説があるのが定石だった。特筆すべきは「日曜洋 画劇場」の淀川長治さんの名調子で、私が好きな彼の言葉の一つに「映画とは、 国と国の垣根をなくすこと」というのがある。映画を通じてさまざまな感情や文 化の違いに触れ、理解を深めてゆくことにこそ映画の意義があるということなの だろう。
 いまやインターネット

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舟歌

 ポーランドの首都ワルシャワで5年に1度の「ショパン国際ピアノ・コンクー ル」が開催された。今回からその様子はユーチューブで生中継され、本選まで全 ての演奏から優勝者が決まる瞬間までスマホで楽しむことができた、しみじみすごい時代になったものだと思う。
 日本にはショパン愛好家が多いと言われており、私がピアノを習っていた子供 時代にも好んで選曲されていたように記憶している。抑制の効いた悲しみや怒り、

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スイッチ

 私はスイッチを押すのが大好きだ。リモコン、照明、ブレーカー、エレベー ター、生活の中にさまざまなスイッチがある。市電やバスの停車スイッチもなか なかの押し心地だが、子供が乗っていれば「きっと押したいだろうなあ」とギリ ギリまで我慢する、笑われそうだが「好き」が高じて自分の会社の社名にもして しまった。
 かつて「未来」を描いたSF映画にはスイッチがぎっしり並んだ巨大なコン ピューターが登場し、そ

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辛い

 この春からフランス語のレッスンを再開した。「40歳は青年の老年期であり、50歳は老年の青年期である」とはビクトル・ユーゴーがのこした言葉だが、再び学びたくなったのは第二の青年期として悪くないタイミングだったかもしれない。
 普段、表意文字である「漢字」を用いる国々は言語が違えど文字を介して理解しあえるシーンがままある。アルファベットもまた国が違えど似た単語が多々あるが、中には「音」が似ていても意

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お後がよろしいようで

 日本に生まれ育ち、ほぼ日本語だけを話して半世紀を過ぎたというのに、本来 の意味を知らずに勘違いしたまま使っているという言葉がままある。
 大人になると学びの場も減るが、ネット社会では膨大な数の情報にアクセスす るようになり、たびたびハッとさせられる。今ままで間違いに気づいた友人たち が「ここは指摘せずに流しておこう」と気を遣ってくれたのだろうと思うと、恥 ずかしさが増幅する。
 最近分かった言葉

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ナウシカとコロナ

6月上旬、初夏の爽やかさを飛び越し、真夏のような日が続いた。
 長い冬を強いられる道民としては予期せぬ夏日は歓迎だが、今年は勝手が違う。マスク着用で不快指数が上昇し、陽気より息苦しさが勝る。
 ある日、向こうからマスクをしていない青年が歩いてきた。「なぜしないのか!」と内心ではいら立ったが、冷静に考えるとここは屋外。道ゆく人はまばらで、換気が「いい」「悪い」などと議論の余地もない。思い直して自分も

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オリンピック・マンボ

朝、ラジオを聴いていたらマンボがどうのと聞こえてきた。音楽の話ではなく、耳を傾けると新型コロナウイルス関連のニュースだった。
 コロナと向き合ったこの1年以上の間、「3密」「濃厚接触」「ステイホーム」「オーバーシュート」と、注意喚起や感染防止を訴えるさまざまな言葉が生み出された。
 新たな言葉が、マンボと聞き違えた「まん防」。正式名称は「まん延防止等重点措置」だ。何でもかんでも短縮し、「言いやすさ

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それはせんせい

街角で「先生!」と叫んだら、どれくらいの人が振り返るだろう。この世にはたくさんの先生がいる。
 子供のころなら学校の教師や習い事の講師を「せんせい」と呼び始めるところからスタートするだろうが、大人になるにつれ、その数は増えていく。医師、弁護士など社会的地位の高い職業から音楽家、画家、作家など芸術家への呼称でもある。
 漢字のまま解釈すると、「先に生まれた」となる。人生の先輩への尊敬の念が、特殊な技

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色あせない思い出

 懐メロといえば、古い世代が懐かしんで聴く流行歌の代名詞だが、いつの間にか私も「古い世代」になっていることに気づいた。「歌は世につれ、世は歌につれ」とはよく言ったもので、懐メロを今聴くと「こんな歌がはやっていたのだな」と隔世の感がある。
 昭和の演歌は、捨てられた女の恨み節、もしくは「捨てないで」とすがる女の未練にあふれている。当時の若い女性アイドルの歌でも「一番大切なものをあげる」や「もうすぐ食

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点取り占い

「点取占い」をご存知な方はどれくらいいるのだろう。

 これは駄菓子屋などで売られていた子供向けのおもちゃで、おみくじと同様に小さな紙が折りたたまれ、くるくると開いてゆくとシュールな言葉とイラストが登場する。「勉強して知事さんになりなさい」といった進言や「肝心なことを忘れている」という注意喚起、「変な気持ちになりました」という謎のメッセージや「鼻くそをほじくるな」といった子供受けしそうなものまでバ

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喫茶店

 「カフェ」という言葉が浸透して久しいが、私は「喫茶店」の響きの方が断然好きだ。両者が指す意味は、ほぼ同じかもしれない。でも、私の中では全く別な存在だ。
 喫茶店について、勝手に決めた定義がある。家族で経営していて、モーニングを提供する。メニューにはマスター自慢のカレーライスがあるのが好ましい。ナポリタンもあれば最高だ。テーブルにはシュガーポットが常設され、コーヒーを頼むと、銀の容器に入ったミルク

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新しい朝

「昔はよかった」と言い出すのは、古い人間になった証しだろうが、そう思わせる存在にテレビがある。
 かつてテレビはお茶の間のだんらんの中心にあったと言っても過言ではない。家族で楽しめる番組がたくさんあり、子供からお年寄りまで口ずさめる流行歌も放送された。たった15秒間で映画1本分の心の揺さぶりを与えてくれるテレビCMも多かった。フランスの詩人アルチュール・ランボーやスペインの建築家アントニオ・ガウデ

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