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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「あんず」は種が有名!?

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

梅雨明けもしていないのに、毎日、猛暑つづき!
こんな時期には、さわやかでのど越しのよい食べ物が好まれますね。
食事には、そうめん・冷や麦・豆腐、デザートには、ゼリー・プリン・杏仁豆腐といったところでしょうか。
デザートの杏仁豆腐といえば、アーモンドシロップで香り付けをしたものもありますが、本格的なものには、甜杏仁や杏仁霜という材料が使われています。

「(杏仁)あんにん」と今回のテーマ「あんず」の関係は? 種が有名っていったい何?
その答えは、本文中にあります。

今回は、そんな「あんず」に関する様々なヒミツ、東洋医学的な効能などをご紹介していきます。
また、『5.「あんず」の簡単レシピ』では『「あんず」の寒天デザート』をとりあげています。

では、最後までどうぞお楽しみください!!


1.「あんず」の由来

「あんず」の花

「あんず」は、3月~4月ごろに、写真のような可愛らしい花を咲かせ、6~7月上旬にかけては、その実が収穫時期を迎えます。
あんずの実は、日持ちがしないため、生のフルーツの状態で見かけることはめったになく、ジャムやシロップ漬けなどの加工品にされた後に市場に出回ります。
あんずの種は、これこそがまさに杏仁豆腐の材料として使われる、「杏仁(あんにん)=甜杏仁や杏仁霜」なのです。
こうしてみると、「あんず」は、実よりも種の方がポピュラーで有名なのかもしれませんね!!

「あんず」は、ウメやスモモと同じバラ科の落葉果樹です。
原産地に関しては諸説ありますが、中国北部、あるいは中央アジア、ヒマラヤ西部の原産とされています。
ペルシャを通ってギリシャに伝わったものからは、甘みの強いヨーロッパ系の品種がつくられました。
一方、中国を原産とする東洋系の品種には、実を食べる普通種と種の採取を目的とした野生種があります。

日本では、平安時代の書物『本草和名』に「唐桃(からもも)」という名前で記載されており、それより前の時代に伝来したと考えられています。
最初は種を薬用に用いていましたが、その後に酸味のある果肉もくだものとして食されるようになり、現在では干し杏のほか、果実酒やジャムの原料としても利用されています。

2.栄養学としての効能

「あんず」の実はβ-カロテンを非常に多く含んでいます。
以前、こちらの記事でβ-カロテンの多いくだものとして「びわ」をご紹介しましたが、「あんず」のβ-カロテン含有量は「びわ」の2倍以上あります。
さらに干し杏になると可食部100gあたりの含有量が増えて、くだものの中でもトップクラスになります。
また、ビタミンEやカリウムも多く含まれています。

【β-カロテン】
β-カロテンはからだの中でビタミンAに変化します。
ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きがあるので、からだの抵抗力を強め、疲労や視力の回復に役立ちます。
また、強い抗酸化作用を持ち、動脈硬化や老化を防ぎます。

【ビタミンE】
強い抗酸化作用があり、細胞の老化を遅らせる働きがあるためアンチエイジングや美肌効果で注目されています。

【カリウム】
体内の余分な水分・塩分を排出する働きがあるので、むくみを予防したり改善する効果があります。

「あんず」の種にはアミグダリンという物質が含まれています。
アミグダリンは体内に入ると毒性のあるシアン系の物質に分解されます。
そのため、嘔吐や頭痛などの中毒症状を引き起こすことがあります。
生の「あんず」を入手した場合には、くれぐれも種をそのまま食べないように気を付けてくださいね。

3.東洋医学的な効能

3-1.実の効能

東洋医学的には、「あんず」の実は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 酸・甘、温、有小毒(酸、大熱)
【関連する臓腑経絡】 肺・心経

①潤肺定喘(じゅんぱいていぜん)
肺の渇きによる呼吸困難や喘息を改善します。
②生津止渇(せいしんしかつ)
津液を生み出し、からだの渇きを止めます。

3-2.種(杏仁)の効能

「あんず」の種は、東洋医学では古くからぜんそくや咳止めに効果があるといわれています。
中国名では食用種の種を「甜杏仁(てんきょうにん)」、野生種の種を「苦杏仁(くきょうにん)」というように区別していて、生薬として用いられるのは「苦杏仁」です。
一方「甜杏仁」は、杏仁豆腐にも使われているように、食用として用いられています。

【性質と味】 苦・辛、温、小毒
【関連する臓腑経絡】 肺・大腸経

①止咳平喘(しがいへいぜん)
咳を鎮め、呼吸困難や喘息を改善します。
②潤腸通便(せいしんしかつ)
腸の水分不足を改善して、便秘を解消します。

杏仁は温性で、肺の気を発散する効能があるので、サラサラした痰で量の多い食積痰湿の寒タイプの方には適応していますが、陰分が不足し、空咳が出る方にはそのままでは逆効果となることもあります。

現在、漢方薬はドラッグストアで簡単に購入することができるようになってきていますが、漢方も鍼灸と同様、症状や体質について詳しい診断をしたうえで処方を行うのが本来です。
漢方としての「あんず」に興味を持たれた方は、漢方薬局や漢方を処方している病院で相談をしてみることをおすすめします。

4.千葉と「あんず」

「あんず」の生産地は、青森県が日本一で、全国シェアの60%以上を占めています(2018年)。
2位が長野県、3位が香川県で、3県をあわせると国内生産量のほぼ100%になります。

千葉県は、これまでご紹介してきたように果物や野菜の栽培が盛んな土地ですが、千葉県内で「あんず」は栽培されていないようです。
そこで、千葉のあんずスポットとしては、加工した「あんず」あんを使った、めずらしいお菓子を製造販売している老舗お菓子屋さんがありますので、今回ご紹介します。

千葉県長生郡一宮町にある御菓子司角八本店さんの『あんずチーズ大福』です。
角八さんは江戸時代中期から続く老舗の和菓子屋さんで、『あんずチーズ大福』については、ホームページで以下のように紹介されています。

『コクのあるクリームチーズの中に 独自の酸味と食感を持つ刻み杏子をたっぷりと贅沢に練り込みました。角八特製の餅生地が包み込む新感覚の大福です。新しさの中にも深い歴史が息づく悠久の味わいをお楽しみ下さい。』
(御菓子司角八本店ホームページより)

角八さんと『あんずチーズ大福』は、かねもりあやみさんが描いた漫画『ひなこ大福』のモデルになっているそうです。

千葉駅から電車で1時間ほど、ちょっとした日帰り小旅行の距離です。
お休みの日に足を運んでみるのもいいですね。

また、JR千葉駅中央改札外コンコース でも、期間限定で出店されることがあり、ちょうど今月末にペリエ千葉3階、JR千葉駅中央改札外コンコースでの販売が予定されているそうです。

場所:JR千葉駅中央改札外コンコース
日時:2023年7月28日(金)~30日(日) 11:00~19:00

筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は、千葉駅から徒歩約5分に位置していますので、出店中に出かけておやつにあんずを楽しもうと思います!
また、『鍼灸 あやかざり』の女性患者の皆様も甘いものが好きなようですので、ぜひお帰りのついでに購入してみて下さいね!

ただし、東洋医学的には、雨が多く蒸し暑いこの時期に甘味をとりすぎると、胃腸の消化能力を低下させて、胃もたれや浮腫みの原因にもつながりますので、買いすぎに注意してほどほどにしておきましょう(笑)

5.「あんず」の簡単レシピ

生の「あんず」は梅と同様も、シロップで煮たり、果実酒にしたり、ジャムにしたり、と様々な調理方法で楽しむこともできますが、先にご紹介したとおり、生の「あんず」は出回る時期が短く、新鮮なものはめったに手に入りません。

そこで、今回は、あんずのジャム(アプリコットジャム)を使った簡単デザートレシピをご紹介します。

【あんずの寒天デザート】
《材料》分量は適宜
アプリコットジャム、水、粉寒天
《作り方》
1.鍋に水と粉寒天を入れ中火にかけます。
2.沸騰したら火を弱めて、かき混ぜながら寒天を溶かします。
3.寒天が溶けたら火からおろし粗熱をとります。
4.アプリコットジャムを加えて混ぜます。
5.お好みの容器に流し入れ、冷やし固めます。

ゼラチンを使えばゼリーになります。
干しあんずを細かく刻んで混ぜ合わせると食感を楽しむこともできますよ。

アプリコットジャムはメーカーによって糖度が異なりますので、お好みのものを使ってくださいね。

いかがでしたでしょうか?
『「あんず」は種が有名!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『食材効能大事典』、『東方薬草新書』、『オールガイド食品成分表』ほか
参考資料:千葉県ホームページ

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