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@セーヌ川沿いのテラス 食関連ニュース 2021.06.09

今週のひとこと

フランスでは、本日からレストラン・カフェは屋内の営業も衛生プロトコル順守の上、開始することができます。夜間外出禁止の開始時間も23時からと緩和。6月30日からは状況が悪化しない限り、規制がすべて解除されます。

レストラン・カフェが営業開始を待ちに待った本日6月9日の前日である昨日、マクロン大統領はリヨン市の南方に位置する南仏ドローム地方を訪れていました。2022年来年の大統領選挙戦のキャンペーンも兼ねていますが、目的は、外食産業の未来を支えるという姿勢を、全国に向け明らかにすること。チョコレートのヴァローナ社もあるタン・レルミタージュにある調理師高等学校に足を運び、また県庁所在地ヴァランス市のビストロにて、3つ星シェフのアンヌ・ソフィ・ピック、2つ星シェフのティエリー・マルクスなどの関係者を50名招待し昼食会。人材不足であるなど、たくさんの問題を抱えた外食産業の未来のために取り組んでいくと表明していました。市内の訪問では、たくさんのヴァランスの人々に迎えられ、押すな押すなの人の波。その様子を見ると、ロックダウンは忘却の彼方のよう。出来るだけ多くの人々に声をかけ、握り拳を交し会って挨拶をし、時には、問題に耳を傾けるなどの仕事ぶりには、大統領としての存在の意義とを目の当たりにしたような気がします。しかし、調理師高等学校を出た後に待ち受けていた群衆の中の一人から頬を平手打ちにされかかるというアクシデントにも見舞われました。車に乗り込み、次の予定先に向かうはずだったが、その人々からの声に応え、あえて大統領は車から出て、会話をしようと試みたときに起きた事件だっただけに、今後の大統領の身の安全について問われ、暴力への不寛容が唱えられています。マクロン大統領は、その事件の後も、人々への挨拶を臆することなく、あるいはより一層に熱意を持って言葉を交わしていたことが報道されていました。

「フランスは、食卓についている時間が最も長い国であるというのは、偶然ではありません。ガストロノミーは私たちの誇りであり、唯一無二のもの。フランスのガストロノミーと私が本日出会った未来の素晴らしいシェフたちに万歳」とマクロン大統領。昼食会には、フランスガストロノミーのスポークスマン、ギヨーム・ゴメズ氏の姿が。エリゼ宮に25年勤め、2013年のニコラ・サルコジの時代に料理長に任命され、以来同ポストに就いていた42歳(1978年8月生まれ)。今年の頭から、マクロン大統領の命で外務省に入り、大統領直属となったのは、ガストロノミーの世界では大きな出来事でした。ちなみにマクロン大統領は1977年生まれの43歳。パンデミックで大打撃を受けた、犠牲となった産業だからこそ、ガストロノミーを支えていかなくてはならない一方、それがフランスの国力に直結しているということを、再度確認させられる今日この頃。そして若い世代がこの国を牽引していること。

「君がどんなものを食べているか言ってみたまえ。どんな人間であるかを言いあててみせよう」や「チーズのないデザートは片目の美女である」は、18世紀から19世紀を生きた美食批評家ブリア・サヴァランのアフォリズムとしてあまりにも有名ですが、「国民の盛衰はその食べ方いかんによる」は、今の時代にこそ響く言葉でもあるような気がします。

このパンデミックを経て、ゴーストレストランが流行り、ファーストフードが隆盛するフランスですが、持続可能な事業であることを基盤にしていない、掲げていない企業はないといっていいほど。それを意識した、あるいはそれ自体を事業の主軸に据えたスタートアップ企業が雨後の筍のように誕生している。消費者の意識の高まりもありますが、目標値を定め、それを推進している、支援しているのは国に他ならないのです。

今週のトピックスは今週のひとことの次に掲載しています。ご笑覧ください。【A】冷凍パン製造のトップメーカー、ピエール・エルメのコラボ。【B】デリバリー専用のキッチンレンタルビジネスが上昇中。【C】Domino'sフランス、中国の電動バイクブランドNIU社と契約締結。【D】コンコルド広場のもと海軍省本部がミュゼに。レストラン内包。【E】 デュカスによるヴェルサイユ宮殿内の高級ホテル登場。

今週のトピックス

【A】冷凍パン製造のトップメーカー、ピエール・エルメのコラボ。

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