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初めての生ビール

ビアガーデンのアルバイト

また大学1年生の時間に戻る。
ゴールデンウィークが明けると、ビアガーデンのアルバイト募集が始まった。工事現場での苦い経験(過去記事を見てね)から、肉体労働は避けていたので、丁度良いように思われた。飲食業は、ラーメン屋さんの経験がある。出来る気がした。幸い面接には合格したので、働き始めた。

女子チームに入る

思惑は見事に外れ、ガッツリ肉体労働だった。ビルの屋上で働くのは気持ちが良いのだが、それがいけなかった。まだ5月だというのに、日中は暑かった。夕方からの営業に備え、14時頃から仕事が始まる。一番暑い時間帯だ。紫外線と熱気にやられ、すぐにバテた。
そして運ぶ道具やビール樽は、かなり重い。20リットル樽ふたつを片手で持つやり方を習った。両手で4つ持たなければならない。やり方は分かったが、持ち上がらない。両手でひとつがやっとだった。
ここでも戦力外通告を出された。
女子アルバイトの子たちは、テーブルを拭いたりキッチンを整えたりの仕事を割り振られている。結局、わたしは女子と一緒に働いた。

楽しい晩御飯

お店が閉店時間となり片付けが終わる頃には、夜中近くになっていた。屋上には涼しい風が吹き、日中の暑さが嘘の様だった。汗グッショリな服を着たままだったので、風邪を引きそうなくらいだった。
皆でテーブルを囲って賄いを食べた。お腹もペコペコだったし、大勢で食べる晩御飯は美味しく感じられた。生ビールもひとり1杯まで飲んで良いと伝えられたのだが、わたしはビールが苦手だったから、あまり嬉しくなかった。でも、飲んでも良いものを飲まないのは、損をした気分になる貧乏性もあって飲んでみる事にした。

わたしの記念日

飲んでみて驚いた!!なんと美味しかったのだ。乾ききった喉にすいすい飲み込まれていく。初めて生ビールを飲んだくらい衝撃を受けた。お客さんが実に美味しそうにビールを飲むのが不思議だったが、合点がいった。
一瞬にしてビールと、この職場が好きになった。辛過ぎて辞めるつもりだったのもすっかり忘れて、次のシフトが楽しみになった。
もっと頑張って働いたら、ビールも、もっと美味しくなるに違いない。ワクワクが止まらなかった。

わたしは、この日を「ビール初めて記念日」にしたのだった。


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