#17 「ちゃんと」よりも「自分らしく」生きるために必要なことって?
▼前回のnote
「自分は〇〇ができない」と言う人は、大きく分けて2種類いる。
1つ目は、
「なんで自分は〇〇ができないんだ」
と自己嫌悪になったり自己否定をしたり許せない人だ。
こうなるとストレスが溜まり現実を直視することに疲れ、先延ばしをしてしまう。また同じようなシチュエーションになると失敗し、自分を責めて先延ばしをするという負のループにハマっている。
一方、
「自分は〇〇できない」
と客観的に認めることができている人もいる。
「自分はまだまだだ。決して完璧な存在なんかではない。でも、この状況の中でもできることはないか?」
と考え、自分にできることを実行したり、人に頼って壁を乗り越えるための具体的な行動を行うことができる人である。
運営している自分を知る学校「自分史サロン」のメンバーは前者から後者になろうと日々自分と向き合って行動しているし、周りにはこの後者の人が多い。
例えば、全盲ママYouTuberの西田梓さんもそうだ(@azu_nsd)。西田さんは生まれながらにして全盲である。
西田さんとのご縁をいただいたのは2018年明けのことだった。視覚障がい者の方にPCやパソコンなどの使い方についてサポートをする活動をされているミナさん。
西田さんが「これからの時代はYouTube!YouTubeで視覚障がいのお子さんがいるママに向けて"目が見えなくてもこんなふうに工夫すればできるんだよ"ということを伝えたい!誰か動画編集をお願いできる人はいないかな???」と思っていたところ、ミナさんがぼくを紹介してくださったのである。
西田さんには、ぼくが公務員を辞めてフリーランスになる前からお世話になっており、これまで動画制作を22本、人生ストーリー記事を2本制作させていただいている。
▼YouTubeチャンネル
▼人生ストーリー
当時のぼくからするとフリーランスとして活動していく中での大きな1歩だった。その時から2年半以上が経つが今でもオファーをいただいたり一緒に動画やコンテンツ制作をさせていただいてる事は本当にありがたいと思っている。
"目が見えなくてもこんなふうに工夫すればできるんだよ"
西田さんの代表作は、先日YouTubeで1,000,000回再生を突破した「特別なんかじゃないんだよ〜全盲ママの子育て〜」だ。
この作品は、当時大学生だった林原あずささんが西田さんとその娘さんを密着取材しドキュメンタリー作品として世に生み出したものである。
この作品を見ていただくと分かる通り、特に事件が起こるわけでもないし24時間テレビのような健常者の娘さんが目が見えないお母さんを支える涙涙の物語でもない。リアルな日常を客観的におさめて作品にされている。
西田さんの活動のビジョンは「見えなくてもこんな風に工夫すればできるんだよ」ということを伝えることだ。
西田さん:生まれつき目が見えないのは当たり前で生きてきたからできないことはできないしね。困ったときは「すみません、手伝っていただけませんか?」とお願いして、手伝っていただけたことには「ありがとう」と伝えて生きてきた。
世の中には、中途失明といって生まれつきではなく事故や病気、老化で目が見えなくなる人が多いことも西田さんから教えていただいた。
というのも先日、西田さんではない事業をコンサルさせていただいている方から次のようなお話を聞かせていただき、目が見えることは当たり前ではないと感じたからだ。
「父が目が見えなくなってしまってね。でも父はまだ目が見えなくなった自分を認めきれてなくて、"なんで自分がこんな目に"と言ってた。でもそう言っていても家族や周りの人に支えられているんだよ。まず身近な周りの人に感謝できる気持ちを持つことが大事だよね」
「全部ちゃんとできないこと」が悪いことではない
「一人でちゃんとできない自分」が問題なのではない。
正直に言おう。
ぼく自身、かなりのええかっこしぃだ。
「できない」とか「頼らせて」ということが大の苦手である。「そういう言葉を吐くこと自体が甘えだ」と解釈して生きてきたから、その思考の癖があるのである。
そんな頭の中は
「なんで自分はできないんだ」
「みんなはできているのに」
「なんで気づいて助けてくれないんだ」
という言葉でいっぱい。
自分の失敗も人の失敗も許せず、自分の成長も人の成長も待てない。しかもそんな自分には一切気づけていない。
でもある時、「甘える」と「優しくする」は違うことに気づいた。
そう思えたのは、これまでに出会った「まだまだな自分」や「周りと同じようにできない自分」を認めてくれた人たちのおかげである。
自分史サロンでは、「甘える」と「優しく」の違い次のように伝えている。
「甘える=いつまでもウダウダ言って前に進まないこと」
「優しく=最終的には前に進むこと」
「楽しさの正体は前進感」だ。
この記事を読んでいるあなたも思い返してみてほしい。停滞感を感じている時ほど、人生のピンチだったり苦しさを感じていなかっただろうか?
つまり、「自分は〇〇ができない」と認めきることができず、周りの人に素直に頼れなくて前に進めない、前に立ちはだかる壁を乗り越えることができない状態になっていることが問題なのである。
西田さんは目は見えないが周りの人たちの心遣いや気持ちが人一倍感じられる人だ。例えば、スーパーやコンビニで買い物をする時は店員さんに「すみません、手伝っていただいていいですか?」とコミュニケーションをとって買い物をしている。
「〇〇ができないんです。一緒に〇〇してもらえませんか?」
と相手に素直に伝えるからこそ、そこにコミュニケーションや感謝の気持ちも生まれる。人生の幸福度は人間関係と相関があるのである。やはり豊かな生活を送るためには人との向き合いが欠かせない。
大切なのは、「ちゃんとできない自分」を認めきること
「〇〇できない自分を許せない自分」から「自分や周りの人を許せる自分」に変わりたい人はまず、「自分を許せない自分を許すこと(自己受容)」を習慣にしていただきたい。
自分史サロンではこの自己受容トレーニングのやり方を解説したり定期的にセッションをしている。その中で実際に少しずつ自分を許せるようになっているメンバーの変化を目撃している。
人は「まだまだな自分」を認識することで、自己改善ができるのである。「〇〇ができなくて、手伝ってもらえないかな?」と身近な人や周りの人に対して素直に頼れる気持ちを持つことができれば、生きやすくなるとぼくは感じているので、そういう人を増やしていきたい。
このたび、ドキュメンタリー作品の制作者の林原さんと西田さんの対談動画(3話分)の制作オファーをいただき、先日納品が完了した。
ハル:今回の動画なんですけど、字幕はどうしましょう?
西田:これまでと同じように視覚障がい・聴覚障がい・マナーモード視聴に対応できるように字幕もお願いします。単価が上がってもいいので。私や林原さんの想いが障がいや視聴環境を問わずに伝わりやすいように制作をお願いします。
単価を抑えるために字幕は後回しにされやすいが、西田さんはいつもここを削らない。今回もそうだった。
そんな西田さんの活動や想い、人柄に触れられる対談動画になっているので、この記事を見て興味が湧いたという方はぜひ動画を見ていただければ嬉しいです。
▼対談第1話
▼対談第2話
▼対談第3話
夢は、誰もが自分の人生を自分で決定できる社会を作ること
" ちゃんと"に縛られて生きる自分を、自分らしく生きられる自分になりたい」という人に向き合い、一緒に変わっていきたいと思っています。LOVEだぜ!
2020年8月16日
ハル
▼次回の連載note記事
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▼連載:第1話
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水樹ハルの「まだ世には出せないお話」
ストーリー制作専門のWebライター、カウンセラーとして、「チャレンジを応援しあえる世界」を実現することを目指す、水樹ハルのnoteマガジン…
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