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詩エッセイ

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自作の「詩」を織り交ぜて書いたエッセイ。時には「物語」や「お話」が織り交ぜられることもあります。
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#詩

ランドセルに残したパンを入れて帰る

ランドセルに残したパンを入れて帰る

最近、時代遅れだ、やりすぎだと話題になる学校の校則。
小学校でも中学校でも、理由はあるにしろ、おかしな、あるいは無意味なルールが確かにあった。

わたしが小学生だった頃は「給食を残してはいけない」というのが絶対的ルールだった。食べるのが遅い子や、好き嫌いがある子は、掃除の時間(給食の後が掃除の時間だった)に、教室の後ろに席を寄せた状態の中で、ときには泣きながら食べていたものだ。
あれはほとんど、見

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みんなそうだよ、と言われると

みんなそうだよ、と言われると

自分が迷っている時、背中を押してくれるような、何か気づきをあたえてくれるような、そんな言葉を求めたりする。
そしてあの人はいつも良いアドバイスをくれるから、とか思っていると、その人からは欲しいい言葉はやって来なくて、意外な人が言った一言が心に響く、なんてこともある。

「神様の用意したリュック」それには
言葉がたくさんつまっていて
その人に一生のうち必要な
言葉たちが入っている

ふとした時に

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ばいばい、こうでなくちゃいけないわたし像

ばいばい、こうでなくちゃいけないわたし像

今の自分を、結構好きでいる。
病気もあって、大変なこともまあまああって、だからこそ今があると思える。
でも今の時点で人生を振り返って、一番輝いた日々は間違いなく「地球一周の船旅」で過ごした日々だ。

わたしは大学に入学後、体調を崩して中途退学をした。今考えると、その大学はわたしに合っていなかったし、その後美術専門学校で学べて本当によかったと思う。
でも、それは今思えるのであって、当時はそんな風には

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ひるねはきもちいい、と書いた日記

ひるねはきもちいい、と書いた日記

大人の自分と、子どものときの自分。
どっちが自分らしいんだろう。

今のわたしは、色んなことに過敏で、聴こえ過ぎたり、気になり過ぎるのだけれど、実は小学校の頃はかなりぼんやりした子だった。
片方靴下が下がっていても全然気にもしないような感じだった。

喘息持ちで発作のため、かなり学校を休んでいたから、授業にもついて行けずなかなか大変なことも多かった。
けれども、1年生の冬休みに書いた日記から読み取

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カセットテープの声の便り

カセットテープの声の便り

「エモい」と言う言葉を最近使うようだけれど、最初聞いた時、その響きから「きもい」が連想されて、意味が分からずにいた。
でもそれを、若い人は褒め言葉として、レトロな懐かしい何かをさして、言うらしい。

1980年代、ウォークマンを買ってもらった時のことを忘れない。
流行っていた音楽をカセットテープに入れて、車で聴いたり、そのウォークマンでも聴いていた。
余談だけれど、カセットに音楽を入れる時、カセッ

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記憶と詩で編み物をする

記憶と詩で編み物をする

人はどれくらい覚えていられるのだろう。
今までの記憶はハードディスクのようなものに入れられて、ほとんどが思い出されない。開かれないフォルダに入っている画像のように。
「今」というときを存分に生きているのだったら、それはそれで幸せで、過去の記憶なんて眠っているままでいいのかもしれない。

「線香花火のさきっぽ」

火がついたその時から
だんだんと大きくなり

火花を散らして
生きているわたし

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