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元新聞記者が考える「広報・PR担当に向いている人・いない人」

「広報担当者を誰にするか」「どんな人を採用するか」
多くの会社が悩まれていますよね。現在コンサルティングを行っている法人企業からも必ず聞くお悩みです。

私は広報・PR担当の採用面接にも立ち会ったりしますが、多くの会社さんが「若い女性に任せればいい」と思っているように感じます。
現に記者時代、多くの広報担当者さんは若い女性でした。



でも、なぜ「若い」「女性」なんでしょう。
「他の会社もそうだから」
「広報といえば女性」
という声も聞いたことがありますが、本当に、そうなんでしょうか。

広報・PR担当者はこんな人がいい!という明確なビジョンがなければ、会社の認知を拡大し、態度変容させるのは準備無しで世界最高峰へ登山するようなもの。超、超、超!むずかしいです。


大変そうじゃありません?

それに、取材をする側の人間って、企業の広報担当者やPR会社にものすごく困った経験がある人が多いんですよね……。


実際、業界で「あそこの広報はちょっと…」「あのPR会社仕切り悪すぎ」という噂があるイベントや取材依頼、ネタが良くても躊躇します。


締め切りに追われているのに、広報担当者・PR会社と円滑なコミュニケーションが取れないと、記事や番組を公開できなくなり、結局いいニュースを届けられないからです。

他に「まあまあ」なイベントなどがあれば、そっちを優先する人、多かったです。現に私もそうでした。

ネタはいいけど、対応が悪いとわかっている企業・PR会社と苦労してやり取りするよりも、他にいったほうが効率がいいからです。

黒い噂のある企業やPR会社が発信した「これは取材せねば!」なニュースやイベントの場合「今回だけは、ちゃんとしてますように」と祈るような気持ちで取材に行っていました。

が、ほとんどダメなんですよね、変わらない。
なので、ニュースとしては小さくなってしまうんです。
情報が少ないのに、長い記事はかけませんし、長い尺の番組もできません。

ジョルジオ・アルマーニ氏来日時。
この中に私がいます。

今日は、10年以上のマスコミ経験から「記者にとってうれしい」広報担当者ってどんな人なのか。私の独断と偏見から説明していきますね。

個人起業家、フリーランスの方にも関係ない話題ではなく「取材時はこういう対応をすればいいんだな」というヒントになると思います^^

*記者を困らせる広報(PR)担当者

  1. 新入社員で会社・業界に対する知識がない(前任者もいない)

  2. 質問に答えられず、回答までにどれくらい時間がかかるか提示できない

  3. 独自の見解を出せない

  4. なぜか喧嘩腰の方

  5. 突然会社に来る


ちょっと説明していきますね。
何故かわからないんですが、先程述べた通り、大手企業も広報担当者といえば若い女性のことが多いです。
今は少しずつ変わってきていますけれども本当に多いんですよ。
新卒でそのまま広報に、しかも会社初!で前任者もいない場合。
これ、取材陣としてはドッキドキです。

なぜなら、ほとんどの場合、こちらの質問に答えてくれないから。
某ウェディング系企業の取材時、全員若い女性でしかも新卒。
記者からの質問には
「業界のルールなので」
「このイベントを通して、会社の認知度を上げたいと思っています」
みたいな定型文しか返ってこない。

取材終了時、片付けをしていた某テレビ局のカメラマンさんが
「ねえ、この会社の情報って今日の資料以外に持ってます?うち、今日の夜、結婚系を10分くらいで取り上げる予定なんだけど、あれじゃニュースにならないんだよね」と声をかけてきて、お互い情報交換したこともあります。

ちなみにこの会社の広報担当者に
「今回の新サービスについて御社の見解をいただけますか?」
とお願いし
「わかりました!締め切り日までにお送りします!」
と言われていたんですが、全く返信なくてお電話した所


「口頭で申し上げます!(なぜか怒っている)『○○サービスを通じ、○○で困っている人の問題を解決したいと思っています』以上です!」


と超早口で言われ、海外出張で成田空港へ向かうタクシーの中だった私は


「申し訳ないんですが、今のコメント文章でいただけませんか?早口で聞き取れなくて。締め切りは1時間後なので、それまでにお願いします。いただけなければ、今回、御社のコメント部分はなしで掲載します」

「…….(広報担当者さん)」

という会話をしたことがあります。
結局文面でのコメントはいただけず、かなり小さい記事になってしまいました。


この企業に関しては、上司も「コメントほしいねえ」と言っていたので今回のことを説明し、メールも見せて取材の流れを説明した所
「そんな対応なら、今後取材は考えようか」
と編集部ではブラックリスト入りに。



こんなことも、起こるんです。
1人の対応が、会社の認知度を左右することもある。
それを採用の際、考慮していないのではないか、と感じる会社が多かったんですよね。残念なことに。

赤ちゃん号泣するレベルで残念です


広報担当者やPR会社に女性が多いのは、コミュニケーションスキルが男性より高い人が多いから、と新聞時代の先輩が言っていましたが、男性でもいいんですよ!記者がほしいのは「情報」。

新入社員や入ったばっかりの広報よりも、長年会社にいる方や、そのイベントやサービス開発に関わった方、つまり現場の方の生の意見がほしいんです。


中堅な広報担当者って、なぜか喧嘩腰の人もいるんですよね〜。
でも、取材陣に喧嘩腰で、会社にとってどんなメリットがあるんでしょうか。理解に苦しみます。


また、突然会社に来る方。
マスメディアと呼ばれる新聞、テレビ、雑誌、ラジオには、たいてい受付があります。


電話アポもなく、いきなり会社へやって来る方、いらっしゃるんですよ。
すると受付から
「下にお客さまいらしてます」
と言われ
「○○の、○○さまです」
会社名と名前を告げられ
「約束してたっけ???」
と作業を中断して下に降りると
「近くまで来たのでご挨拶に伺いたくって〜」
絶句です。


記者が会社にいる時って、記事を書いている時が多いんです。
つまり、集中している時。
それ、アポもなく邪魔されるとほんっと困るんですよね。


人やステークホルダーとコミュニケーションを取るのが仕事の広報担当者が、記者と上手にコミュニケーションを取れないって、意外とあるあるなんです。

当時はよく、遠い目をしてました…


ここまで「困った!」例を出してきたので
「なにそれ記者の勝手じゃないの!?」
と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは、理想の広報担当者(PR会社)についてご説明しますね。


*元記者が考える、理想の広報(PR)担当者

  1. 知識があり、きちんと質問に答えられる

  2. わからないことは「わかりません」または「○○までに調べてご連絡します」と言ってくれる

  3. きちんとコミュニケーションが取れる

  4. 記者のことを「人」扱いしてくれる

どうでしょう。
超基本ですよね。

元記者からするとうれしいのは

1. 知識があり、きちんと質問に答えられる

2. わからないことは「わかりません」または「○○までに調べてご連絡します」と言える

この2点です。


取材する側は「会社のことをよく知っている人が答えてくれる」って思っています。それなのに

「確認します」(PR会社さんはよく言います)
「○○だと思います」(推測または憶測で「事実」ではない)
「えー、それに関してはー、あのう…」(わからないことをごまかす)

って、か・な・り、困ります。

逆に

「わからないので確認してお返事します!○時までで大丈夫でしょうか」

って言ってくださる広報担当者さん、PR会社さんってほんと神✨なんですよ。

「たったそれだけで神!?」
かもしれませんが、逆に言うと、

・それだけわからないことをわからないと言わず
・返答にかかる時間も提示しない

人が多いんです。


そことつながるのが

きちんとコミュニケーション、と
記者のことを「人」扱いしてくれる

ですが、

意外と「記者が人」っていうこと、忘れてる方が多いんですよ。

どういうことかというと

  • 専門用語多め、字も小さく細かいプレスリリースを送ってくる

  • 取材依頼はねっとりしているくせに、掲載(放送)後は連絡が途絶える

ですね。

情報提供しとけばいいだろ!と、フォント5くらいの小さい文字で書かれたプレスリリースや文章、あるんです。

サイズ5のフォントって、読みにくいですよね?
あなたに見にくければ、記者にも見づらいんですよ〜!


拡大鏡を使ってリリース読んだこと、
あります!

それに、業界だけで通用する言葉、記者にわかるでしょうか。
確かに業界の専門記者っていますけれど、あなたの業界について知らない記者の方が圧倒的多数ですよね。
それなら、業界用語は説明したほうがいいのではないでしょうか。


そして、記者からは超嫌われる(嫌われている)けれど意外といるぞ!なケースが「記事を書いてもらう、番組で取り上げてもらう」ことが目的で、達成するといなくなる人。

言葉が悪い先輩は、○リ逃げみたい、と言ってましたが気持ちわかる…。

「ご飯行きましょう!」
「お茶してください」
とか言っておいて、記事が載ったよと連絡するとスルー。

そしてまた、ある日突然プレスリリースを送ってきて
「ご飯ご一緒しませんか〜?」
これ、本当に、あるんです。

ご飯食べても取材に結びつくかというと、違うんですよねえ。。。

バブル時、ご飯をごちそうしてくれる男性を「メッシーくん」と呼んでいたそうですが、取材陣からするとメッシーくん扱いされているような気になります。

取材時のみねっとり絡んでくる方、記者からは嫌われますし、まあ取材の確率もダダ下がりですよね。
なぜなら、人として信頼できないからです。

逆に、すごい広報さんたちって、記事が載ったり放送されるとすぐご連絡くださるし、こちらの確認にも早く対応してくださるんです。
もし確認が遅くなりそうでも、進捗状況を教えてくれて、こちらとしては安心感しかない。

それに「今回のプレスリリース、もっと入れたほうがいい情報とかってありましたか?」と研究熱心。

ここまで読んでおわかりかもしれないのですが、
すごい広報さん、PR会社の担当さんって、当たり前のことを当たり前にされているだけ、なんです。

*まとめ


広報担当者、PR担当に向いているのは「きちんとコミュニケーションを取れる人」「正しい情報をくれる人」です。
この条件を満たしていれば「若い」「女性」にこだわることはありません。


広報担当者がいないなら、
・現場の方に取材対応してもらう
・プレスリリースに入れる情報をもらう

方がよっぽどいいです。

「新入社員を育ててベテラン広報にしたい」という思いがある会社さんも多いですが、それには必ず先輩か、メンターとなる広報(PR)経験者をつけてあげると本人も楽で安心ですし、取材する側もうれしいので、会社にとってもメリットがあります。


広報・PRの仕事は、 マスコミ関係者からの反応が見えにくいため、経験者でない人が1人で進めるのは非常にむずかしい仕事です。

例えるなら、行ったことのない国の洞窟を暗闇の中進むような感じです。

先輩やメンターがいれば、行ったことのない国が行ったことのない県、くらいになりますし、洞窟でも暗闇ではなくなります。


特にマスコミ経験者だと、プレスリリースや発信の内容についてフィードバックができるため、取材確率が上がり、会社の認知度向上、購入などへの態度変容スピードがアップします。


私が今、取材率アップコンサルタント(PR)をしているのは、マスコミ時代にあまりいい広報担当者、PR会社さんと巡り合ったことがなく
「ちゃんと情報くれればいい記事になるし、いいニュースが世の中に出るのに!」と歯がゆい経験を数多くした、というのも1つの理由です。

今では商工会議所や行政でもセミナーを
させていただくように。ありがたいです。


現在広報やPRの需要は高まっているそうです。
エージェントからも問い合わせが来ますし、私にも、国内企業だけではなく、日本に進出したい海外企業、某大使館(!)からも問い合わせがありました。

正しく広報・PR活動を行えば、会社やサービスの認知度は間違いなく上がります。それには、きちんと仕事ができる担当者が必要です。

元記者の意見ですが、今後の御社ご発展の参考にしていただけますと本当にうれしいです。

こんな毒舌ネタ、こちらではもっと突っ込んで書いております。

法人広報・PRの伴走もやってます。ご興味ある方はこちらからどうぞ。


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