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【Queen和訳】5/11マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン【女王って誰なの?】

はじめに

フレディ・マーキュリー作詞のQueenの楽曲「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」の和訳・分析をしています。

前回は、詩の1番の前半の解説。

今回は後半からです。

今回は、キーパーソンである「女王」について、イギリスに伝わる昔話とともに考察しました。

特にビジュアル・イメージに焦点を当てて考察しています。

あまりに長くなってしまったので2行しか訳していません。

しかし重要なところだと思うのでじっくりまいりましょう。


"The March Of The Black Queen"
Written by Freddie Mercury

詩の1番

You've never seen nothing like it no never in your life
Like going up to heaven and then coming back alive
Let me tell you all about it -
And the world will so allow it
Ooh give me a little time to choose
Water babies singing in a lily-pool delight
Blue powder monkeys praying in the dead of night

Here comes the Black Queen, poking in the pile
Fie-Fo the Black Queen marching single file
Take this, take that, bring them down to size
Put them in the cellar with the naughty boys
A little n*gger sugar then a rub-a-dub-a baby oil
Black on, black on every finger nail and toe
We've only begun- begun
Make this, make that, keep making all that noise
Now I've got a belly full
You can be my sugar-baby, you can be my honey chile, yes

(直訳+手直し)

あなたはそのようなものを見たことがありません、あなたの人生で決してありません
天国に上がってから生き返るようなものです
それについてすべてお話ししましょう-
そして世界はそれを許します
ああ、私に選ぶ時間を少し与えてください
睡蓮の池で喜びに歌う水の子
草木も眠る真夜中に祈る少年兵

黒の女王がやって来る、束に囲まれて、突っつきながら
ファイ・フォー! 女王様!一列に行進する
これを取れ、あれを取れ、やつらを縮み上がらせておやり
わんぱくなガキどもと一緒に地下室に入れておけ
砂糖を少しやってから、ベビーオイルをダバダバかけて
すべての手と足の爪に黒く塗れ
まだ始まったばかり
これをしろ、あれをしろ、そのすべての騒音を出し続けよ
今、私は腹がいっぱいになった
お前は私のシュガーベイビーになることができる、お前は私の愛しい子になることができる、はい

今回はこの太字について発音とともに解説します。


女王登場

Here comes the Black Queen, poking in the pile
Fie-Fo the Black Queen marching single file

ナレーションが、舞台設定が真夜中であること、ハスの池で水の子たちが幸せそうに歌い、昔のイギリスで浮浪児たちが眠れぬ夜を過ごすときと明かします。

そこに突然女王の行進がやってきます。

メロディーも変わります。

水の子さえも目に見えないので、森の中なのか、船の上なのか、ロンドンの不潔な路地裏なのかわかりませんが、軍隊がやってきます。

poking in the pileは多くの人にとって謎ですが、挑戦しました。



その前に、女王について推測しました。

女王とは、何か。バンド名にもなっています。

女王(クイーン)ってそもそも誰?

1.昔の王国の女王や、おとぎ話にでてくる女王

2.イギリスの女王、特にエリザベス1世(16世紀くらい)

3.現イギリスの女王、エリザベス2世

4.チェスの駒(クイーン)

5.トランプの12(クイーン)

などです。

あとは威厳ある美しい女性とか、現代だと「ドラァグ・クイーン」などの意味もある。


1には、ディズニーでもおなじみのグリム童話などの、白雪姫の女王や、アナ雪などの雪の女王(ちょっと違うけど)、不思議の国のアリスなどのハート(ハーツ)の女王も含みます。

そしてこれら5つはすべて関連していると思います。

重要な要素を解説します。


Ⅰ.クイーンのデビューアルバム「Queen」。

このアルバム・レコードの裏面には、右下にトランプのスペードのクイーンが、左下にチェスの女王(白)があります。また写真はチェス盤のようにチェックになっている。これは、1970年くらいから温めている当該曲「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」が次回現れることを示唆しているという。

そしてこの「QueenⅡ」というアルバムで実際に現れた。

クイーンⅡとは、現イギリスおよび関連国家を統治するエリザベス2世のことかもしれない。イギリスの誇りです。


Ⅱ.ディズニー

白雪姫の女王は黒をまとい、眠れぬ森のマレフィセント(妖精)も黒。どちらも邪悪。

「不思議の国のアリス」には、トランプのハート(ハーツ)の女王が登場する(黒じゃなく赤の方だが)。

その前身ともいえる、ミッキーマウスの("Thru the looking glass"鏡の国のミッキー?)1936年の短編アニメでは、鏡の世界でミッキーが食後小さくなり、トランプと行進曲に合わせて行進したり挟まれたり、ハートの女王と踊ったりする(ダンスフロアはチェス盤のよう。)トランプに追われて夢オチするのちのアリスのような場面が表れる。(はっきり言って芸術作品だ。音楽も)

※因みにルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」の2作目が「鏡の国のアリス」である。


Ⅲ.ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」。

ここにハートの女王が出てくる。1865年に発表、1862年に構想が生まれている。このモデルは、もしかしたらエリザベス1世ではないか。権力や政治などに対する皮肉が込められていると考えられる。一種のブルース?

しかしこの作品は、時の女王、ヴィクトリア女王に送られ、とても喜ばれたという。

前回の水の子のときも少し話しているが、この作品は1863年に発表された「水の子供達」の作者、牧師のチャールズ・キングスレーに関係がある。弟のヘンリー・キングスレーともう一人がこの話を目にし、キャロルに出版をすすめ、同じマクミラン社から出したという。キャロルも牧師の子であり、自身はオックスフォードの数学教授である。

彼の作品は、鏡の国のアリスのジャバウォッキーの詩など、もっとも意味の分からない意味深な詩が含まれるといわれいる。「カバン語」といわれる造語を作ることでも有名。

とにかくこの作品は、当時の道徳的要素の強いおしつけがましい子供のための話の中で革命を起こしたといわれる。子供が純粋に楽しめる話で、次回作の鏡の国は、チェスなどの要素がはいり、大人向けの示唆にあふれた作品といえる。数学的要素も入っている。またイラストのジョン・テニエルも素晴らしい。


Ⅳ.シェークスピア作品について。

彼はエリザベス1世に庇護され、いろいろな時代や国や架空の王国の話をよく書いた。これはのちの歌詞の一部「Fie-Fo(ファイ・フォー)」に関わってくる。シェークスピア作品に出てくる詩のもとは、童話や伝承民話などに端をとっていることが多いといわれる。


上記の内容はちょっと混乱するようだが、あとでの伏線だと思ってほしい。


とにかく、ディズニーでは、「不思議の国のアリス(1951)」の前身として、ルイス・キャロルの「鏡の国」から発想を得たミッキーの短編アニメで、トランプのハートの女王を登場させた(チェスの女王もかぶらせている)。

また、ミッキーは行進曲(マーチ)とともに、トランプと行進している。

「アリス」の方でも勿論トランプは行進している(すばらしい)。

ディズニーの「アリス」は、英語で聞くとダブル・ミーニングや原作を再解釈した様々な表現が使われており、子供向けとはいえ非ネイティブには完全に理解するにはむずかしい作品となっている。

また、ディズニーはアメリカだが、アリスやお姉さんの声などはイギリス人を起用しており、本格的なつくりとなっている。


ということで、話に戻ります。

poking in the pileの意味に挑戦!

Here comes the Black Queen, poking in the pile

pileは、ものすごくたくさんのものの集積物(山)や、本などが整然と下から積まれた物の山。

pokeは棒や手などでつつくこと。鼻を突っ込む(首を突っ込むの意)、捜す(さがす)の意味もある。


私は、poking in the pileは、トランプのカードを想像しました。

女王は、クイーンのデビューアルバムの裏ジャケットにも出てきたトランプのスペードの黒の女王ということです。(スペードはハートの逆の形でもあります)


「黒の女王が表れた、その山の中でつつきながら。」

これは、トランプのカードが机などに積まれていて、あるいは崩された形で山になっていて(the pile)、その山の中から顔を突き出しているのではないか(poking her face in the pile of cards)。または山の中から他のカードをつっついている?

平面的な物語の世界から、立体の現実世界に飛び出してきたよう。

しかし、かなり無理矢理な訳ではある。pokeなので、突っついたり、何か探し回っている感じもしたが、なにせthe pile(その山)というのが何かわからない。theから考えて、自身のトランプのカードではないかと思った。

ディズニーの「アリス」では、1から10と兵士のスペードのトランプは、黒いスペードの先のついた槍で巨大化したアリスをつついているし。

トランプ関連では、pokerとはトランプのポーカーのことであるし、派生して、無表情をポーカー・フェイスという。


音的には、

pokingとpileは頭文字が一致している。ing in theもリズムとして今までもよく見られてきた。

Here comes the Black Queen, poking in the pile

また、上記でも示すように、もしかしたら、comes[kAmz]とQueen[kui:n]のk(ク)でも、同じようなところで子音を合わせているかも(区切れから2単語目、音が下がるところということで。)


次です。

ファイ・フォーって何?

Fie-Fo the Black Queen marching single file

まず、1つ目のpileとfileで韻(いん、ライム)を踏んでいますね(最後の単語)。


Fie-Fo(ファイ、フォー)に関しては調べたらシェークスピアの時代までさかのぼる。

長くなるのでくわしくは後に参考とする。

まずリズムとして、

フィー、ファイ、フォー、ファム(ン)

というのはよく知られていて、「ジャックと豆の木」の巨人のセリフや、マザーグースの詩にもある。

もともとは、「人間(イギリス人)の血の匂いを感じる」というセリフとともに使われ、なにか巨人や怪物などを思わせる。

つづりは

「フィー(fee)、ファイ(fi)、フォー(fo)、ファム(fum)」が一般的だが、

ここでは「Fie-Fo」となっている。fieはシェークスピアのものと同じつづり。


「ie」の綴りは、pie,  lie, die, tie(パイ、ライ、ダイ、タイ)など、だいたいは「アイ」と読まれる。

だからこのつづりにしたのか。fieには、古語だが、「おやまあ」など抗議の声を上げるという表現でもある。


とにかく、「fie-fo」は巨人的なもの、人間を食べそうな存在が使うセリフの一部と思われる。

また、ディズニーの白雪姫の「height-ho(ハイ・ホー)」も思わせる。7人のドワーフが1列に行進して宝石採掘場から家に帰るときの掛け声だ。


single fileは「1列」という意味。ミッキーのトランプの行進も1列だった。アニメ「アリス」も大体1列行進。


このように、(おそらく)子供を襲う、邪悪な(子供にとって)巨人のような存在が、狩りのような恐ろしい意味の掛け声をあげて、整然と1列に行進するような場面ではないか。


音的には、「marching shingle」もing ingという形になる(1行目と同じ)。

Here comes the Black Queen, poking in the pile
Fie-Fo the Black Queen marching single file

リズムもあっています。



長くなってしまったので、2行しか訳していませんが、いったんここで止めます。

女王について考察と、ディズニー作品や童話・古典からの影響について考えてみました。


まとめ

調べるうちに、子供向けと思って侮るなかれ、ウォルト・ディズニーやルイス・キャロルなど、作品にはかなり深いもの(裏の意味)があると感じました。故人とはいえ、何か当時伝えたいことがあったはずです。

彼らの人間性などは深くは分かりませんが、天才であったことは間違いありません。

フレディは、ただディズニーにのビジュアル・イメージに感化されただけでなく(違うかもしれませんが)、その裏にイギリスやヨーロッパの歴史があることも知っていたのかと思います。そういったものを読み解いて詩に入れているのでしょう。

今回訳した2行は意味が分かりませんが、ルイス・キャロルも意味の分からない歌が入っているので、先輩に倣(なら)っているのでしょう。(しかし彼らの中には明確な答え・ビジョンがありそうです。)


また、女王については、特定の誰かを指して作品を作ると批判的になってしまいますが、傑作を作り上げると本人から喜ばれるということがわかりました(シェークスピア、ルイス・キャロル、クイーンも然り)。

さすが、女王様は懐が広いですね。


こんな感じで以降も妄想を深めてまいります。

お読みくださり、ありがとうございました。


歌詞全文はこちらから⤵️


おまけ

Fie-Foについて。

フィー、ファイ、フォー、ファム(ン)

(Fee-fi-fo-fum)

というのは現在もマザーグースなどでよく知られているライム。

もとは16世紀の書き言葉の一部

「ファイ、ファー、ファム」

Fy, Fa and fum,
I smell the blood of an Englishman

で、人間(イギリス人)の血のにおいを感じる、という怪物のようなセリフ。

シェークスピアが引用し、

「ファイ、フォー、ファム」にした(リア王)。

「ジャックと巨人」という物語で、巨人が発する言葉となる。

ここで

「フィー、フォー、ファム」になり、いつしか「フィー(fe)、ファイ、フォー、ファム」になる。

「ジャックと豆の木」では、

「フィー(fee)、ファイ、フォー、ファム」になる。

以降は、マザーグースも上記と同じで、ディズニーの「Fun and Fancy Free(1947)」の「ジャックと豆の木」のアニメも、巨人が歌うのはこのつづりのこの発音。1966年、ジャズにも歌われる。


ある学者は、もとは、西イングランドなどのゲール民族のケルト人の言葉と言っていて、5つの言葉"Fa fe fi fo fum!"はそれぞれ"Behold, food, good to eat, sufficient, (for my) hunger"の意味という。「見ろ、食べ物だ、うまそうだ、ちょうど、腹が減っていた」という意味か)


つまり、この言葉(フィー・ファイ・フォー・ファム)の意味は、巨人が人間(イギリス人)など食べ物をみつけて、喜んでいる(人間にとっては戦慄の瞬間)という意味だと思った。

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